車載機器のEMC ~EMC 規格~
ビューローベリタスジャパン株式会社 消費検査部門 ニューモビリティーテクニカルセンターは、車載部品のEMC試験および、Eマーク認可取得サービスを提供しております。
自動車業界は、「電動化」「自動化」「コネクテッド化」が進められ、100年に一度の変革期を迎えているといわれています。また自動車以外で身近なところでは、「5G」や「IoT」など電波を利用したサービスが急速に普及しています。
電波を利用したサービスを支えるEMCについて、5回に分けて簡単に説明しています。
第1回:EMCとは(概要)
第2回:EMC規格
第3回:エミッション測定
第4回:イミュニティ試験
第5回:今後EMC動向
第2回は、EMC規格を作成している国際機関についてご説明いたします。
電気電子機器の国際標準化機関として、IEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)があります。IECのSMB(Standardization Management Board:標準管理評議会)の下に組織されるTC77(Technical Committee77:EMC)とCISPR(Comité international spécial des perturbations radioélectriques:国際無線障害特別委員会)がEMCに関する基本規格や共通規格を作成しています。
製品委員会のTC9(鉄道用電気設備とシステム)、TC13(電力量計測・負荷制御装置)、TC22(パワーエレクトロニクス)、TC47(半導体デバイス)、TC62(医療用電気機器)、TC65(工業プロセス計測制御機器)、TC69(電気自動車および電動産業車両)が、EMCに関する製品群規格・製品規格を作成しています。
また、TC106(人体曝露に関する電界、磁界および電磁界の評価法)が人体の電磁界のばく露の評価法を作成しています。
自動車のイミュニティ規格はISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)TC22/SC32(自動車/電子・電装部品、システム)が担当しています。ISO TC22/SC32のCommittee Managerは日本人です。
TC77とCISPR、製品委員会を調整する機関としてACEC(Advisory Committee on Electromagnetic Compatibility:電磁両立性諮問委員会)があります。
※製品イミュニティ規格は含まれません。しかし製品委員会の要請があれば、TC77 は ACEC の調整のもとに規格を作成します。
CISPR は、下記の国際組織で構成されています
自動車の電気・電子(E/E)部品およびE/Eシステムと部品(車載ワイヤーハーネス、車載専用コネクタ、E/E専用部品、EMC・環境条件、機能安全、サイバーセキュリティ、車載専用光学部品、ソフトウェアアップデート等)に関する標準化を行なっています。
ACEC はIEC GUIDE 107 を制定しています。このIEC GUIDE 107は、EMC規格の規範となる要求事項と、出版物を作成するための情報を提供しており、これを通じて製品委員会のEMC作業を調整しています。また、EMCに関するIECの活動を他の組織の委員会と調整する役割も担っています。メンバーは、TC77、CISPR、製品委員会にて構成されています。
IEC GUIDE 107は下記のように、EMC規格体系を規定しています。
表1. EMC規格体系事例
分類 | 規格 | タイトル |
---|---|---|
基本規格 | IEC61000-4-1 | EMC 一般要求事項、定義 |
基本規格 | CISPR16-2 | 無線妨害波、イミュニティの測定法 |
共通規格 | IEC61000-6-1 | 住宅・商業・軽工業環境のイミュニティ |
製品群規 | CISPR25 | 自動車、ボート、内燃機関の受信機保護、エミッション要求事項 |
製品規格 | IEC60974-10 | アーク溶接機器のEMC要求 |
自動車部品のEMC試験では、国際機関が制定した、国際規格を基とした車両メーカ規格にて試験を実施、満足する必要があります。ビューローベリタス(ニューモビリティーテクニカルセンター)は、Ford・GM・マツダの認定試験場です。車両メーカにて認証されたテストプランに基づいた認定試験を実施することが可能です。また、国内外の車両メーカ規格の試験に対応しています。
国際規格に準拠した試験を実施するUN ECE Regulation 10(Eマーク)の認可取得についても対応可能です。1958協定により、このECE Regulationを用いて世界の自動車基準を統一、および相互認証の制度が運用されております。協定国内であれば、1つの国で認可を取得していれば、他国での再認可は不要となります。
次回は、エミッション測定についてご説明いたします。
消費財検査部門 ニューモビリティーテクニカルセンター 船津 雅史
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