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車載機器のEMC ~今後のEMC動向~

ビューローベリタスジャパン株式会社 消費検査部門 ニューモビリティーテクニカルセンターは、車載部品のEMC試験および、Eマーク認可取得サービスを提供しております。

自動車業界は、「電動化」「自動化」「コネクテッド化」が進められ、100年に一度の変革期を迎えているといわれています。また自動車以外で身近なところでは、「5G」や「IoT」など電波を利用したサービスが急速に普及しています。

電波を利用したサービスを支えるEMCについて、5回に分けて簡単に説明しています。

第1回:EMCとは(概要)
第2回:EMC規格
第3回:エミッション測定
第4回:イミュニティ試験
第5回:今後のEMC動向
番外編:EMC障害事例

車載機器のEMC規格は、自動車に搭載されるADAS(Advanced Driver-Assistance Systems先進運転支援システム)などのシステム発展や、スマートフォンなどの身近に利用されている電波利用サービス環境の変化に合わせて変わっていきます。今回は今後のEMC動向の事例をご紹介します。

 

● ISO11492-9:2021 Portable transmitters

ISO11452-9の試験規格は、アマチュア無線などのアナログ無線の携帯型無線機(ハンディートランシーバー)を模擬したCW、AM変調や携帯電話端末と携帯電話事業者の基地局間のデジタル通信を模擬したPM変調での試験が規定されていました。

従来の携帯電話では、音声通話に携帯電話端末と携帯電話事業者の基地局との通信に電波が使用されています。昨今はスマートフォンが広く普及し、スマートフォンと基地局との通信だけではなく、Wi-FiやBluetoothを使用して、車載マルチメディア機器・カーナビがスマートフォンと通信しています。このように自動車車内で利用されている電波は、デジタル変調になります。このデジタル変調方式を使用するスマートフォンを模擬するため、2021年版より、任意波形発生器(AWG :arbitrary waveform generator)を使用して、AWGN(Additive White Gaussian Noise)を照射する試験方法が盛り込まれました。

AWGNは、実際のデジタル変調方式の携帯端末の使用環境により近い条件での試験となります。AWGNの試験では同時に広帯域の電波を使用するため、従来のスリーブアンテナやヘリカルアンテナのような狭帯域のアンテナより、さらに広い帯域で使用できる広帯域アンテナが使用されます。

 

● CISPR25 ed.5(2021)

自動車のエミッション規格であるCISPR25 ed.5(2021)は、電波の利用周波数の変化により試験規格の対象範囲が150kHz~2500kHzから150kHz~5925kHzへ拡大されました。

スマートフォンは、4Gから5Gへの普及が進んでいます。CISPR25 ed.5(2021)では、携帯電話で使用されていたGSM、3G/IMT2000の周波数帯域から4G/5G/V2Xが使用する周波数帯域(~5925MHz)まで反映されています(*)。

また、カーナビゲーションシステムや自動運転に使用されるGNSS(Global Navigation Satellite System)は、従来のGPS(米国)に加えて、BeiDou北斗(中国)、GLONASS(ロシア)やGPS L5 bandなど、国や地域ごとに新しい全地球航法衛生システムの運用が開始されています。GNSSの使用する周波数帯についても、新しいシステムごとに規格が追加されました。Wi-Fiについても、2.4GHzまでの規格から5GHzまで広がっています。

(*) 5G 28GHz帯はCISPR25 ed.5(2021)には反映されていません。

AWGNを用いたISO11452-9およびOEM規格に準拠した無線機・携帯電話アンテナ近接試験2022年5月からサービス開始予定です。ぜひお問い合わせください。

 

消費財検査部門 ニューモビリティーテクニカルセンター 船津 雅史


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