今回は、日本でも動き始めて目にすることの増えたSustainable Development Goals (SDGs)の活動と、これに関連して以前より関心の高かった企業が進めてきたサプライヤーに対する社会的責任監査についておさらいし、近況をご説明したいと思います。

1. 社会的責任監査

企業が果たすべき社会的責任に大きくスポットライトが当たったのは、1990年代、アパレルメーカーの下請工場での児童労働問題が発覚し、世界で消費者による不買運動が起こったことにはじまるといわれています。
その後、小売のリーダー的大規模企業などがそれぞれ独自の監査プログラムを作り、相当な数の自社スタッフを配置、さらに外部監査機関に監査業務を外注するようになり、これを契機にいろいろなプログラムが各所で立ち上がる一方、独自のプログラムを持つほどではない会社は、監査機関が標準化したプログラムを活用するといった動きも出てきました。

一方、監査を受けるサプライヤー側にも色々な変化が出てきました。
複数の顧客に製品を納めるサプライヤーが、それぞれの納入先から個別に監査を受けると、その対応に追われるのみならず、監査の結果が異なるうえに費用も余計にかかると苦情を申し立てるケースが出てきたのです。
これを受けて、ある一定の基準をパスしたプログラムであれば、他社のために実施した監査結果でも受け入れますという流れができ上がりつつあります。
例えば前述の大規模小売企業は、指定した8つのプログラムであればこの監査結果を受け入れ(自社のプログラムは実質停止)、某世界的エンターテイメント企業もいくつかのプログラムを受け入れています。
こうしてプログラムは集約化され、結果は共有されるというのが現在の流れです。
集約化されつつあるものの代表格は、SMETA(Sedex Members Ethical Trade Audit;Sedex はSupplier Ethical Data ExchangeというUK 本拠のNGOです)や、電気・電子業界のサプライヤーを対象にしたRBA (Responsible Business Alliance)でしょう。RBAのプログラムについては運用本部が厳しく監査機関を監視しており、その基準にのっとって監査が進むので、信頼性は非常に高いといえるでしょう。また、SMETAについても一定水準の監査実行能力を保有している監査会社を選定することで、信頼性を高めることにつなげている例もあります。

また、最近ではさらに進み、所属する監査機関とは無関係に、経験と知見のある監査員個人を特定し、その監査員を登録する動きが出始めています。監査の際に起用する監査員をこの登録済みの監査員に限定しようという動きもあります。

2. SDGsの活動の中で

ご存知のように17あるGoalの中でも、社会的責任監査の目的は、1. 貧困、3. 健康・福祉、6. 衛生、8. 働き甲斐、10. 不平等の解消、12. 作る責任、など多くのテーマに沿ったものになっています。
このこともあって、企業が持続可能な発展をするためには、これら社会的責任の観点からの業務や、サプライチェーンの見直しが不可欠になってきているという考え方が広まりつつあります。また、これを第三者の監査機関に依頼し、透明性や独立性を担保することで、対外的な説明責任を果たしていこうという考え方も同様に広まりつつあります。

3. ビューローベリタスのプログラム

ビューローベリタスは社会的責任監査業務の世界的リーダーとして多くのプログラムへの対応実績があります。 また、お客様の事情に合わせたプログラムのカスタマイズや、多くの事例からのフィードバックをもとに、より適切な評価ができる能力を持ち合わせております。

SDGsの流れの中で、世界中でさらにしっかりした足場を築いていく必要のあるお客様からビューローベリタスがお役に立てる機会をいただけることを、お待ち申し上げます。

消費財検査部門 崎山 一茂

 


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