製品認証
機械指令(2006/42/EC)から機械規則(EU)2023/1230へ~第5章:CRAとAIA、機械規則での適用・除外範囲~
2025-11-05
前回までのコラムでは、
第1章:変更概要|第2章:スケジュールと内容|第3章:機械規則発効の目的|第4章:構造の比較と変更内容
について解説しました。
最終章の第5章では、CRA(Cyber Resilience Act)、AIA(AI Act)、機械規則で適用される範囲と除外される範囲について解説します。
CRA(Cyber Resilience Act)とは
■目的
デジタル要素を含む製品の消費者を保護し、製品のサイバーセキュリティを確保することを製造者に義務付ける
■内容
製造業者やプロバイダーに対し、製品の開発から保守までのライフサイクル全体を通じてセキュリティリスクへの対応を義務付ける。
ソフトウェアの脆弱性を定期的に監視し、必要に応じて修正する責任や、セキュリティ基準への適合を確認する認証プロセスの実施が求められる。
■背景
サイバー攻撃の増加とそれに伴う経済的・社会的影響に対処するため、EUで統一的なサイバーセキュリティ基準を設ける必要性が増したことから法案が策定された。
| 2022年9月 | 欧州委員会よりCRA草案を提案 |
| 2023年11月30日 | 欧州議会と欧州理事会にて暫定合意 |
| 2024年10月10日 | 欧州理事会と欧州議会で正式採択 |
| 2024年11月20日 | 欧州官報掲載 |
| 2024年12月11日 | CRA発効日【移行期間:36カ月後、2027/12/11全面適用】 |
| 2026年6月11日 | 評価機関届出の開始 |
| 2026年9月11日 | 脆弱性報告が義務化 |
| 2027年12月11日 | 猶予期間終了予定日となり、この日以降全てのCRA要件が適用 |
AIA(AI Act)とは
■目的
EUにおけるAIの利活用や信頼性、イノベーションなどを促進させること
■特徴
リスクベースアプローチ:
AIシステムを「許容されないリスク」「高リスク」「限定的リスク」「最小リスク」の4段階に分類し、それぞれのレベルに応じた規制を設けている。
■内容
高リスクAIシステム:
基本的人権や安全に重大なリスクをもたらす可能性のあるAIシステムで、厳格な要件(データガバナンス、透明性、人間の監視など)が課せられる。
汎用AIモデル:
(ChatGPTなど)の汎用AIモデルは、システミックリスク(大規模な影響を及ぼしうるリスク)の有無に応じて、欧州委員会への通知等の追加的な義務が課せられる。
■適用範囲
EU域内でAIシステムを供給する、またはEU市場で使用されるAIシステムを提供するすべての企業が対象となり、日本企業も例外ではない。
機械規則で適用される範囲
機械規則で適用される範囲は、「1.機械」「2.関連機器」「3.部分完成機械」の3つで構成されています。
| 1 | 機械 | 人、動物の力を使用せず電気、空圧、油圧、火力などをエネルギーとする駆動部分を含む製品を指す(例:ロボットや3Dプリンター、電動工具、建設機械など) |
| 2 | 関連製品 (安全防護用部品など) | ・交換可能な装置 ・機械の安全性を確保する部品 ・揚重具(荷物を持ち上げるための機械やリフト関連) ・チェーン、ロープ、ウェンビング ・取り外し可能な機会伝達装置 |
| 3 | 部分完成機械 (半完成機械類) | 単体では特定の機能を実行できない組み立て品を指す(機械、部分完成機械または装置に組み込まれ、組み立てられた機械を形成するもの) |
機械規則で除外される範囲
除外範囲となる範囲は以下のとおりです。
| A | 同一のコンポーネントを交換するためのスペアパーツとして使用することを目的とした安全コンポーネント。オリジナル機械、関連製品、または部分的に完成した機械のメーカーによって供給されるもの。 |
| B | 遊園地や娯楽施設で使用するための特定の設備 |
| C | 核施設内で使用するために特別に設計・製造された機械や関連製品であり、機械規則に準拠することでその施設の核安全性を損なう可能性があるもの |
| D | 武器、銃器 |
| E | 空中、水上、鉄道網での輸送手段(それらの手段に取り付けられた機械を除く) |
| F | 規則(EU)2018/1139(1)およびこの規則における機械の定義に該当し、かつ当該規則がこの規則に関連する基本的健康安全要求事項をカバーしている航空製品、部品および装備品 |
| G | 規則(EU)2018/858の適用範囲内にある自動車およびその牽引車両、ならびにそのような車両用に設計・製造されたシステム、部品、別個技術単位、部分および装備品(それらの車両に取り付けられた機械を除く) |
| H | 規則(EU)第168/2013号の適用範囲内にある二輪または三輪車、四輪車ならびにそのような車両用に設計・製造されたシステム、部品、別個技術単位、部分・装備品(それらの車両に取り付けられた機械を除く) |
| I | 規則(EU)第167/2013号の適用範囲内にある農業・林業トラクターならびにそのようなトラクター用に設計・製造されたシステム、部品、別個技術単位、部分・装備品(それらのトラクターに取り付けられた機械を除く) |
| J | 競技専用の自動車 |
| K | 海上船舶、移動式海洋施設ならびにその船舶・施設に搭載された機械 |
| L | 軍事、警察の目的のために特別に設計・製造された機械や関連製品 |
| M | 一時的に実験室で使用するために研究目的で特別に設計・製造された機械や関連製品 |
| N | 鉱山巻き上げ装置 |
| O | 芸術的な演技中に演者を移動させるための機械や関連製品 |
| P | 次の電気および電子製品であって、低電圧指令(LVD:Low Voltage Directive)または無線機器指令(RED:Radio Equipment Directive)の適用範囲内にあるもの ・ 家庭用電気家具でない家庭用電気機器 ・オーディオおよびビデオ機器 ・情報技術機器 ・普通のオフィス機器(三次元製品を生産する付加物印刷機を除く) ・低電圧スイッチギアおよび制御装置 ・電動モーター |
| Q | 次の高電圧電気製品 ・スイッチギアおよび制御装置 ・変圧器 |
まとめ
これまで機械指令から機械規則へ移行することで生じる変化の内容を5章にわけて解説しました。
機械規則が施行される2027年1月まで時間は限られています。
認証スケジュールの調整や認証済み部品の入手は、施行間際になると非常に難しくなると予想されます。
機械規則に関連する準備は、余裕をもった対応を推奨します。
注)原文は英語であり、上記日本語との間に不一致がある場合は原文を優先するものとします。また、本文中の日時は現地時間です。


