製品認証

機械指令(2006/42/EC)から機械規則(EU)2023/1230へ~第4章:構造の比較と変更内容~

2025-09-11

前回までのコラムでは、
第1章:変更概要第2章:スケジュールと内容第3章:機械規則発効の目的
について解説しました。

第4章では、構造の比較と機械指令から機械規則への変更内容、機械規則における機械メーカーの義務について解説します。

規格の構造変更の比較:検査が必要な機械(高リスクな機械)

第三者認証機関による認証が必要となる内容の記載が「機械指令:附属書Ⅳ」から「機械規則:附属書Ⅰ」に移動しました。また、機械指令では“検査が必要な機械”もしくは“高リスクな機械”と呼ばれておりましたが、機械規則ではこのような文言は使用されていません。ただし、一般産業機械と区別するために使用されている場合があります。

比較表

機械指令から機械規則への変更内容

これまでコラムでも解説しましたが、機械指令と機械規則は、どちらもEU(欧州連合)における機械製品の安全に関する規制ですが、主な違いは以下3点です。

  • 機械規則はより新しい法律であり、指令から規則へと移行した
  • 機械規則は、指令より具体的な要求事項を設け、デジタル技術を用いた製品やサイバーセキュリティに関する規定が追加された
  • 指令は各加盟国で異なる解釈や実施方法が生じる可能性があったが、規則はEU全域で直接適用されるため、統一性が高くなった

変更点の詳細を下記20項目にまとめました。

1Machinery / the machinery が the machinery product へ置き換わった
2must が shall へ置き換わった
3本文中の this Directive が this Regulation へ置き換わった
4本文中の Community Directives が Union legislations へ置き換わった
5箇条書きの項目に文字または番号が与えられた
6適合宣言書の要素としてテクニカルファイルコンパイラの要求がなくなった
7ハイリスクの機械製品として「24. AIシステムを含む、安全機能を確保するソフトウェア」「25. 安全機能を確保するAIシステムを組み込んだ機械」が追加された
8安全部品の指標リストに「18. AIシステムを含む、安全機能を確保するソフトウェア」「19. 農薬を含む危険物や物質からオペレータやその他の人を保護するために、機械のキャビンに組み込まれるろ過システム、およびそのようなろ過システム用のフィルタ」が追加された
91.3.7項のタイトルに「psychological stress」「心理的ストレス」が加わった
101.3.7項に心理的ストレスに関する内容の段落が加わった
111.5項 Risk due to other hazards が Risk due to other causes へ変更された
121.5.12項 レーザーに関する要求の「should」が「shall」へ置き換わった
131.5.13項 有害物質の排出に関する要求に「captured(捕獲)」が追記された
141.6.2項 操作位置やサービスポイントへのアクセス要求に救出に関する内容の段落が加わった
151.7.4項 取扱説明書に関する要求にデジタル型式に関する記載が追記された
161.7.4.2 (c)項 EU適合宣言書に関する要求に関して、宣言書のコピーを取扱説明書に含める代わりとしてEU適合宣言書へアクセスできるインターネットアドレスも許可された
171.7.4.2 (r)項 「機械製品の設計と使用を考慮して」という表現が加わった
181.7.4.2 (u)項 騒音測定の整合規格が適合できない場合の文章が書き替えられた
191.7.4.2 (u)項 騒音低減機械製品に関する記載が加わった
201.7.4.2 (w)項 有害物質の排出に関する(w)項が加わった

機械規則における「機械メーカーの義務」とは

義務を果たす=順守しなくてはならないルールとはなにがあるのか、「機械の製造業者」と「半完成機械の製造業者」が担うそれぞれのルールを解説します。

「機械の製造業者」の義務

1製品は附属書Ⅲ「必須の健康および安全要件」に従って設計および製造されること。
2市場投入前に「適合性評価手順」を実行し、「技術文書」を作成すること。製品が要件に適合している場合は、「EU適合宣言書」を作成し、CEマーキングを貼付すること。
3市場投入後、「技術文書およびEU適合宣言書」を少なくとも10年間保管すること。なお、ソフトウェアが関係する場合、ソースコードまたはプログラミングロジックを保管し、管轄当局より要求があった場合は、提供すること。
4連続生産の一部である製品が本規則に準拠し続けるための、品質管理システムが整備されていること。
5製品には、モデル、シリーズまたはタイプ、製造年が明記されていること。
6自社名、登録商号または登録商標、連絡先を表示すること。
7使用説明書および附属書Ⅲに記載されている情報が添付されていること。使用説明書はデジタル形式でも提供可能で、ユーザーが容易に理解できる言語で書かれていること。
8製品にEU適合宣言書が添付されていることを確認すること。デジタルのEU適合宣言書は、製品の市場投入後または使用開始後少なくとも10年間、オンラインでアクセスできるようにすること。
9市場投入または使用開始した製品が本規則に適合していないと分かった場合は、必要な是正措置を直ちに講じること。そして、適宜、適合性を撤回したり、リコールしたりすること。
10管轄当局から要求されたら、製品がこの規則に適合していることを証明するために必要なすべての情報および文書を提供すること。また、当局の要請に応じて、市場に投入または使用開始した製品によってもたらされるリスクを排除するために講じる措置について、当局に協力すること。

「半完成機械の製造業者」の義務

1部分的に完成した機械を市場に出すために、附属書Ⅲ「必須な健康および安全要件」に従って設計および製造すること。
2市場投入前に技術文書を作成し、適合性をEU組み込み宣言書で証明すること。
3技術文書とEU組み込み宣言書を少なくとも10年間保管し、必要に応じて管轄当局に提供すること。
4連続生産の一部である機械が規則に準拠し続けるための品質管理手順を整備すること。
5市場に出す機械は、名称、製造年、モデル、シリーズまたはタイプ、バッチ番号、シリアル番号などの識別情報を明示すること。
6自社名、登録商号または登録商標、連絡先を機械上に表示すること。
7部分的に完成した機械に組み立て説明書を添付し、デジタル形式で提供できるようにすること。
8EU組み込み宣言書を添付し、また、デジタル形式でも提供すること。
9市場に投入した機械が規則に適合していない場合、是正措置を講じ、必要に応じて管轄当局に通知すること。
10必要なすべての情報および文書を管轄当局に提供し、リスクを排除するための当局措置に協力すること。

まとめ

機械指令から機械規則へ変更されることで下記の内容に変化が発生します。

  • 指令から直接適用される規則への移行
  • IoTやAIといった新興技術の考慮
  • サイバーセキュリティ要件の強化
  • 高リスク機械の定義追加
  • サプライチェーン内の事業者責任の明確化
  • 取扱説明書の多言語デジタル提供義務化

移行と今後の対応として、製造業者は製品のリードタイムを考慮し、早急に新しい規則への対応を始める必要があります。

次回最終章となる第5章では、「適用範囲」「CR Act」「AI Act」などについて解説します。

注)原文は英語であり、上記日本語との間に不一致がある場合は原文を優先するものとします。また、本文中の日時は現地時間です。

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