GSTC認証授与式インタビュー:Tricolage株式会社「サステナブルツーリズムの未来をつくる」
ビューローベリタスジャパンは、Tricolage株式会社(トリコラージュ)にGSTC(グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会)ツアーオペレーター認証書を発行、2026年1月8日、認証書の授与式およびインタビューを行いました。
インバウンド市場の急拡大、サステナブルツーリズムの広がり、そして認証がもたらした企業変革。創業から5年で業界のキープレイヤーへと成長したTricolageの“現在地”と“未来”について伺いました。
■インバウンドの急回復とTricolageの成長
― インバウンド需要はこの3年で急増していますね。
Tricolage吉田氏:
2023年の国際線再開以降、訪日客は年々大きく伸びています。旅行事業はインバウンドのお客様が100%で、2024~2025年は問い合わせが驚くほどのスピードで増えました。それでも、私たちは人数ベースで広げるやり方ではなく、体験の質を大切にしています。創業以来の“深い体験を届ける”という軸は変えません。例えば、地域の方々と一緒に年末年始の行事へ参加する、古民家の暮らしに触れる、といった本物の文化や生活文化に触れる設計を続けています。単に観光地を巡るのではなく、“地域の時間に入る”旅を大切にしています。
■「ローカルとつながる」事業の広がりとGSTC認証の影響
― 創業から5年。やりたかったことは実現できていますか?
Tricolage 吉田氏:
創業時は“知名度もこれからの会社”でしたが、今では全国の自治体・地域事業者とつながり、現地に通い、耳を傾け、その土地の課題と魅力の“深いところ”から旅を組み立てる体制が整ってきました。GSTC認証という“客観基準”を持ったことで、社内では意思決定の軸が明確になり、社外には私たちの姿勢が分かりやすく可視化されました。結果として、地域側から相談をいただく機会が増えています。
Tricolage ベンジャミン氏:
認証直後に売上が急増したわけではありません。ただ、日本に具体的な成功事例が生まれたことが大きかった。“ここに実践例がある”と示せることでGSTCへの理解と関心が広がり、その連鎖のなかでTricolageも徐々に認知されるようになりました。
ビューローベリタス:
いわば、“称号”以上に信頼の土台になったわけですね。認証を入口に、現地での実践が次のご縁を呼ぶ良い循環が生まれている、と。
■認証が与えた影響
「価値観で会社を選ぶ」人材との接点が拡大
Tricolage 吉田氏:
GSTC取得後、海外の学生・若手からの問い合わせが確実に増えました。学びのなかでGSTCに触れてきた方が、「国際基準に沿った実践」を評価軸に私たちを見つけてくれます。選考でも、「なぜサステナブルツーリズムか」「地域にどんな価値を残したいか」といった価値観の対話から始められるようになりました。認証は、私たちのスタンスを一目で共有できる共通言語になっています。
“価値観で会社を探す人”が増えました。認証があることで、私たちの姿勢を一から説明しなくても伝わります。
認証を“維持する”ことで、日々の仕事が着実に良くなる
Tricolage 藤田氏:
認証の価値は“取った瞬間”に生まれるものではなく、日々の運用のなかで積み重なっていくものだと感じています。特別な施策を増やすより、普段の仕事を丁寧に続けることが、結果的に組織の力につながります。
毎日の仕事が基準とつながる:
週次・月次のふり返りのなかで、自分たちの活動がどの要求事項に当てはまるのかを確認する習慣がつきました。活動を整理する際に「これは環境の視点」「これは文化の視点」と自然に共有できるようになり、メンバー間の認識が揃いやすくなったと感じます。これは、判断のばらつきを抑え、業務をより安定させる効果にもつながっています。
足りないところが見え、改善が前に進む:
基準を手がかりに業務を振り返ることで、どこができていて、どこが足りないのかが自然と見えるようになりました。気づいたところを少しずつ整えていくことで、結果として品質や安全性が着実に底上げされている実感があります。
説明がシンプルになり、信頼が生まれやすい:
判断の理由を国際基準に沿って説明できるようになったことで、自治体やパートナー企業とのコミュニケーションがスムーズになりました。意図や背景が伝わりやすくなるため、初めての方とのやり取りでも安心して進められるようになっています。
“監査の時だけ頑張る”のではなく、“ふだんから回す”こと。丁寧に記録し、定期的に見直すことで、体験の質は自然と上がっていきます。
■サステナブルツーリズムは「ラベルではなく体験」
― 旅行者は“サステナブルだから”という理由で選んでいるのでしょうか。
Tricolage 吉田氏:
最初からそこを強く意識される方は多くありません。けれど、地域住民の台所に入れていただくような体験や、年越しの餅つきに一緒に手を添える瞬間は、旅の記憶に深く残ります。私たちは「ラベルとしてのサステナブル」ではなく、「設計思想としてのサステナブル」を重視します。旅の導線、受け入れ側の負担、文化への敬意―こうした目に見えにくい設計の積み重ねが、結果としてサステナブルな体験を生み出すと考えています。
■中小宿泊事業者と認証の課題
― 大手ホテルチェーンが先行している印象があります。現場感はいかがですか。
Tricolage 吉田氏:
私たちは、家族経営の古民家宿や、地域の文化を守る小規模な旅館を積極的にご紹介しています。ただ、GSTCは言語、人手、費用、年次審査対応の観点でハードルが高い現実があります。一方で、段階制で取り組みやすい認証(例:サクラクオリティ)は入り口として有効です。施設や地域の実情に合わせ、認証取得に向けた無理のないルート設計を、ビューローベリタスジャパンと一緒に増やしていきたいです。
ビューローベリタス:
まずは“できるところから”。自治体と連携し、数件単位の成功例を積み上げることで、周辺に前向きな連鎖が広がるはずです。
■ビューローベリタスの想い:観光・宿泊業のサステナビリティ転換を支える
ビューローベリタスにとってサステナビリティは最重要テーマです。GSTCは観光分野の中心にある取り組みで、選ばれ続けるための第三者の信頼を提供します。監査の現場でも、条文照合にとどまらず“本質を伝える”ことを心がけています。気づきを促し、良い点をさらに伸ばす。審査を通じて、組織の運用が一段強くなることを目指しています。
日本においてGSTCに認定された認証機関は、現時点でControl Union Japan、Vireo Japan、ビューローベリタスジャパンの3社です。先行者利益が働く領域でもあり、今後3年は認証・研修・地域連携を面で進めることに注力します。国内プレゼンスを高めつつ、Tricolageの現地ネットワークと掛け合わせて成功事例を増やすことが普及の近道だと考えています。
■認証に取り組む宿泊施設の“リアル”
Tricolage 藤田氏:
国内客中心の旅館は“身近なサステナブル”から着手し、インバウンド中心のホテルは早期から認証に積極的、この構造は各地で感じます。コロナ後の反動を経て、差別化と価値観の明示が求められる時代。独立した第三者認証は、「言葉」ではなく「証拠」で示せる手段として、現場の意思決定を後押ししています。
■これからの日本のサステナブルツーリズム~地域・中小・グローバル、全てをつなぐハブになる~
― 次の3年をどう描きますか?
Tricolage 吉田氏:
自治体が主導して地域内で複数施設の認証を後押しする動きは増えています。私たちは地域の声を束ねる役割を担い、ビューローベリタスジャパンには審査と教育の専門性で伴走いただき、小規模でも続けられる運用モデルを各地で形にしていきたい。比較・検討の場を丁寧に設計し、言語や手間の壁を下げるサポートも強化したいですね。
ビューローベリタス:
まさに協働で“面”を広げるフェーズです。点の成功を線に、線を面に。Tricolageと一緒に、地域・中小・グローバルをつなぐハブとして、日本発のサステナブルツーリズムの輪を広げていきます。
■最後に:協働が描く未来
サステナブルツーリズムは、地域文化の継承、観光地の持続可能性、旅行者の深い体験価値を同時に実現する新しい観光の形です。
Tricolageは「日本の本物を、世界に届ける」、ビューローベリタスは「サステナブルツーリズムの信頼を支える」。
二つの想いを交差させ、日本の観光の未来を静かに、しかし着実に前進させていきます。
システム認証事業本部
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ビューローベリタスジャパン(株)システム認証事業本部
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