FSSC 22000 Ver.6.0 審査現場から見えた最新トレンドと注意点~2025年審査データが示す日本とグローバルの違い~
はじめに
2025年、FSSC 22000 Ver.6.0への移行が完了し本格化した審査データから、グローバルと日本の不適合TOP10を比較すると、両者には明確な違いがあり、日本企業特有の課題が見えてきました。先般、アシュアランスポータルにアップロードされた審査の集計結果がFSSC財団によって公開されました。
本記事では、この結果を基に実務上の注意点を解説します。
1.日本とグローバルの不適合傾向-両者の違いについて
■グローバルの特徴:ハード面の管理不備

FSSC財団発行 不適合TOP15【グローバル】
世界的に最も指摘が多いのは「物理的汚染」(1位)であり、「予防および是正保守」(2位)、「内部構造および備品」(5位)と、設備・施設管理に関する不適合が上位を占めています。これは、グローバル規模の大型施設における物理的リスク管理の難しさを反映しています。
また、Ver.6.0の追加要求事項である「食品安全と品質の文化」(7位)や「環境モニタリング」(8位)、「アレルゲンの管理」(10位)がTOP10入りしており、追加要求事項への対応が課題となっています。
■日本の特徴:文書・プロセス管理の不備

FSSC財団発行 不適合TOP15【日本】
日本で最も多い不適合は「フローダイアグラムの作成」(1位)であり、グローバルではTOP15に入っていません。これは日本企業特有の弱点と言え、製造工程の可視化や、変更管理との連動が不十分なケースが目立ちます。
さらに「不適合および是正処置」(5位)、「外部から提供されるプロセス、製品またはサービスの管理」(6位)、「文書化した情報」(7位)と、マネジメントシステムの運用面での不備が上位に並んでいます。
■共通課題
「品質管理」(グローバル3位、日本2位)、「モニタリングおよび測定の管理」(グローバル9位、日本3位)、「アレルゲンの管理」(グローバル10位、日本4位)は両者で共通して上位にランクインしており、世界共通の課題と言えます。
2.日本企業が陥りやすい4つの落とし穴
① フローダイアグラムの形骸化
日本においてフローダイアグラムの作成が不適合1位の理由は、フローダイアグラムの形骸化にあります。多くの企業で、作成時のフローダイアグラムが更新されず、実際の製造工程と乖離しているケースが見られ、製造ラインの変更や新製品導入時に、フローダイアグラムの見直しが漏れている可能性が高いと推測されます。
対策として、フローダイアグラム検証者のレベルアップおよび変更管理プロセスにフローダイアグラムの更新を組み込み、年1回以上の定期見直しを実施することが有効です。
② 是正処置の根本原因分析不足
「不適合および是正処置」が日本5位(グローバル15位)である理由として、対応が修正に留まり、根本原因の追究が不十分なケースが多いことにあります。5Why分析やフィッシュボーン図などの手法が効果的に活用されていないことが考えられます。
対策には、是正処置の担当者に対する5Why分析やフィッシュボーン図などの手法のトレーニングが有効です。
③ 外部委託先管理の不備
「外部から提供されるプロセス、製品またはサービスの管理」が日本では6位となっています。原料や資材のサプライヤー評価にとどまっているケースが多く、食品安全に影響を与えるサービス業者(例:防虫防鼠業者やメンテナンス業者など)の評価が漏れているケースがあります。食品安全に影響するサービスは何が該当するか再確認する必要があります。
④ 予防保守プログラムの構築
「予防および是正保守」がグローバル2位に対し、日本では14位となっており、設備の突発故障が食品安全リスクにつながるという認識が薄いことが見てとれます。
まとめ
2025年のFSSC 22000 Ver.6.0審査データは、日本企業が「文書・プロセス管理」に課題を抱える一方、グローバルでは「設備・施設管理」が重点課題であることを示していました。
特に、フローダイアグラムの定期更新、根本原因分析の徹底、外部委託先管理の強化については、改善すべき事項として認識して取り組む必要があります。
出典:
FSSC財団提供資料:2025年1月1日~12月31日実施のFSSC 22000 V6審査
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