外壁タイルの剥がれの原因~放置するリスクと対処法~
ビルやマンションの外壁タイルが剝がれると、見栄えが悪くなるだけではなく、人命や建物の安全性にかかわる深刻な問題を引き起こすおそれがあります。
本記事では、外壁タイルの剥がれの原因と、放置するリスクや適切な対処法、必要な点検について解説します。建物を所有・管理している方は、ぜひ参考にしてください。
外壁タイルの剥がれは、経年劣化や自然災害によって生じる
建物の外壁タイルの剥がれは、おもに以下のような要因によって生じます。
- 紫外線
- 太陽光による熱
- 風雨
- 台風
- 雨水による浸食
- 地震
- 温度差による膨張・収縮
- 施工不良
- 接着剤の粘着力の低下 など
外壁タイルは紫外線や太陽光にさらされ、雨水による浸食が続くため、経年劣化が避けられません。また、台風や地震といった自然災害のダメージを受けやすく、最終的に以下のような外壁タイルの浮き・剥落が発生することがあります。

撮影:ビューローベリタスジャパン
このような浮き・剥落に関しては、外壁の施工不良や接着剤の劣化なども原因として考えられます。外壁タイルの剥がれを見つけた場合、速やかに修繕を行なうべきです。
また、タイル自体の強度は低下しませんが、経年劣化や自然災害などによって美観を損ねる「白華現象」が発生する可能性があります。

撮影:ビューローベリタスジャパン
外壁タイルの剥がれを放置するリスク
外壁タイルの剥がれをそのまま放置した場合、以下のようなリスクが発生します。
- タイルの落下による人身事故が発生するおそれがある
- 建物全体の耐久力が低下する
- 美観が損なわれて資産価値が下落する
各リスクについて、詳しく解説していきます。
1.タイルの落下による人身事故が発生するおそれがある
外壁タイルの剥がれを放置することによる最大のリスクは、人身事故です。過去には建物から落下したタイルが建物の利用者や通行人に直撃し、重軽傷を負わせてしまう事故が数多く発生しています。
事故によって被害状況は異なりますが、原因の大部分は先述した経年劣化や雨水による浸食などの環境的要因です。また、定期検査や日常点検を実施していない、あるいは点検が不足していた事例もあります。
タイルの落下による人身事故が起こると、建物の所有者や管理者が損害賠償責任を負わなければなりません。
このようなリスクを避けるためにも、外壁タイルの状態はたびたび確認しましょう。
関連記事:外壁タイル落下事故の事例4選から見る、外壁調査の重要性を解説
2.建物全体の耐久力が低下する
外壁タイルが剥がれたままになっていると、ひび割れや欠損箇所から雨水が侵入し、コンクリートの劣化や鉄筋・鉄骨の錆びを引き起こす原因になります。その結果、建物の骨格である躯体部分がダメージを受けるため、建物全体の耐久力が低下します。
また、雨水がタイル内部に入り込むことで他のタイルまで剥落し、さらに被害が拡大する可能性があります。
先述のとおり、外壁タイルは常に太陽光や風雨にさらされているため、雨水による耐久力の低下はいつ発生してもおかしくありません。建物の耐久性を損なわないためにも、定期的な点検・メンテナンスが必要です。
3.美観が損なわれて資産価値が下落する
外壁タイルが剥がれた状態の建物は、当然ながら見栄えが悪くなります。美観が損なわれるだけではなく、周囲から「建物の管理が行き届いていない」と判断され、その結果、資産価値の下落につながる可能性が考えられます。
建物の資産価値が下がると、テナントや部屋の入居率が下がりやすくなります。空室が増えると建物の収益状況の悪化は避けられません。
また、建物を売却する際にも資産価値が大きく影響します。資産価値が低い物件は購入希望者が見つかりにくいうえに、見つかったとしても売却価格は安くなります。
外壁タイルはただの飾りではなく、資産価値にもかかわる重要箇所という認識を持ちましょう。
外壁タイルが剥がれた場合の対処法
外壁タイルが剥がれてしまった場合は、早めの補修や張り替えが必要です。また、剥がれ方によって適切な対処法は変わります。
1.タイルが部分的に剥がれた場合
外壁タイルが数枚だけ剥がれているなど部分的な劣化にとどまっている場合、接着剤を使ってタイルを再度貼り付けるといった小規模な補修工事で済みます。そのため、劣化の進行具合や範囲が小さいうちに施工業者から見積りをとり、修繕を依頼しましょう。
ただし、高所のタイルを補修する場合には、足場や高所作業車を用意しなければならないため、部分的な剥がれでも費用が高くなる可能性はあります。
2.タイルが全体的に剥がれたり、浮き上がったりしている場合
外壁の劣化が進んだ結果、タイルが全体的に剥がれたり、浮き上がったりすることがあります。この場合、既存のタイルをすべて剥がしてから新しいタイルに張り替えるなど、大がかりな修繕工事が必要になる可能性があります。
工事の規模が大きくなれば、当然ながら費用も高くなります。さらに、工事完了までの期間が長くなるため、建物の所有者や管理者だけではなく、入居者や利用者にとってもデメリットが大きいです。
こういった状況に陥らないよう、予算やスケジュールを組んで早めに対処することが大切です。
外壁タイルの劣化を未然に防ぐために、こまめな点検を
外壁タイルの剥がれを予防するためには、日頃からこまめに外壁を点検しつつ、大事に至る前に対処することが大切です。外壁タイルを対象とした専門家による点検には、おもに「12条点検」と「建物劣化診断」の2種類があり、それぞれ概要や注意点を紹介します。
12条点検
12条点検とは、建築基準法第12条に定められた以下4種類の定期点検の総称です。
- 特定建築物定期調査(調査対象の用途・規模に応じて毎年または3年ごとに調査)
- 建築設備定期検査(毎年検査)
- 防火設備定期検査(毎年検査)
- 昇降機等定期検査(昇降機は毎年、遊戯施設等は半年ごとに調査)
上記のうち「特定建築物定期調査」には、外壁に関する検査項目が含まれています。建物の所有者や管理者は、法定点検義務を遵守しつつ、利用者の安全確保および建物の環境維持に努めなければなりません。
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建物劣化診断
建物劣化診断とは、適切かつ無駄のない修繕を行なうために、構造躯体・外壁・電気設備・消火設備・外構などの劣化や不具合の状況を詳細に調べる検査のことです。12条点検とは異なり、任意で行ないます。
建物劣化診断を実施すれば、外壁タイルも含めて修繕すべき箇所の優先順位をつけたり、修繕の時期やおおよその予算を把握したりすることが可能です。12条点検が義務付けられていない建物や、築年数が経過した建物を所有・管理している場合、定期的に建物劣化診断を行なうことをおすすめします。
外壁が特に心配である場合には、壁面全体を打診する調査や赤外線カメラを用いる調査、ドローンと赤外線カメラを組み合わせた調査等、外壁に特化した劣化調査を検討されるとよいでしょう。
参考:劣化診断調査
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まとめ
ビルやマンションの外壁タイルは性質上、経年劣化や自然災害によって剥がれてしまう可能性があります。剥がれを放置すると、タイルが落下して人身事故を引き起こしたり、建物の躯体部分まで劣化が進んだりするおそれがあるため、早めに対処しましょう。
また、外壁タイルの劣化自体を予防するために、専門家による12条点検および建物劣化診断を行なうことが大切です。
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