なぜエネルギーマネジメント(ISO50001)が重要なのか
温室効果ガス排出量の抑制は世界中で喫緊の課題であり、国連、各国、そして各企業はこの課題への対応を進めています。
世界的にみてエネルギー消費が温室効果ガス排出の最大の原因であり、環境悪化につながっています。以下のデータからも、世界の温室効果ガス排出量の約3/4がエネルギーの消費に起因していることが分かります。
部門別の世界の温室効果ガス排出量
Climate watch the world resources institute(2020)をビューローベリタスが加工
このことからエネルギー消費の無駄を省くことが地球温暖化の抑制につながることが分かります。国際エネルギー機関(International Energy Agency:IEA)は、必要なエネルギー緩和策のおよそ1/2はエネルギー効率の改善からもたらされる必要があると見積もっています。
またこの活動は、世界中の経済を持続的に成長させるための財源を提供することになります。
このような背景から各企業はエネルギーマネジメントの重要性を認識して活動を進めており、一つのツールとしてISO50001を利用する組織が増えています。ISOマネジメントシステムは、PDCAサイクルを回してシステムの継続的改善を進めていきます。現在そして将来のエネルギー効率および温室効果ガス削減量を達成するために組織全体のエネルギー目標を策定し、実現のための施策を行っていくことで企業全体を改善するものです。
また、エネルギーの消費自体が組織運営にとって大きなコストになることは事実です。ISO50001の仕組みを利用することで、エネルギー消費を特定し、測定・管理するためのシステマティックなアプローチを行うことで、コストの削減に寄与します。
以下、ISO50001とISO14001の考え方を示しています。共通の要求事項が多く、考え方やアプローチが似ていることから、ISO14001認証組織には非常に理解しやすいものであると考えます。審査・認証のプロセスも同じです。
ISO50001とISO14001の比較
ISO50001の国別認証件数
ランク | 国 | 認証件数 |
---|---|---|
1 | 中国 | 7,592 |
2 | ドイツ | 5,523 |
3 | スペイン | 3,326 |
4 | イタリア | 1,656 |
5 | フランス | 1,010 |
6 | イギリス | 921 |
7 | インド | 894 |
8 | ハンガリー | 562 |
9 | トルコ | 527 |
10 | 台湾 | 456 |
11 | オーストリア | 390 |
12 | チェコ | 332 |
13 | クロアチア | 310 |
14 | ペルー | 297 |
15 | アイルランド | 255 |
― | 日本 | 10 |
The ISO Survey of Management System Standard Certifications 2022 をビューローベリタスが加工
国別認証件数の表から、税制面で優遇される国がある欧州諸国での認証が進んでいることが見てとれます。昨今では欧州の顧客からの要請を受けてISO50001の認証を目指す組織が増えています。
最後に、ISO50001認証のメリットを以下4つの観点から示します。コンプライアンスやコスト低減への寄与についてはイメージし易いですが、これからはレピュテーションとしてビジネスの拡大や競争優位性、リスクマネジメントという点からもISO50001の活用が有効となりえます。
コンプライアンス
- GHG排出削減目標の達成に貢献
- エネルギー法規制の遵守
- 罰金や訴訟の可能性を減らす
コスト低減
- 無駄を省き、効率を高める
- 調達手続きの改善
- コスト削減
レピュテーション
- 評判とステークホルダーの満足度向上
- 新規顧客やビジネス・パートナーへのアクセス向上
- ビジネスを成長させる競争上の優位性を提供する
リスクマネジメント
- 事業およびエネルギー計画の改善
- 節約したエネルギーをほかの事業分野に再投資できる可能性がある
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