人権監査(HRAB監査)について
人権監査(以下、HRAB監査)とは、ILO条約や国内法令、グローバル監査基準などを基に、ビューローベリタスが独自に開発した監査スキームです。
昨今、日本でも企業に対し、さまざまなステークホルダーから人権順守やその情報開示要求が高まっています。特に外国の大手顧客を抱える企業には、既に現況報告要請や監査要請を受けている組織もあるでしょう。そのような要請が来る前に、自主的に監査を実施し体制を整えることは、ひとつの重要なリスク管理になるでしょう。
今回は、HRAB監査の概要やその背景などについて解説いたします。
- HRAB監査スキーム誕生の背景
- HRAB監査概要
- HRAB監査の利点
1.HRAB監査スキーム誕生の背景
HRAB監査が誕生した背景には、昨今の企業に対する人権に対するコンプライアンス要請の高まりにあります。2011年に国連から「ビジネスと人権に関する指導原則」が制定され、企業に対する人権尊重のガイドラインとして示されました。
また昨今、ESG(環境、社会、ガバナンスを順守する企業への投資)やSDGs(2015年採択、持続可能な開発目標)など、企業が順守すべき指標が増えています。これらは、1990年代に主にアパレル業界のサプライチェーンにおける労働問題に端を発しています。当時アパレル業界のサプライチェーンでは、いわゆる「スウェットショップ」と言われる、児童労働や過酷な労働環境というものがありました。労働者の人権侵害や法令違反が蔓延し、その様子が世界に紹介され、企業への説明責任問題に発展しました。株価は下がり、ブランド価値は毀損され、企業へのダメージは相当なものでした。
一方、国内に目を向けると、東京五輪が開催されるはずだった2020年に「ビジネスと
人権に関する行動計画」という指標が制定され、本格的に日本企業のアクションが求められるようになりました。
~企業の社会的責任のイメージ~
(ビューローベリタスウェブサイトより)
2.HRAB監査概要
HRABとは、Human Rights Audit Base Gradeの頭文字からネーミングされました。 労働と安全衛生の分野をカバーしています。 監査対象は中小企業から大企業まで、また全ての業界の組織を含みます。
【監査の流れ】
1)組織が自己調査票を記入
2)ビューローベリタスによる監査実施
■ 監査工数
1日(組織の規模により、工数増加もある)
■ 主な監査項目
- 労働時間
- 強制労働
- 差別の禁止
- 賃金
- 緊急時の備え
- 職場の安全性
- 衛生
3)サマリーを含む監査報告書発行
~報告書サマリーイメージ~
3.HRAB監査の利点
- 組織の人権に関する現状を把握
- 組織の人権に関するアクションプランへつなげる
- 組織の人権への取り組みを社内外に可視化
- 顧客要求への対応の一歩
ビューローベリタスからのご提案
「人権や倫理と言われてもピンとこない」
「人権対応はしたいが、どこから始めてよいか分からない」
「センシティブなトピックであり、社内での内部監査は難しい」
などの理由で、具体的な一歩を踏み出せていない企業が多いと思われますが、
まずは最初の一歩を「健康診断」の気持ちで踏み出してみてはいかがでしょうか。
ビューローベリタスには、経験豊富かつ専門知識を擁する監査員が揃っており、世界中で監査機関としてのブランド認知度も非常に高いです。
監査実施に向けたプロジェクトのご相談やお見積りのご要望等、ぜひお気軽にお問い合わせください。
システム認証事業本部 川手 洋明
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