ISCC CFC認証(ISCC Carbon Footprint Certification)
製品カーボンフットプリントの信頼性を高める、ISCCの認証制度
ISCC CFC(Carbon Footprint Certification)は、製品に関連する温室効果ガス(GHG)排出量を、製品カーボンフットプリント(PCF)として第三者が確認する自主的な認証制度です。製品ごとの気候変動影響をCO2eで定量化し、サプライチェーン上の顧客・取引先に対して、透明性・再現性・信頼性のあるカーボンデータを提供することを目的としています。
近年、Scope 3排出量管理、低炭素製品への需要、顧客からのPCFデータ要求、CBAMや欧州電池規則などの規制対応を背景に、製品単位のGHG排出量データの重要性が高まっています。ISCC CFC認証を活用することで、企業は自社製品のPCFを標準化された方法で算定・検証し、排出量管理、削減施策の説明、顧客への情報提供、サステナビリティ戦略の実行に活用できます。
ビューローベリタスは、ISCC認証、GHG排出量、製品カーボンフットプリント、サプライチェーン管理に関する知見を活かし、ISCC CFC認証に向けた対象製品・サイトの整理、算定範囲の確認、データ収集体制の構築、監査対応準備まで、実務に即した対応を支援します。
ISCC CFCとは
製品ごとのカーボンフットプリントを、標準化された方法で確認する認証制度です
ISCC CFCは、ISCC(International Sustainability and Carbon Certification)が提供する、製品カーボンフットプリントの認証制度です。ISCCは、ISCC EU、ISCC PLUS、ISCC CORSIA、ISCC CFCなど、市場や用途に応じた複数の認証制度を運営しています。

| 認証種類 | 主な対象範囲・対象原料 | 特徴・ポイント |
|---|---|---|
| ISCC PLUS | EU域外を含む幅広い製品 ●食品、飼料 ●バイオプラスチック・樹脂 ●化学品 ●リサイクル原料・製品 ●バイオ由来製品・包装材・繊維 など | ●最も自由度の高いスキームで、RED IIの規制対象外市場に適用 ●廃棄物由来原料やリサイクル原料の利用を証明可能 ●サプライチェーン全体のトレーサビリティを確保し、企業の持続可能性を対外的に示せる認証として広く普及 |
| ISCC EU | EU域内のバイオ燃料市場 ●バイオ燃料・バイオマス燃料 ●農業・森林バイオマス、廃棄物・残渣 ●RFNBO(水素・e-fuel等) ●リサイクル燃料・原料 ●SAF(EU規制向け) など | ●EU再生可能エネルギー指令(RED II)に準拠 ●GHG排出削減率や土地利用要件など、厳格な法的基準に従う必要がある認証スキーム |
| ISCC CORSIA | SAF製造事業者、SAF原料供給者、航空燃料サプライチェーンなど ●国際航空向けSAF(持続可能な航空燃料) ●農林業残渣、廃棄物等からの原料 | ●ICAOのCORSIA(国際航空のカーボン・オフセット/削減制度)に対応 ●CORSIA適格燃料(CEF)として認証し、航空業界のGHG削減に貢献する制度 |
| ISCC CFC | ●化学品・樹脂・燃料 ●バイオ/リサイクル製品 ●あらゆる製品・原材料 | ●製品のカーボンフットプリント(CFP)を算定・第三者検証するための認証スキーム |
ISCC CFCでは、特定の製品およびその製造プロセスに関連するGHG排出量を、標準化された方法論に基づいて算定し、第三者が確認します。対象となるのは、単なる排出削減の主張や持続可能原料の使用だけではなく、定義された製品そのもののPCFです。
また、ISCC CFCはISO 14040/44、ISO 14067、TfS PCFガイドライン、GHGプロトコル等の考え方と可能な限り整合しながら、算定上の解釈幅を一定程度制限することで、PCF結果の透明性、再現性、比較可能性を高めることを目指しています。
ISCC CFC認証の対象
原料、中間材、最終製品など、幅広い製品のPCFが対象となります
ISCC CFC認証の対象は、原料、中間材、最終製品などの製品カーボンフットプリントです。特定の業界や製品に限定されるものではなく、幅広い製品および生産プロセスに適用可能な自主的認証制度として設計されています。
| 区分 | 主な対象例 | 想定される活用場面 |
| 原料 | バイオ由来原料、リサイクル原料、化学原料、素材原料等 | サプライヤーから川下企業へのPCF情報提供 |
| 中間材 | 樹脂、化学品、金属素材、部材、部品等 | B2B取引における製品別排出量の提示 |
| 最終製品 | 包装材、工業製品、消費財等 | 低炭素製品の説明、顧客・投資家への情報提供 |
| 下流取扱事業者 | 加工業者、商社、販売業者等 | 認証済みPCF情報の転送・開示 |
なお、ISCC CFC認証品を取り扱うサプライチェーン下流の事業者が、ISCC CFC認証製品のPCF情報を顧客に転送したい場合、下流事業者側でもISCC CFC認証が必要となる場合があります。
ISCC CFC認証の利点
標準化されたPCFデータにより、顧客説明、排出削減、リスク管理を進めやすくなります
| 利点 | 内容 |
| 標準化されたカーボンフットプリントデータ | 透明性、再現性、信頼性のあるPCFを取得し、顧客・取引先に説明しやすくなります。 |
| 排出管理の強化 | 製品単位で排出ホットスポットを把握し、削減施策や改善投資の優先順位を検討できます。 |
| 顧客・市場への説明力向上 | 検証済みの炭素データを用いて、サステナビリティ情報をより自信を持って共有できます。 |
| 低炭素技術の説明 | CCS、CCU、再生可能エネルギー、クローズドループ、最適化された生産プロセス等の効果を製品単位で整理できます。 |
| 規制・取引先要求への備え | CBAM、Scope 3、欧州電池規則、調達基準など、今後高度化する製品別排出量要求への準備になります。 |
ISCC CFC監査について
PCF計算の正確性、データ根拠、インプット・アウトプット、緩和技術の扱いが確認されます
ISCC CFC認証の監査は、対象製品を製造するサイトごとに実施されます。監査では、PCFの計算結果だけでなく、計算に使用した活動量データ、排出係数、質量・エネルギーバランス、原材料・中間材の情報、製品・廃棄物・残渣のアウトプット、生産量・販売量、入庫量・出庫量などが確認されます。
また、CCS、CCU、再生可能エネルギー、クローズドループシステムなどの緩和技術を用いる場合には、その技術・方法論に応じた追加確認が必要となる場合があります。
ISCC CFC認証書とPCF宣言書
認証書に加えて、顧客へPCF値を伝えるPCF宣言書が重要になります
ISCC CFC監査に合格すると、ISCC CFC認証書が発行されます。認証書には、対象製品やシステム境界に関する情報が含まれますが、認証されたPCF値そのものは必ずしも公開されません。任意で認証書にPCF値を追加することは可能です。
ISCC CFC認証を取得した事業者は、顧客に対して、認証済み製品および納品された製品に関する情報を記載したPCF宣言書を提供します。PCF宣言書には、発行日、発行機関、サプライヤー、受取人、宣言書ID、製品種類、機能単位、PCF値、システム境界、生物起源炭素吸収の扱い、対象製品の納入量などが含まれます。
ISCC CFCとISCC PLUSの関係
持続可能原料・マスバランス管理と、製品別PCF認証を組み合わせて説明できます
ISCC PLUSは、バイオ原料、リサイクル原料、廃棄物・残渣、循環型原料などの持続可能性やトレーサビリティを、マスバランス方式等により証明する認証制度です。一方、ISCC CFCは、特定製品のPCFを標準化された方法で算定・確認する認証制度です。
そのため、持続可能原料の使用を証明したい場合にはISCC PLUS、製品単位のGHG排出量を示したい場合にはISCC CFCが有効です。低炭素原料、再生可能エネルギー、CCS/CCU等を活用する企業では、ISCC PLUSとISCC CFCを組み合わせることで、原料の持続可能性と製品カーボンデータの双方を説明しやすくなります。
ビューローベリタスのISCC関連サービス
ビューローベリタスは、ISCC認証に関するグローバルな知見を活かし、認証取得準備から監査対応まで支援します
ビューローベリタスは、ISCC認証サービスをグローバルに提供しており、農業、林業、バイオエネルギー、バイオ燃料、化学、廃棄物管理、食品・飼料、工業用途など、幅広い分野におけるサプライチェーンの正確性、トレーサビリティ、透明性の向上を支援しています。
日本においても、ビューローベリタスジャパンはISCC PLUS/EU/CORSIA認証について、対象スキームの確認、見積、契約、ISCCユーザー登録、審査、認証書発行までの流れを示しています。
ISCC CFC認証取得までの流れ
| ステップ | 主な内容 | 企業側で必要となる対応 |
| 1. お問い合わせ | 対象製品・対象サイト・目的の確認 | 製品情報、既存PCF算定状況、顧客要求の整理 |
| 2. 適用可能性確認 | ISCC CFCの対象範囲、必要データ、認証スキームの確認 | 原材料、工程、販売形態、サプライチェーン上の役割の確認 |
| 3. 見積・契約 | 審査範囲、サイト数、製品数、複雑性に基づく見積 | 対象範囲の確定、契約手続き |
| 4. ISCCユーザー登録 | ISCCシステムへの登録 | 必要情報の提出、登録番号の取得 |
| 5. データ整備・算定 | PCF算定、証憑整備、PCF宣言書準備 | 活動量データ、排出係数、工程情報、証憑の準備 |
| 6. 監査実施 | 認証機関による監査 | 現地・リモートでの説明、資料提示、質疑対応 |
| 7. レビュー・認証書発行 | 監査結果のレビュー、認証書発行 | 是正対応がある場合の対応、認証書・宣言書の運用 |
よくある質問
ISCC CFCは法的に必須ですか?
ISCC CFCは自主的な認証制度です。ただし、顧客要求、Scope 3排出量管理、低炭素製品の説明、国際取引、将来の規制対応に備える目的で活用される可能性があります。
ISO 14067との違いは何ですか?
ISO 14067は製品カーボンフットプリントを定量化するための国際規格です。ISCC CFCはISO 14067等と整合しながら、より標準化された認証制度として、PCF結果の透明性、再現性、比較可能性を高めることを目的としています。
PCF値は公開されますか?
認証書には製品やシステム境界に関する情報が含まれますが、PCF値は必ずしも公開されません。顧客に対しては、PCF宣言書を通じて必要情報を提供することが想定されます。