電力・ユーティリティ
洋上風力適合性確認について
2024-09-17
概要
2023年3月20日施行の電気事業法の改正に伴い、風力発電設備のうち風車および風車を支持する工作物は特殊電気工作物と定義され、適合性確認の対象となり、発電用風力設備に関する技術基準を定める省令(平成9年通商産業省令第53号)第4条、第5条および第7条に規定する技術基準への適合性確認を行うことが義務化されました。
ビューローベリタスは、登録適合性確認機関として経済産業省より登録(国内で2社のみ)を受け、陸上および洋上の風力発電設備の適合性確認業務を実施しています。
以前「陸上風力適合性確認について」の記事では、陸上風力に対する適合性確認に焦点をしぼって、適合性確認プロセスを紹介しました。
今回は、国のエネルギーミックス水準の方針に従って、近年急激に増えている洋上風力発電案件の状況と、今後の見通しについてご紹介します。
洋上風力発電の位置づけ
2050年のカーボンニュートラルを目指すなか、2030年度におけるエネルギー需給の見通し(エネルギーミックス)によると、電源構成に占める再生可能エネルギー比率は36-38%とすることが必要です。そのなかで、風力発電は、太陽光とともに主力を担う位置づけとなっています。
2030年度電源構成目標

再生可能エネルギー内訳(2030年エネルギーミックス水準)
再生可能エネルギー | 発電容量(GW) | 発電量(億kWh) | 全電源に対する割合 |
|---|---|---|---|
太陽光 | 103.5 - 117.6 | 1,290 - 1,460 | 13.8 - 15.7% |
合計 | 187.3 - 201.4 | 3,360 - 3,530 | 36.0 - 38.0% |
図1 2030年における電源構成目標と再生可能エネルギーの内訳
経済産業省 資源エネルギー庁「2050年カーボンニュートラルを目指す 日本の新たなエネルギー基本計画」
を参考にビューローベリタスにて編集
陸上風力は、17.9GW(2020年度時点の導入量に対し約4倍)の導入が必要です。また、陸上風力の適地が減少するなかで、海に囲まれた日本では洋上風力の大規模導入への期待が高くなっています。洋上風力については、2030年に5.7GWの導入に向けて、再エネ海域利用法を着実に施行し、案件を増やしていく必要があります。さらに2040年には洋上風力で30~40GWの案件形成を目標としています。
風力発電機の大型化
近年、風力発電機の大規模化が進み、今後洋上風力の発電機で10MWを超えるものが使われることが予想されます。例えば、1基12MW発電機を用いるとすると、2030年に5.7GWの導入をするためには475基の洋上風車が必要となります。再エネ海域利用法によって、促進区域、有望な区域、準備区域にリストされているサイトは全部で23ほどありますので、各サイト12MWクラスの風車を平均21基程度設置することになります。

図2 風車の高さ
出典:環境省「令和4年度洋上風力発電の環境評価制度の諸課題に関する検討会取りまとめ」
浮体式洋上風力の開発
現在計画が進められている洋上風力発電は、ほとんどが水深50m程度までの海域に建てられる着床式風力発電設備です。今後2040年に洋上風力で30~40GWの案件を形成するために、水深の深い領域でも設置できる浮体式洋上風力を開発していく必要があります。そのためには、候補海域の調査、浮体式洋上風力の要素技術開発や大規模実証を行う必要となります。

図3 洋上風力発電施設の適用水深
出典:NEDO「浮体式洋上風力発電技術ガイドブック」をビューローベリタスにて編集
ビューローベリタスにおける洋上風力適合性確認
洋上風力の適合性確認は、陸上風力と同様に、申請者(工事計画の届出をしようとする者)が、ビューローベリタスの適合性確認技術基準に記載の申請図書(サイト条件、風車設計、支持構造物設計)を提出し、ビューローベリタスが開催する委員会、分科会のなかで適合性確認を行います。委員会、分科会へは申請者または申請者から委任を受けた方に出席いただきます。委員会、分科会でのコメントおよび指摘事項については「指摘事項および回答書」にまとめ、最終的に適合と判定された案件に適合性確認証明書を発行します。
審査プロセスを効率よく円滑に進めるために、ビューローベリタスでは以下のような方策を取っています。
●技術基準の整備
適合性確認業務は、電気事業法と発電用風力設備に関する技術基準を定める省令など、日本の法規に従うことになるため、以下の基準等を参照してビューローベリタスの技術基準をまとめています。
- 発電用風力設備の技術基準、発電用風力設備の技術基準の解釈
- 洋上風力発電設備に関する技術基準の統一的解説
- 風力発電設備支持物構造設計指針、同解説
- 港湾の施設の技術上の基準、同解説
- IEC/JIS規格等
審査では、申請図書がこの技術基準の要求を満たしているかを確認することになります。
現在、陸上編、洋上着床式編が整備されており、審査に用いられています。法規の変更や審査の過程で確認された事項を反映し、適宜改訂・更新しています。今後、洋上浮体式編の整備も進めていく予定です。
●評価区分ごとの審査
ビューローベリタスが開催する委員会、分科会は以下の評価区分ごとに行われ、それぞれ専門の審査評価委員が審査を行います。
- サイト条件
①風況 ➁海象 ③地盤 ④地震 ⑤その他 - 設計基準
A:サイト条件 B:風車 C:支持構造物 D:風技要件 - 全体荷重解析
- 風車の設計
- 支持構造物の設計
それぞれの評価区分ごとに審査が進行しますので、申請者の設計進捗に合わせたスケジュール調整を行うことが可能です。
●事前相談のしくみ
上述したように適合性確認は、申請者が提出した申請図書ベースで本審査が行われますが、申請図書の作成にあたり、設計条件の設定、設計の方針などの技術課題について事前に委員会のコメントを受ける機会として、事前相談を準備しています。本審査前に課題をクリアにしておく機会としてご利用ください。
その他
ビューローベリタスでは、適合性確認業務のほか発電事業者、メーカー向けサービスを数多く提供しております。ご質問やご相談等ございましたら、ぜひお問い合わせください。
【ビューローベリタスのサービス】
風力発電<陸上および洋上着床式が対象>