LEED v5とv4.1の違いをカテゴリごとに比較|脱炭素重視の内容とは
2025年にリリースされたLEED※1最新版であるLEED v5は、「脱炭素」「生活の質の向上」「生態系への配慮」という3つのインパクト領域を軸に再構成された評価システムです。なかでも、脱炭素への取り組みを重視している点が特徴です。
LEEDの主要評価システムでは、2027年7月1日以降の新規登録はv5のみとなるため、今後新たにLEED認証を取得する場合は、事前にv5の要件を確認しておくことが重要です。
※1 LEED(Leadership in Energy & Environmental Design)・・・米国グリーンビルディング協会(USGBC:US Green Building Council)が開発、および運用を行なっている建物と敷地利用についての環境性能評価システム
本記事では、LEED認証の最新版であるv5の位置づけやv4.1との違い、さらにLEED認証を取得することで不動産オーナーが期待できる効果を紹介します。ぜひ参考にしてください。
LEED認証とは―評価の仕組みと最新版「LEED v5」の位置づけ
LEED認証は、米国発祥の建物および敷地利用に関する環境性能評価システムで、世界185ヶ国以上・12万件を超える認証件数を誇り、日本では400以上の建築物および施設が認証を取得しています(2026年7月13日時点)。脱炭素やウェルビーイングなど、サステナビリティに関する社会的要請の変化を反映して継続的に改訂されており、最新版は2025年にリリースされた「LEED v5」です。
建物運用、敷地利用、省エネ効果の3点を評価内容としており、立地や交通アクセスの持続可能性、水資源の効率化、エネルギー効率などの8つのカテゴリについて評価します。評価は110点満点で、認証レベルは「Platinum(プラチナ/80点以上)」「Gold(ゴールド/60点以上)」「Silver(シルバー/50点以上)」「Certified(サーティファイド・標準認証/40点以上)」の4段階です。
各カテゴリには、認証取得のために必ず満たさなければならない「必須項目」と、達成状況に応じてポイントを獲得できる「加点項目」があります。必須項目をすべて満たしたうえで獲得した合計点により、認証レベルが決まる仕組みです。
なお、新築建物でプラチナ認証を取得するためには、合計80点以上を獲得するだけでは不十分です。「電化」で5点、「エネルギー効率」で8点を獲得することに加え、建物で使用するエネルギーの100%を所定の再生可能エネルギーで賄い、製造・輸送過程で発生する二酸化炭素排出量を20%削減しなければなりません。
LEED認証は評価対象などによって評価システムが分かれていますが、本記事では「建物一棟の新築(BD+C)」を前提に解説します。
参考:
U.S. Green Building Council「Country Market Brief」
一般社団法人グリーンビルディングジャパン「グラフで見るLEEDとWELLの今 2026年5月」
LEED v5とv4.1の違いの全体像―3つのインパクト領域と脱炭素シフト
v4.1では、「気候変動」や「水資源」など7つのインパクト領域に基づいたカテゴリ別評価を軸としていましたが、v5では評価体系全体を「脱炭素」「生活の質の向上」「生態系への配慮」という3つのインパクト領域に整理しています。特に「脱炭素」は全配点の約半分を占めており、重点が建築分野における気候変動対策へとシフトしていることがv5の特徴といえるでしょう。
こうした脱炭素重視の方針は、建物の建設から運用、解体に至るまでのライフサイクル全体を通じた環境負荷の評価強化にも表れています。特に、建材の製造や輸送などに伴う温室効果ガス排出量がこれまで以上に重視されるようになりました。また、最高ランクであるプラチナ認証の取得要件も厳格化され、将来的な脱炭素化に向けた計画の策定が求められています。
また、評価カテゴリの再編が行われ、v4.1の「Innovation(イノベーション)」「Regional Priority(地域の優先項目)」が「Project Priorities(プロジェクトの優先項目)」へ統合されました。
【カテゴリ別】LEED v5とv4.1の違いまとめ
ここからは、BD+C(新築)におけるLEED v5とv4.1の違いを、8つの評価カテゴリ別に詳しく解説します。
■統合的プロセス・計画および評価(IP:INTEGRATIVE PROCESS, PLANNING AND ASSESSMENTS)
v5では、気候レジリエンス評価・人的影響評価・カーボン評価が必須化され、企画段階から脱炭素への取り組みが求められるようになりました。
| Version | 主な評価内容 | 配点 |
| v4.1 | プロジェクトの初期段階の分析と計画に対する評価が中心。 | 1 |
| v5 | 気候レジリエンス評価、人的影響評価、カーボン評価を必須化。 企画段階からの脱炭素検討を重視。 | 1 |
■立地と交通(LT:LOCATION AND TRANSPORTATION)
v5では、交通利便性だけでなく、交通由来の温室効果ガス削減への貢献も重視されるようになりました。
| Version | 主な評価内容 | 配点 |
| v4.1 | 立地・交通アクセスに対する評価が中心。 環境に影響を与える自動車の走行距離削減を重視。 | 16 |
| v5 | 交通由来の温室効果ガス削減を重視。 EV(電気自動車)対応、自転車利用促進、駐車場削減など脱炭素に寄与する移動手段を包括的に評価。 | 15 |
■持続可能な敷地(SS:SUSTAINABLE SITES)
v5では、気候変動へのレジリエンスや生物多様性への配慮が強化されています。
| Version | 主な評価内容 | 配点 |
| v4.1 | 景観整備や自然環境に配慮した敷地管理を評価。 | 10 |
| v5 | 気候リスクに対するレジリエンスを重視。 在来種・適応種の植栽など、生物多様性や自然環境への配慮を強化。 | 11 |
■水の効率的な利用(WE:WATER EFFICIENCY)
v5では、水使用量の把握や再利用など、より高度な水資源管理が求められるようになりました。
| Version | 主な評価内容 | 配点 |
| v4.1 | 節水設備の導入や使用水量の削減率を評価。 | 11 |
| v5 | 建物全体の水使用量の把握や水資源の再利用を重視。 漏水検知を計量要件に追加し、持続可能な水管理を強化。 | 9 |
■エネルギーと大気(EA:ENERGY AND ATMOSPHERE)
v5では、エネルギー効率の向上だけでなく、運用時のカーボン排出量削減と長期的な脱炭素戦略を重視する評価へと大きく転換されました。
| Version | 主な評価内容 | 配点 |
| v4.1 | エネルギー効率や基準比のエネルギー削減率を評価。 | 33 |
| v5 | 運用時の脱炭素戦略を重視。 建物の電化や、25年間のカーボン排出量予測・脱炭素計画を評価。 | 33 |
■材料と資源(MR:MATERIALS AND RESOURCES)
v5では、資材や廃棄物の管理に加え、建築物のライフサイクル全体におけるカーボン排出量の削減が重視されています。
| Version | 主な評価内容 | 配点 |
| v4.1 | 資材および廃棄物の適切な管理を評価。 | 13 |
| v5 | エンボディドカーボンの削減を重視。 建設・改修・解体を含む循環型経済への配慮を評価。 | 18 |
■室内環境の質(EQ:INDOOR ENVIRONMENTAL QUALITY)
v5では、従来の健康・快適性に加え、ウェルビーイングや公平性、気候変動への適応といった観点が強化されました。
| Version | 主な評価内容 | 配点 |
| v4.1 | 室内環境と利用者の健康を中心に評価。 | 16 |
| v5 | ウェルビーイングや公平性を重視。 データに基づく性能評価や気候変動への適応を強化。 | 13 |
■プロジェクトの優先項目(PR:PROJECT PRIORITIES)
v5では、「イノベーション」と「地域の優先項目」が統合され、プロジェクトや地域の課題に応じて柔軟に評価項目を選択できる仕組みへと再編されました。
| Version | 主な評価内容 | 配点 |
| v4.1 | 「イノベーション」と「地域の優先項目」を別カテゴリとして評価。 | 10 |
| v5 | 両カテゴリを統合。プロジェクトや地域課題に応じて柔軟にクレジットを選択可能。 | 9※2 |
※2 PRc2(LEED AP)を含めると最大10点
v4.1の登録期限とv5への移行スケジュール
前バージョンであるv4.1やv4のプロジェクト登録の締め切りは2027年6月30日です。また、登録済みのプロジェクトの認証申請の締め切り(サンセット)は2033年6月30日に設定されています。
一方で、2027年7月1日以降、BD+Cをはじめとする主要なLEED評価システムの新規登録は、最新版のv5のみが対象となるため、注意が必要です(一部例外あり)。
したがって、これから企画をスタートする新築物件でLEED認証の取得を目指す場合は、v5を前提に計画を組み立てることが現実的です。ただし、今後は「5年ごとの定期サイクルで新バージョンを開発する」旨がアナウンスされているため、常に最新情報を確認しておく必要があります。
LEED v5が不動産オーナーにもたらす価値
LEED v5認証を取得した建築物は、脱炭素やサステナビリティへの取り組みを重視する企業や投資家から高く評価される可能性があります。特に、v5ではカーボン排出量の削減に加え、居住者のウェルビーイングや快適性への配慮も重視されているため、環境性能と利用価値の両面で差別化を図ることができます。
また、ESG投資の拡大やテナント企業の環境意識の高まりを背景に、LEED v5認証は不動産の競争力向上や資産価値の維持・向上にも寄与すると考えられます。
さらに、将来的な脱炭素関連規制の強化や市場要請の変化への備えとしても有効です。企画・運用段階からカーボン排出量の把握や削減に取り組むことで、長期的かつ安定的な不動産運用につながるでしょう。
まとめ
LEED v5は、「脱炭素化」を中心に、「生活の質の向上」と「生態系への配慮」を3つの柱として再構成された評価システムです。従来版と比較して、建物運用時のカーボン排出量削減や気候変動へのレジリエンス、ウェルビーイング、生物多様性などがより重視される内容へと進化しています。
こうした評価項目への対応は、環境性能の向上にとどまらず、不動産の競争力強化や中長期的な資産価値の維持・向上にもつながります。また、脱炭素社会への移行が進むなか、将来的な規制や市場要請への対応という観点からも、LEED v5は重要な指標のひとつといえるでしょう。
ビューローベリタスでは、LEED認証適合性検証を通じて、プロジェクトの初期計画段階から認証申請まで、一貫したサポートを通じて、円滑なLEED認証取得を支援します。
技術監査事業本部
【お問い合わせ】
ビューローベリタスジャパン(株)技術監査事業本部
TEL:03-6402-5977 東京都港区新橋4-11-1 A-PLACE新橋5F
ウェブサイト
お問い合わせフォーム
【ビューローベリタスのサービス】
LEED認証適合性検証