省エネ適合性判定基準の変更~中規模非住宅建築物に係る省エネ基準の引き上げ~
2030年度以降新築される建築物について、ZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能を確保するとの政府目標を踏まえ、適合義務化が先行している中規模非住宅建築物(床面積300㎡以上~2,000㎡未満)の省エネ基準が引き上げられます。
1.中規模非住宅のBEI基準引き上げの背景と概要
■改正の背景
2050年カーボンニュートラル実現に向け、2030年までに新築建築物をZEH・ZEB基準へ引き上げる方針となっており、その段階的処理となります。今後、大規模、中規模、小規模においてさらにBEI(Building Energy Index:設計建築物の一次エネルギー消費量)基準の引き上げが計画されています(図1参照)。
■改正の概要
2026年4月1日以降の省エネ適合性判定申請より、中規模非住宅建築物(床面積300㎡以上)の省エネ基準については、用途に応じてBEI=0.75~0.85に引き上げとなりました(図1参照)。
中規模非住宅建築物の省エネ基準が厳しくなったことで、今までの設計仕様で省エネ基準を満たすことができなくなる可能性があります。適合しない場合は省エネ適合判定の適合通知書は交付できず、建築基準法の確認済証も交付できません。
設計者においては基本設計の段階から省エネ基準を意識して設計を進めることで、実施設計段階での設計変更を少なくし、円滑な申請を行うことができます。
なお、基準変更により、中規模非住宅建築物については先行してBEI基準を引き上げた大規模非住宅と建物用途種別ごとのBEI基準値が同じとなり、これは前述した2030年のZEB水準への移行を段階的に実施するものです。
図1:省エネ基準引き上げの概要

出典:国土交通省「中規模非住宅の省エネ設計かんたんガイド(日本サステナブル建築協会作成)」
■改正内容まとめ
- 対象:延床面積300㎡以上2,000㎡未満の非住宅建築物(事務所、店舗、工場、学校など)
- 基準:2024年に2,000㎡以上で適用された水準(BEI 0.75〜0.85)に引き上げ
- 時期:2026年(令和8年)4月1日施行、以降の省エネ適合性判定の申請に適用
2.改正による影響と効果的な対策例
BEI基準が引き上げられることにより、より高い省エネ性能が確保できるよう設計、施工を行う必要があります。今までと同じ仕様では一定割合の建物が不合格となるため、ここでは効果的な対策例を紹介します。

出典:国土交通省「中規模非住宅の省エネ設計かんたんガイド(日本サステナブル建築協会作成)」
なお、上記以外にも「創エネルギー設備」としての太陽光発電(ただし売電をしないものに限る)についても積極的な検討が必要です。
3.注意点・ポイント
建物省エネ法は、建物全体のBEIを求め、基準値を下回ることが求められます。
今後もBEI基準値の引き上げにより、基準BEIと計画BEIの差が小さくなり、省エネ計画の余裕が減る見込みです。
特に、申請時点でBEI値に余裕が少ない場合、不利な変更が後半で発生すると工事段階では修正が難しくなるため、建築計画の最終確定をこれまで以上に早めることが、円滑な完了検査につながります。
建築認証事業本部 省エネ判定部 鈴木