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10㎡以下の増築では確認申請は不要か~床面積が増えない場合でも申請が必要なケースとは~

2026-04-07

「10㎡以下の増築であれば建築確認申請は不要」と耳にしたことがある方が多いのではないでしょうか。しかし、この基準には「防火地域・準防火地域外であること」という前提条件があるほか、例外となるケースも存在します。

「10㎡以下の増築だから」と十分な確認をせずに申請なしで工事を進めてしまうと、場合によっては違反建築物と判断され、是正指導や罰則の対象となりかねません。

本記事では、10㎡以下、もしくは床面積が増えない増築でも確認申請が必要になるケースを紹介します。確認申請をしなかった場合に生じ得るリスクも解説しますので、建築物の増築を予定している方はぜひご確認ください。

「10㎡以下の増築」でも確認申請が必要になり得る3つのケース

「10㎡以下の増築」であれば、原則として建築確認申請は不要です。ただし、その前提条件として「防火地域・準防火地域外」であることが求められます。ほかにも、状況によっては、10㎡以下の増築で確認申請が必要になるケースがあるため注意しましょう。

関連記事:用途変更や増改築時に確認申請や遵法性調査が必要なケースとは 

■防火地域・準防火地域で増築するケース

前述のとおり、10㎡以下の増築で確認申請が不要となるのは「防火地域・準防火地域外」のみです。建築基準法第6条第2項において、防火地域・準防火地域外で建築物の増改築を行なう場合、確認申請を求める規定(第1項)は適用しないとされています。

前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内であるときについては、適用しない。

引用:e-GOV法令検索「建築基準法

「防火地域」や「準防火地域」は、都市計画法に基づいて、駅前や繁華街など火災の危険性が高いと考えられる地域に、危険の防除を目的として指定されるものです。増改築の際は、自治体のウェブサイトや都市計画図などを参照し、物件の地域指定を確認しましょう。

■別敷地への建築や建築工事中の増築を行なうケース

確認申請が不要となるのは、10㎡以下の「増築・改築・移転」に該当するケースのみです。ここで気を付けなければならないのが「増築」の定義です。

増築は、既存建築物の一部に床を追加して面積を増やすことだけでなく、既存建築物と同一敷地内に別の建築物を建てることも含みます。しかし、既存建築物とは別の敷地に新たな建築物を建てる場合は「新築」扱いとなり、床面積が10㎡以下であっても確認申請を行なわなければなりません。

また、すでに確認済証の交付を受けて工事を行なっている建築物について、10㎡以下の増築を追加で実施する場合にも、計画変更の確認申請が必要となります。

■「繰り返し増築」を行なうケース

10㎡以下の増築を繰り返し行なう場合、状況に応じて確認申請が必要になる可能性があります。

例えば、10㎡以下の増築が完了した後、別の10㎡以下の増築を行なう場合には、それぞれが独立した工事と判断され、原則として確認申請は不要です。仮に2回の増築の合計床面積が10㎡を超えていたとしても、ただちに申請が必要になるとは限りません。

一方、最初の増築工事中に次の増築工事をスタートさせ、それぞれの工事期間が重なる場合には、一連の工事と見なされる可能性があります。この場合、増築部分の合計面積が10㎡を超えていれば、確認申請が必要とされるでしょう。

注意したい点は、当初から10㎡を超える増築計画があるにもかかわらず、10㎡以下の細かな工事に分割して順次実施するようなケースです。この場合、確認申請を避けるための行為と見なされて適法性が否定されるおそれがあるため、事前に申請の要否を特定行政庁等へ確認しましょう。

床面積が増えなくても確認申請が必要になる2つのケース

「床面積が増えなければ確認申請は不要」と誤解されている場合がありますが、増改築や用途変更の内容によっては、床面積が変わらなくても申請を要するケースがあります。特に、次の2つのケースには注意しましょう。

■床面積の対象とならない屋外開放階段、吹きさらしの廊下を増築するケース

屋外開放階段や吹きさらしの廊下、ピロティ、ポーチなど、外気に対して十分な開放性のある部分は、建築物の床面積には算入されないとされています。新築時には、これらの部分を床面積に含める必要はありません。

一方、既存建築物に開放性のある部分を新たに設ける場合、床面積には算入されないものの、工事内容としては「増築」に該当します。こうした床面積の増えない増築のことを、通称「0㎡増築」といいます。

「0㎡増築」は当然「10㎡以下の増築」に該当するため、防火・準防火地域内で屋外開放階段や吹きさらしの廊下のみを増築する場合、床面積の増加がなくても確認申請が必要となります。

関連記事:有効に外気に開放された屋外階段の条件とは 

■床面積の対象とならないピロティに屋内的用途が発生するケース

前述のとおり、外気に対して十分な開放性のあるピロティは、建築物の床面積から除外できます。このとき、床面積から除外するには「外気開放」「屋内的用途に供しないこと」という2つの条件を満たしていなければなりません。

申請当初はこれらの条件を満たしていたピロティであっても、あとから屋内的用途で使うようになった場合、あらためて床面積を算入する必要があります。屋内的用途に含まれる代表例として挙げられるのは、居室や執務スペース、車庫、倉庫などです。

新たに屋内的用途で使う面積が10㎡を超えていれば、確認申請を行なわなければなりません。また、防火・準防火地域内での用途変更の場合、面積が10㎡以下であっても申請を要します。

このように、物理的な増築工事をともなわない場合であっても、床面積の扱いが変わることで建築確認申請が求められるケースがあるため、注意が必要です。

関連記事:ピロティの開放条件

建築確認申請を怠った場合のリスク

10㎡以下の増築で確認申請が必要なケースに該当するにもかかわらず、申請を忘れた場合、手続き違反とされるおそれがあります。違反状態を是正せずに放置していると、行政庁から使用禁止や除却命令などの行政措置を受ける可能性があるほか、状況によっては罰金や刑事責任を問われるリスクがあり、注意が必要です。

また、金融機関は違反建築物に対する融資を受け付けないため、購入時に住宅ローンを使えません。その結果、買い手が見つからずに売却が困難になるおそれがあります。こうした事情から、将来的な資産価値の評価も低くなるでしょう。

確認申請は「忘れていた」では済まされない手続きです。床面積の増減に関係なく、増築や用途変更を行なう際には、特定行政庁や専門家への事前相談が欠かせません。

まとめ

一般的に「10㎡以下の増築であれば確認申請は不要」とされていますが、防火・準防火地域内にある場合など、10㎡以下であっても確認申請が必要となるケースはあります。また、床面積が増えない「0㎡増築」でも申請しなければならない場合があるため、注意が必要です。

確認申請を怠り違反建築物扱いになることを避けるために、増築前の段階で専門家によるチェックを受けておくことが重要です。物件の現況を正しく把握し、法令への適合性を確認する手段として、ビューローベリタスの「新ガイドライン調査」サービスをぜひご活用ください。

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