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防火対象物点検(消防法第8条の2の2)の対象と点検項目を解説

2025-12-02

「防火対象物点検」は、防火対象物の管理者に義務付けられている点検・報告制度です。定期的に防火対象物点検資格者が建物を点検し、結果を消防長等に報告しなければなりません。
建物の安全性を確保し、企業の価値を守るためにも、点検の概要を知り、適切に点検できるよう準備を進めてください。

本記事では、防火対象物点検の概要や点検のポイントを解説します。
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防火対象物点検とは

防火対象物点検が実施される背景には、過去の火災事故があります。

2001(平成13)年9月1日の新宿区歌舞伎町のビル火災では、防火管理が適正に行なわれておらず、44名の人命が失われました。被害が広がった要因として、階段に避難障害となる物品が置かれていたことや、避難訓練が実施されていなかったこと、消防用設備等の点検が行なわれていなかったことなどが指摘されています。

この事件を受けて消防法が改正され、防火管理が適正に行われるよう防火対象物の関係者による日頃のチェック体制の確認と管理に対する自主性の向上を目的とし、防火対象物の管理者は防火対象物点検資格者に点検を依頼し、結果を消防長等に報告することが義務付けられるようになりました(消防法第8条の2の2)。これが防火対象物点検です。

建物の安全性を守るためにも、防火対象物点検を適切に実施し、防火管理を適正に行なわなければなりません。

また、同じような検査として消防検査点検がありますが、これはまったく別の検査となります。
消防設備検査では、消防設備が正しく作動するかを確認します。一方、防火対象物点検では管理体制が正常であるかの確認を行うことになります。検査を行うにあたり資格が異なりますので、ご注意ください。
 

防火対象物点検の概要

防火対象物点検の点検対象や点検項目、点検の流れを解説します。

◇点検対象

一定の用途に使用されている部分のある防火対象物について、一定の条件を満たす場合は毎年1回の点検報告義務が発生します。

<点検の対象となる建物の用途>

用途
(1)項イ:劇場、映画館、演芸場または観覧場
ロ:公会堂または集会場
(2)項イ:キャバレー、カフェー、ナイトクラブそのほかこれらに類するもの
ロ:遊技場またはダンスホール
ハ:ファッションマッサージなどの性風俗営業店舗等
二:カラオケボックス等
(3)項イ:待合、料理店そのほかこれらに類するもの
ロ:飲食店
(4)項百貨店、マーケットそのほかの物品販売業を営む店舗または展示場
(5)項イ:旅館、ホテル、宿泊所そのほかこれらに類するもの
(6)項イ:病院、診療所または助産所
ロ:老人短期入所施設等
ハ:老人福祉施設、有料老人ホーム等
二:幼稚園または特別支援学校
(9)項イ:公衆浴場のうち、蒸気浴場、熱気浴場そのほかこれらに類するもの
(16)項イ:複合用途防火対象物のうち、その一部が(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項または(9)項イに掲げる防火対象物の用途に供されているもの
(16の2)項地下街

なお、上表の用途で点検対象となる建物の規模は以下のとおりです。

  • 収容人数300人以上……すべての建物が点検対象
  • 収容人数30人以上300人未満……条件付きで点検対象
  • 収容人数30人未満……点検対象外

特定用途(上表の用途)が3階以上の階または地階に属するもの、階段が1つのもの(屋外に設けられた階段等であれば免除)は対象
 

◇おもな点検項目

防火対象物点検のおもな点検項目は、以下のとおりです。

  • 防火管理者を選任しているか
  • 消火・通報・避難訓練を実施しているか
  • 避難階段に避難の障害となる物が置かれていないか
  • 防火戸の閉鎖に障害となる物が置かれていないか
  • カーテン等の防炎対象物品に防炎性能を有する旨の表示が付されているか
  • 消防法令の基準による消防用設備等が設置されているか

◇点検実施者の要件

防火対象物点検は、火災の予防に関して専門的知識を有する防火対象物点検資格者が実施しなければなりません。防火対象物点検資格者になるためには、登録講習機関で講習を受ける必要があります。

◇点検の流れ

防火対象物点検の流れは以下のとおりです。

  1. 防火対象物点検資格者に点検を依頼
  2. 防火対象物点検資格者が点検し、報告書をまとめる
  3. 建物のオーナー等が消防長または消防署長に提出
  4. 点検済表を表示する

防火対象物点検を怠ると

防火対象物点検は、火災事故を未然に防ぎ、発生してしまった火災被害を最小限に抑えるために欠かせないものです。防火対象物点検を怠ると、法的リスク、経営リスク、社会リスクが発生します。

法的リスク:罰金・行政処分・営業停止
経営リスク:損害賠償、火災保険減額、事業停止
社会的リスク:顧客離れ、ブランド価値低下

防火対象物点検を実施することで火災リスクを低減し、法令遵守を証明できます。また、従業員や顧客の安全を守ることへ繋がります。これらのリスクを発生させないためにも、確実に点検を実施してください。

防火対象物点検の課題と実施のポイント

防火対象物点検の課題として挙げられるのが、制度への十分な理解です。知識のある有資格者が点検を実施する必要があり、点検報告後の書類管理が必須です。制度が始まった背景を知ることで、より点検の意義が感じられます。

また、点検にかかる費用を課題ととらえる方もいます。しかし、点検には利用者や企業価値を守るための投資という側面があります。火災の発生リスクを最小限に抑え、人命や建物の被害を最小限にするために、点検は欠かせないものです。

さらに、点検・報告に関する書類はデジタル管理をおすすめします。デジタル管理することで書類保管の手間が減り、紛失のリスクを抑えることができます。

まとめ

防火対象物点検は建物の安全性を維持し、利用者や企業価値を守るために欠かせない点検です。点検時期と点検内容をしっかりと把握したうえで、適切に点検を実施できるよう準備してください。

ビューローベリタスジャパンでは、防火対象物点検をはじめとした各種点検業務を承っています。専門知識を持った資格者が多数在籍しており、建物の使用状況に応じて柔軟に対応しています。
事例として、大規模商業施設で複数テナントの点検を統合管理して消防署対応を迅速化したり、全国物販チェーンにおいて全国一律・同クオリティの検査を計画的に実施したりするなど、さまざまな建物に対する点検を行っています。

点検から報告までをワンストップで対応、複数の施設を管理している方は複数施設を一元管理し、事務手続きを省力化することができます。
また、点検の履歴を容易に確認できるようサポートしており、履歴を修繕などに活かせるといったメリットがあります。ぜひお気軽にご相談ください。

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