住宅性能表示制度の見直しに関する概要
1. 一次エネルギー消費量等級の等級7および8の創設
1-1. 現状と背景
現在、一次エネルギー消費量等級は、ZEH水準相当の等級6(BEI≦0.8)が最高等級となっています(断熱等性能等級は上位等級創設済み)。
等級6を取得している割合は、戸建て住宅で約86%(令和5年度実績、令和4年度実績は約49%)となるなど、ZEH水準の住宅の普及が進んでいる状況です。
地球温暖化対策計画(令和7年2月18日閣議決定)等の政府計画において、ZEH水準を上回る水準の省エネルギー性能を有する住宅の普及を促進する旨が位置付けられるなど、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、より省エネ性能の高い住宅の普及や、その水準を評価できる環境整備が求められています。

これをふまえて、一次エネルギー消費量等級において、ZEH水準を上回る等級として「等級7、等級8」が新たに設定(令和7年12月1日施行予定)されました。

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出典:国土交通省「住宅性能表示制度の見直しについて」
1-2. 改正内容:一次エネルギー消費量等級7・等級8の基準
- 新たに設定する等級の評価基準は、既に開始している制度の水準や実態等を踏まえて、等級7(BEI≦0.7)、等級8(BEI≦0.65)とする
- 等級7と等級8で設定するBEI(一次エネルギー消費量)は、建築物省エネ法等の基準と合わせて設定している等級6(ZEH水準)と同様に、
①太陽光発電設備等によるエネルギー消費量の削減量を見込まない評価基準とし、
②床面積当たりの一次エネルギー消費量(MJ/(㎡・年))を併記できることとする - 地球温暖化対策計画等において、再生可能エネルギーの利用促進等が位置付けられていること等を踏まえ、等級6から等級8について、再生可能エネルギー利用に係る数値による表示ができるよう、
③太陽光発電設備等による一次エネルギー消費量の削減率を併記できることとする

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出典:国土交通省「住宅性能表示制度の見直しについて」
2. 今後の検討の方向性
2-1. 2030年までの省エネルギー基準の水準の引き上げへの対応
住宅性能表示制度においては、耐震性能など、建築基準法に定める最低限のレベルを「等級1」に設定していることを踏まえ、新築住宅に係る省エネ基準のZEH水準への引き上げ時には、新築における省エネルギー性能(断熱等性能等級および一次エネルギー消費量等級)における「等級1」は、引き上げ後の義務基準レベルに再整理してはどうか、という議論が進んでいます。
※具体的には、現行のZEH水準等級(断熱等性能「等級5」および一次エネルギー消費量「等級6」)を、それぞれ「等級1」にすることを想定(下記イメージ参照)
また再整理にあたり、前後で各等級の性能水準が変わることとなるため、消費者等が区別できるよう、現行の性能項目名称(断熱等性能等級および一次エネルギー消費量等級)との継続性を考慮しつつ、あらたな性能項目名称を設けることとしてはどうかという議論が進んでいます。
(参考)平成25年度の省エネルギー対策等級の改正においては、「省エネルギー対策等級」から、「断熱等性能等級」および「一次エネルギー消費量等級」の見直しを行っている。
イメージ:2030年までの省エネルギー基準の水準の引き上げへの対応

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出典:国土交通省「住宅性能表示制度の見直しについて」
2-2. 次期住生活基本計画等を踏まえた対応
社会環境の変化や技術の進展、消費者ニーズなど、住宅性能表示制度を取り巻く状況が変化するなか、次期住生活基本計画に向けた議論や関連する調査研究等の方向性も踏まえつつ、省エネルギー性能以外の住宅性能評価事項や住宅性能表示制度のあり方等について検討する方向で、議論が進んでいます。
3. CLTパネルを用いた住宅の劣化対策等級の評価に係る規定の整備(評価方法基準の改正)
令和3年12月1日性能表示基準にCLTパネル工法が位置付けられましたが、今回「劣化対策等級(構造躯体等)」について、CLTパネルを用いた木造住宅において、土台を設けない工法であっても、基礎と接するCLTパネルが外壁の軸組等の基準および土台に掲げる基準と同等以上の性能を有していて、次に掲げる基準を満たす場合には、土台の基準は適用しないこととし、劣化対策等級の評価を行うことを可能としました。
- 当該CLTパネルのうち、基礎と接する部分に水切りが設けられていること
- 当該CLTパネルと基礎との間に防水上有効な措置が施されていること
- 室内から床下への漏気による水蒸気の供給の遮断が有効になされていること
なお、等級2・3の判定は、CLTパネルおよび下地材におけるJAS材の利用の有無など、外壁の軸組等の基準によることとなります。
CLTパネル工法の住宅性能評価方法(令和3年12月1日施行)

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出典:国土交通省「住宅性能表示制度の見直しについて」
今後、社会資本整備審議会にて2030年までに住宅性能評価業務の評価項目や評価基準そのものの見直しを実施する可能性について、引き続き議論していく予定となっています。
建築認証事業本部 井上 卓也
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