環境配慮型データセンターとは~サステナビリティ実現を目指す際のポイントを解説~
デジタル社会の進展により、デジタルインフラである「データセンター(DC)」の重要性が高まっています。
本記事では、データセンターの重要性や抱える課題、課題の解決に寄与する「環境配慮型データセンター」の特徴について解説します。
また、具体的な指標とともに、データセンターのサステナビリティ(持続可能性)実現を目指す際のポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
データセンターの重要性
生成AIやメタバース、自動運転といった技術の発展にともない、大規模なデータを保存・管理・処理するデータセンターの重要性が高まっています。
実際に、総務省の「データセンター等のデジタルインフラ整備の現状と課題について」によると、2022年から2023年の1年間で、日本国内のインターネットトラフィック量は約18%増加したといわれています。
ここでは、データセンターの重要性を2つの観点からご紹介します。
競争力向上の観点から
データは「21世紀の石油」とも表現されるように、デジタル社会の資源として欠かせないものです。そのため、国内にデータセンターを整備することは、国の国際競争力の向上に直結するといえます。
アジア圏において、データセンターの規模は中国が最大となっており、日本は第2位に位置しています。日本の政情やインフラの安定さといった要素が評価されるなか、海外からの投資を呼び込んで経済成長を促進するためにも、国内のデータセンター整備は急務です。
国内インフラ保全の観点から
政府や自治体が保有する機密情報・個人情報を安全に管理するためには、国内に堅牢なデータセンターを設置することが不可欠です。
また、地震大国である日本の南関東域では30年以内に高確率で首都直下地震が発生することが想定されるなど、さまざまな大規模災害が懸念されています。
過去に発生した東日本大震災では、NTTコミュニケーションズが取り扱う国際海底ケーブルのうち、日米間の4ルートとアジアを結ぶ1ルートの計5ルートが損傷しました。ケーブルの復旧には、1か月から4か月程度の期間がかかったとされています。
このような背景から、災害時にも社会インフラを維持し、データの安全性を確保するために、国内データセンターの地域分散配置や耐災害性の強化が求められます。なお、現状では、国内データセンターの多くが関東の都市部に集中しています。
データセンターが抱える課題
データセンターには、大きく分けると「人材」と「環境配慮」の2つの軸において課題があるとされています。ここでは、それぞれの課題を解説します。
人材における課題
データセンターは、将来的な拡張性を考慮し、広大な土地に設置するのが理想です。その点では、すでに建物が密集して存在する都市部より地方のほうが建設しやすいでしょう。
しかし、地方では専門知識を持つIT人材の確保が難しいという課題があります。結果として、大規模なデータセンターではなく、バックアップ用など小型のデータセンターの設置場所として選ばれる傾向です。
一方で、データセンターを都市部に建設する場合、IT人材は比較的集めやすいものの、土地代や建設費用が高騰してしまうデメリットがあります。
環境配慮における課題
データセンターは、産業施設として見てもとりわけ膨大な電力を消費します。世界的にカーボンニュートラルの実現を目指しているなか、データセンターにおいても、二酸化炭素(CO2)排出量の削減といった環境への配慮が強く求められます。
また、IT機器の冷却に使用する水資源の確保や、温排水の処理も大きな課題です。そのため、近年では「環境配慮型データセンター」の設立が重視されています。
そのほか、環境問題への懸念から、データセンターの建設に際しては地域住民への丁寧な説明と合意形成が不可欠です。
環境配慮型データセンターとは
環境配慮型データセンターとは、再生可能エネルギーを利用したり、省エネ施策を実施したりすることで、二酸化炭素排出量を減らし、環境に配慮するデータセンターを指します。
先述のとおり、大量のデータを取り扱うデータセンターは、消費電力量が膨大です。デジタル技術が目覚ましく発展している近年では、サーバーや冷却・空調設備を稼働させるための消費電力量の急増が問題視されています。
例えば、生成AIであるChatGPTに1回質問する際の消費電力は、Google検索の約10倍にものぼるといわれています。
消費電力量の多さは、環境負荷の高さにつながります。そのため、「電力の消費を抑える」ことや、「データセンターが発するエネルギーを別の形に利用する(エネルギーの再利用)」ことが重要です。
このような配慮によって環境への影響を軽減しているデータセンターは、「環境配慮型データセンター」や「グリーンデータセンター」などと呼ばれています。
データセンターのサステナビリティは3つの指標で測れる
データセンターが環境配慮型であるかどうかは、以下3つの指標で測ることができます。
電力使用効率(PUE:POWER USAGE EFFECTIVENESS)
データセンター施設全体の消費電力量を、IT機器の消費電力量で割った値です。
PUE値が「1.0」に近いほど電力使用効率が良いことを示し、冷却設備などに使われる電力が少ないことを意味します。
なお、資源エネルギー庁は、データセンター事業者が目指すべきPUE値を「1.4以下」と定めています。
水使用効率(WUE:WATER USAGE EFFECTIVENESS)
データセンター施設全体の水使用量を、IT機器の消費電力量で割った値です。
WUE値が「0」に近いほど水使用効率が良いことを示し、データセンターの運用中に水資源を無駄なく活用していることを意味します。
IT機器の冷却には水冷式が採用されることも多く、水資源の保全や排水管理の観点から、WUE値が重視されます。
炭素使用効率(CUE:CARBON USAGE EFFECTIVENESS)
データセンター施設全体から排出される二酸化炭素量を、IT機器の消費電力量で割った値です。
CUE値が「0」に近いほど炭素使用効率が良いことを示し、データセンターの運用中に二酸化炭素が排出されにくいことを意味します。
事業者は、再生可能エネルギーの利用や省エネ技術の導入により、CUE値の改善を求められています。
データセンターの設立にはLEED認証の取得を検討
先述した3つの指標で評価した結果、データセンターのサステナビリティへの対応が必要と判断されれば、対応策の一つとしてLEED認証の取得が有効です。
LEED認証とは、米国グリーンビルディング協会(USGBC:US Green Building Council)が開発した環境評価システムを指します。
具体的には、建築物におけるエネルギーの効率化や環境配慮などを、どれほど満たしているかを調査するものです。LEED認証を受けると、より環境に配慮した建物であることを証明できます。
ビューローベリタスでは、LEED認証の取得をサポートしています。LEED認証を取得するまでの流れは、以下の図をご参考ください。

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まとめ
国際競争力向上の観点、および国内インフラ保全の観点から、データセンターの重要性が高まっています。
一方で、データセンターでは膨大なエネルギーを消費することから、いかに環境へ配慮できるかが課題です。電力使用効率・水使用効率・炭素使用効率が優れていれば、環境配慮型データセンターだと評価できます。
データセンターのサステナビリティを強化したいとお考えの方は、LEED認証の取得を検討してはいかがでしょうか。
また、LEED認証と同時にWELL認証(環境性能に加えて建物利用者の健康快適性も評価するシステム)の取得を目指すことも可能です。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
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