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環境認証制度とは~主な環境認証や海外と日本の考え方の違いを解説~

2025-08-05

環境認証制度は、建物の省エネ性能や環境性能を第三者が評価、認証する仕組みです。具体的な認証制度としては、WELL認証やLEED認証、CASBEE認証など複数の種類が存在し、それぞれ特徴や評価軸に違いがあります。

本記事では、環境認証制度の概要や代表的な認証、日本と海外での違いについて解説します。

環境認証制度とは

環境認証制度とは、建築物の省エネ性能や環境性能などを第三者機関が評価し、認証する制度のことです。認証制度にはさまざまな種類があり、世界的には特に「WELL認証」や「LEED認証」が広く知られています。

日本でも、2025年の4月以降に着工する原則すべての建築物に省エネ基準適合が義務付けられたことで、環境認証への関心が高まっています。

※省エネ基準適合・・・建築物の省エネルギー性能が国の定める基準を満たしていることを表すもの

 

WELL認証の特徴

WELL認証は、公益法人International WELL Building Institute™(IWBI)が運営している環境認証制度です。建物内で過ごす人の健康とウェルビーイング(身体的、精神的、社会的な良好状態)を評価します。

「WELL Building Standard™」と、「WELL Health-Safety Rating」があり、それぞれ目的や評価基準が異なります。

「WELL Building Standard™」では、空気・水・栄養・光・フィットネス・快適性・こころの7つの分野に基づき、空間性能をパフォーマンスベースで評価します。

一方で「WELL Health-Safety Rating」は、感染症対策や衛生管理など、公衆衛生面での安全性を高める運用状況を評価する制度です。清掃方法や衛生手順、緊急対応計画など、おもに6つの基準が設定されています。

人は一日のうち90%を建物内で過ごすといわれており、室内環境の質は健康や働き方に大きな影響をおよぼします。WELL認証を取得した建物は、利用者の健康維持や生産性の向上、離職率の低下につながる環境が整っていることを客観的に証明可能です。

LEED認証の特徴

LEED認証は、米国グリーンビルディング協会(USGBC:US Green Building Council)が運営する環境認証制度です。建物の設計、建設、運用、管理といった環境性能を総合的に評価します。

認証レベルは、「プラチナ」「ゴールド」「シルバー」「サーティファイド」に分かれています。必須条件をすべて満たしたうえで、省エネや水資源の活用などの選択項目で加点し、その合計点により認証レベルが決定する仕組みです。
設計・建設や既存ビルの運用・メンテナンスなど、目的に応じた6つの認証システムが用意されているのも特徴です。

LEED認証を取得すると、資産価値や賃料、稼働率を高めるだけでなく、企業の環境配慮やESG投資への取り組みを対外的に示す効果が期待できます。

日本と海外での環境認証に対する評価の違い

LEED認証、WELL認証のほかに、日本で開発された「CASBEE認証(建築環境総合性能評価システム)」が存在します。これらの目的や特徴、市場の評価は次のとおりです。

項目LEED認証WELL認証CASBEE認証
おもな焦点・目的建物の環境性能全般の評価建物利用者の健康とウェルビーイングに関連する性能の評価建物の環境品質と環境負荷に関する評価
評定指数の特徴定量的な指標が多く、環境負荷削減効果を重視している健康に関する科学的根拠に基づいた要件が多く、定性的な評価も含む環境品質と環境負荷のバランスを「環境効率(BEE)」で示す
国際的な認知度非常に高い向上中おもに日本国内で認知
市場からの評価海外の場合、認証を取得していないことによるリスクがある海外の場合、認証を取得していないことによるリスクがある不動産評価価値を高めるのが目的になることが多い

 


ここからは、各認証における認知度、評価軸、市場からの評価の違いについて解説します。

認知度の違い

海外においては、LEED認証やWELL認証が広く知られています。一方、日本国内では、LEED認証やWELL認証よりもCASBEE認証のほうが認知度は高い傾向があります。

CASBEE認証は、建築物の環境性能を格付けする日本独自の環境認証制度の一種です。建物の省エネルギー性能や資源の有効利用、環境負荷の削減、室内の快適性などを総合的に評価し、5段階でランク付けされます。

新築だけでなく、既存建築物や改修する建物も評価対象となるため、日本国内での認証取得件数は増加傾向にあります。

評価軸の違い

LEED認証は、 省エネルギー、節水、廃棄物削減など環境負荷の低減を中心に、建物とその周辺含めて総合的な環境性能を評価します。一方WELL認証の評価は、建築物内に滞在する利用者の健康と快適性に焦点を当てています。

CASBEE認証では、 環境負荷低減(L:Load)と、建物の環境品質(Q:Quality)の両方が評価対象です。さらに、これらLとQの評価区分を用いて、建築物の環境性能効率(BEE)を算出します。

【建築物の環境効率(BEE)=Q(建築物の環境品質)/L(建築物の環境負荷)】

BEE値は、環境性能効率の高さを表しており、建物の評価をより簡潔かつ明確に示すことが可能です。

市場からの評価の違い

日本において、環境認証は「不動産評価価値を高める」ための手段ととらえる傾向があります。一方、海外では環境認証を取得していない場合、以下のようなリスクがあります。

  • ビルにテナントが入らない
    (テナント側が環境認証を取得しているビルしか選択しない)
  • 建物を貸しにくい
  • テナント料を上乗せしにくい

このように、海外では認証を受けないと市場で流通しにくく、流通しても価値が低いとみなされやすいため、環境認証がより重視されています。
日本でもCASBEE認証をはじめとする環境認証制度が普及しつつありますが、海外ほど評価されていないのが現状です。
 

WELL認証・LEED認証・CASBEE、どの認証を受けるか

環境認証は、種類によって優劣が決まるものではありません。取得を検討する際は、自社の目的やニーズに合わせて適切な認証を選ぶことが重要です。

グローバル企業の誘致を目指す場合は、国際的に認知度の高いLEED認証が適しています。海外企業がテナントを検討する際、LEED認証の有無が重要な判断基準となる可能性が考えられるためです。

建物の利用者の健康や空間の快適性をアピールしたい場合は、WELL認証が向いています。WELL認証は海外だけでなく、国内の認知度も高まりつつあります。

なお、国際認証であるLEEDやWELLの取得は、CASBEE認証と比較して時間とコストがかかる傾向があります。国内のユーザーやオーナーをおもな対象とする場合は、比較的取得しやすく、国内での認知度が高いCASBEE認証を選ぶことをおすすめします。

まとめ

環境認証制度は、建物の環境性能や利用者の健康、快適性を評価する重要な制度です。認証を取得することで、これらの性能を客観的に示すことができます。

LEEDやWELL、CASBEEなど、認証にはそれぞれに特徴があり、目的やニーズに応じて取得することが大切です。今後は国内においても、環境認証制度への理解と対応がますます重要となると考えられます。

ビューローベリタスジャパンでは、LEEDやWELL、CASBEEの認証取得に向けた適合検証に対応しています。LEEDやWELL認証の適合検証は、それぞれの評価に関する専門資格を持つ技術者が担当します。また、WELL認証とLEED認証の同時取得を目指すことも可能です。

CASBEE認証については、経験豊富な環境系技術者が多数在籍しており、迅速な認証審査を実施しています。

どの認証を取得するかの相談を含め、環境認証制度の取得を検討している方はぜひご相談ください。

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