WELL認証の種類とプロジェクト条件
はじめに
2022年の日本の時間当たり労働生産性は、OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development︓経済協力開発機構)加盟38か国中30位という結果になりました。国ごとに条件の違いがあるとはいえ、日本では労働生産性向上が課題であるといえます。こうしたなかで、企業にとって最も大切な資産である従業員の健康管理を経営課題としてとらえ、生産性の向上につなげる「健康経営」が大きな注目を集めています。
WELL認証は、建物の環境・エネルギー性能と利用者の健康・快適性を評価するアメリカの認証制度で、まさに「健康経営」が実践され、労働生産性の向上に貢献できる認証制度です。
本記事では、さまざまなプロジェクトに対応できるよう細分化されたWELL認証の種類と、なかでも最も申請数の多いWELL Building Standardのプロジェクト条件についてご紹介します。
WELL認証の種類
WELL認証の種類は、個別建物や街区、複数の建物を評価する評価システムと、企業の戦略として評価対象を建物の運営に絞って派生した、サブセット(WELL Rating)と呼ばれる認定システムがあります。
| システムの種類 | 認証レベル | |
|---|---|---|
| 【WELL Building Standard】 個別建物の認証システム | WELL Certification ・建物全体(既存・新築)、テナントの専用部分を評価 | 80P以上︓Platinum 60P以上︓Gold 50P以上︓Silver 40P以上︓Bronze |
| WELL Core ・テナントビルの共用部分を評価 | ||
| 【WELL Community Standard】 健康とウェルネスに特化した街区や地域の認証システム | WELL Community ・1敷地の複数建物や街区、コミュニティ ・50,000㎡以上の面積で公共空間を含んだ10棟以上の地域を評価(主にデベロッパーなど一定の敷地内でWELL認証獲得を目指す場合) | |
| 【WELL at Scale】 所有している全て、または複数の建物や空間(5つ以上)にわたってWELLを適用できる認証システム | Enterprise ・企業や組織が所有するすべての建物(5つ以上)を評価 | WELLスコア評価 (WELL認証とWELL Ratingの合計値) |
| Portfolio ・企業や組織が所有する任意の建物(5つ以上)や、プロジェクト(5つ以上)を評価し一括管理 | WELL認証ポイントの平均点 | |
| 【WELL Rating】 建物の戦略として施設の運営に特化し、健康とウェルネスを評価する認定システム | WELL Health-safety Rating ・感染症やウェルネスを評価 | 29項目中15項目以上達成で認定 |
| WELL Performance Rating ・空気質や水質など運用時の測定値に基づく快適性を評価 | 30項目中21項目以上達成で認定 | |
| WELL Equity Rating ・ESGやCSRなど企業の社会に対する取り組みを評価 | 40項目中21項目以上達成で認定 |
WELL Building Standardのプロジェクト条件
WELL Building Standardのプロジェクトは、WELL Certificationと、WELL Coreのいずれかを選択できますが、プロジェクトオーナーの所有条件によって規定があります。
WELL Certification・・・建物全体(既存・新築)、テナントの専用部分を評価
- プロジェクトオーナーが建物全体を所有またはリースしている場合(オフィスとしてリースをしていて、認証はリース部分のインテリアが対象 など)、プロジェクトの管理はプロジェクトオーナーによって雇用された従業員であることが条件となる
※プロジェクトオーナーはWELL認証取得のためのプロジェクトオーナーであり、建物所有者とは異なる場合がある - リース部分をWELL認証申請する場合は追加条件があり、認証申請するリース範囲が建物全体の50%未満である必要がある
- プロジェクトの範囲は所有者の管理エリアを含める必要がある
(例:オフィスと倉庫をリースし、それぞれフロアが違う場合も両方の空間が範囲となる) - リース部分のプロジェクトにおいて、アメニティはリース範囲外であっても、認証の対象となる
(例:オフィスフロアの共用トイレなどリース範囲外であっても、リース部分のプロジェクトでは、認証取得のためにトイレの水質や空気質測定が必要)
WELL Core・・・テナントビルの共用部分を評価
- プロジェクトにはリース部分と共用部分があり、リース部分の75%が複数のオーナーによってリースされ、すべてのリース部分から共有部分へアクセスできることが条件
- WELL Coreのプロジェクトでは、範囲を決定することが重要で、複合施設のビルでは、入口から明確に分離できる必要がある (例︓ホテルやオフィスが入居する複合施設で、入り口が地上から分かれている場合は、オフィスの共用部分をWELL Coreとして認証することができる)
プロジェクトは、IWBI(International WELL Building Institute)のWELLコーチングチームが申請から認証取得までサポートを行うため、コーチングチームによって承認された場合は、プロジェクト登録後でも範囲を変更することが可能です。
WELL認証の流れ

最後に
WELL認証は世界で注目されている認証で、日本でも認証件数が増加しており、2021年の76件から2024年は150件と約2倍の認証件数となっています。
かつ、不動産業界においてWELL認証は、国際ESG不動産評価機関GRESBの不動産評価認証項目と整合性があります。WELL認証で高スコアを獲得する施策はGRESBでも高スコア取得につながるとされ、IWBIとGRESBは相互取得推奨を行っています。
ビューローベリタスは、健康や生産性に寄与するWELL認証取得の適合性検証を行っています。ぜひお問い合わせください。
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