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2025年最新版:定期調査報告(12条点検)法改正のポイントを全解説

2024-12-03

2024年(令和6年)6月28日、国土交通省は定期調査報告(12条点検)に関する法改正の告示を交付しました。2025年(令和7年)7月1日の施行以降に該当の建築物を点検する際には、変更点に合わせて対処する必要があります。

本記事では、定期調査報告(12条点検)の法改正の流れ・要点を押さえたうえで、調査の種類別のおもな変更点を紹介します。建築物のオーナー、または管理者の方は、ぜひご一読ください。

 

定期調査報告の一部内容の改正を告示

2024年(令和6年)6月28日、国土交通省は建築物の定期調査報告(12条点検)における点検項目・調査方法・結果の判断基準などの一部を改正する告示を公布しました。

参考:国土交通省「建築基準法等に基づく告示の制定・改正について」

 詳細は後述しますが、おもに以下の内容について法改正が行なわれました。

  • 特定建築物定期調査
  • 建築設備定期検査
  • 防火設備定期検査
  • 報告書様式

2025年(令和7年)7月1日の施行に合わせて、対象となる建築物や設備の所有者および管理者は、あらかじめ法改正の内容を正しく理解したうえで、適切に対処する必要があります。
点検を怠ったり、実施内容に不備があったりした場合は、行政指導や罰則を受ける恐れがあるため、しっかりとポイントを押さえておきましょう。

 

定期調査報告の改正の要点

2024年(令和6年)の定期調査報告における改正内容は多岐にわたりますが、優先的に押さえておくべき要点は、以下に挙げた7項目です。

 

検査の合理化

1.特定建築物定期調査と建築設備等定期検査との重複の解消【特定建築物、建築設備】

  • 「換気設備」、「排煙設備」、「可動式防煙壁」、「非常用の照明装置」の作動の状況確認は、建築設備等定期検査でまとめて実施
  • 「換気設備」「非常用の照明装置」の物品の放置の状況確認は、建築設備等定期検査で実施

2.特定建築物定期調査と昇降機定期検査との重複の解消【特定建築物、昇降機】

  • 「非常用エレベーター」の作動の状況確認は、昇降機定期検査でまとめて実施

3.特定建築物定期調査と防火設備定期検査との重複の解消【特定建築物、防火設備】

  • 各階の主要な「常時閉鎖式防火扉」について、運動エネルギー等、本体と枠の劣化および損傷の状況、作動するか、物品放置の状況、固定の状況確認は、防火設備定期検査で実施
  • 防火設備定期検査の対象を定めている2016年(平成28年)国土交通省告示第240号を改正(常時閉鎖式防火扉を対象に追加)

 

新技術を応用した調査・検査の合理化

4.目視またはこれに類する方法による確認について【共通】

  • 定期調査・検査(建築物、昇降機、遊戯施設、建築設備、防火設備)において、「目視またはこれに類する方法により確認する」と改正する
  • 「これに類する方法」は、赤外線装置・可視カメラ・センサー等

5.非常用照明の確認方法(検査対象は変更しない)【建築設備】

  • 予備電源の検査について、自動検査機能を有する場合には、非常点灯終了後の機器の表示等により確認することを可能とする。照度の検査について、自動検査機能を有し、かつ、非常用の照明装置としてLEDを用いている場合には、非常点灯終了後の機器の表示等により確認することを可能とする

 

不整合解消

6.防火設備定期検査の検査項目について【防火設備】

  • 構造基準と検査基準を一致させるため、防火設備定期検査における防火扉等の危害防止装置の検査項目を「人の通行の用に供する部分に限る」ことを明確化する

7.「構造基準」と「調査・検査基準」との不整合があるものへの対応【特定建築物、昇降機】

以下を削除

  • 建築物 戸の閉鎖力および運動エネルギーの計測
  • 昇降機 小荷物専用昇降機における機械室の点検用コンセント
  • 油圧エレベーターにおける機械室内の状況ならびに照明装置および換気設備等の防油堤の状況、標識の状況および消火設備の状況

なお、法改正前後の詳細な新旧対照表は、国土交通省のウェブサイトで公開されています。

参考:国土交通省「国土交通省告示第九百七十四号」

 

特定建築物定期調査の主な変更点

特定建築物定期調査の主な変更点は、以下のとおりです。

  1. 調査方法の変更
  2. 建築設備等定期検査との重複の解消
  3. 防火設備定期検査との重複の解消
  4. 昇降機定期検査との重複の解消
  5. スプリンクラー設備の状況確認

 

1.調査方法の変更

特定建築物定期調査の方法は、以下のとおり変更されました。

調査項目改正後改正前
1 敷地及び地盤
(1)地盤
目視又はこれに類する方法(以下「目視等」という。)により確認する。目視により確認する

改正後の「これに類する方法」とは、「定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む)による外壁調査 ガイドライン」に則った調査を指します。
また、定期調査・検査を実施する者が「自らの目視によるときと同等以上の情報が得られる」と判断した方法も、これに該当します。具体的には、ファイバースコープ・双眼鏡・赤外線装置・可視カメラ・拡大鏡などによる確認が挙げられます。

なお、ほかの調査項目で「目視により確認する」と定められていた項目に関しては、すべて本項目と同じく「目視又はこれに類する方法」へと変更されています。

 

図1の画像

図1 “目視”の記載変更

 

2.建築設備等定期検査との重複の解消

特定建築物定期調査と建築設備等定期検査との重複を解消するために、以下のとおり削除されました。※( )内は法改正前の調査項目の番号

調査項目改正後改正前
4 建築物の内部削除(旧42)換気設備の作動の状況
(旧43)換気の妨げとなる物品の放置の状況
調査項目改正後改正前
5 避難施設削除(旧21)付室等の排煙設備の作動の状況
(旧26)可動式防煙壁の作動の状況
(旧28)排煙設備の作動の状況
(旧34)乗降ロビー等の排煙設備の作動の状況
(旧39)非常用の照明装置の作動の状況
(旧40)照明の妨げとなる物品の放置の状況

換気設備・排煙設備・可動式防煙壁・非常用の照明装置における作動状況確認、換気設備・非常用の照明装置における物品の放置状況確認は、すべて建築設備等定期検査で実施するように変更されています。
ただし、排煙設備である自然排煙口の作動検査については、引き続き特定建築物定期調査にて行なうため、注意が必要です。

 

図2の画像

図2 特定建築物調査から建築設備検査に移行した内容

 

3.防火設備定期検査との重複の解消

特定建築物定期調査と防火設備定期検査は、以下の変更で重複が解消されました。

運動エネルギー等

調査項目改正後改正前
4 建築物の内部
防火設備 昭和48年建設省告示第2563号第1第一号ロに規定する基準についての適合の状況
削除(旧28)常時閉鎖した状態にある防火扉又は戸(以下「常閉防火扉等」という。)にあっては、各階の主要な常閉防火扉等の閉鎖時間を(略)測定する。
ただし、三年以内に実施した点検の記録がある場合にあっては、当該記録により確認することで足りる。

本体と枠の劣化および損傷の状況

調査項目改正後改正前
(29)戸(令第112 条第19項第二号に規定する戸に限る(30)の項及び(31)の項において同じ。)の本体と枠の劣化及び損傷の状況戸(令第112 条第19項第二号に規定する戸に限る(30)の項及び(31)の項において同じ。)の本体と枠の劣化及び損傷の状況常時閉鎖又は作動した状態にある防火設備又は戸(以下「常閉防火扉等」という。)の本体と枠の劣化及び損傷の状況

防火扉等が作動するか

調査項目改正後改正前
4 建築物の内部
(30)戸の閉鎖又は作動の状況
各階の主要な戸の閉鎖又は作動を確認する各階の主要な戸の閉鎖又は作動を確認する    各階の主要な戸の閉鎖又は作動を確認する。
ただし、3年以内に実施した点検の記録がある場合にあっては、当該記録により確認することで足りる。

物品の放置の状況

調査項目改正後改正前
4 建築物の内部
(31)戸の閉鎖又は作動の障害となる物品の放置並びに照明器具及び懸垂物の状況
戸の閉鎖又は作動の障害となる物品の放置並びに照明器具及び懸垂物の状況戸の閉鎖又は作動の障害となる物品の放置

固定の状況の確認

調査項目改正後改正前
4 建築物の内部
(32)常時閉鎖又は作動した状態にある戸の固定の状況
常時閉鎖又は作動した状態にある戸の固定の状況常閉防火扉等の固定の状況

各階の主要な「常時閉鎖式防火扉」について、以下の項目は防火設備定期検査で実施するようになりました。

  • 運動エネルギー等
  • 本体と枠の劣化及び損傷の状況
  • 防火扉等が作動するか
  • 物品の放置の状況
  • 固定の状況の確認

 

図3の画像

図3 特定建築物調査から防火設備検査に移行した内容

 

変更点が多いため、調査項目を混同しないよう、十分に注意しましょう。

 

4.昇降機定期検査との重複の解消

特定建築物定期調査と昇降機定期検査の重複は、以下の変更で重複が解消されました。

調査項目改正後改正前
5 避難施設削除(旧37)非常用エレベーターの作動の状況

非常用エレベーターの作動状況確認は、昇降機定期検査で実施します。

 

5.スプリンクラー設備の状況確認の追加

スプリンクラー設備に関しては、確認項目が新設されています。

⑤固定の状況の確認

調査項目改正後改正前
4 建築物の内部
(36)(37)スプリンクラー設備
(36)スプリンクラー設備の設置の状況
(37)スプリンクラー設置の劣化及び損傷の状況
なし

スプリンクラー設備の検査は、すべてが該当するわけではなく、令和6年(2024年)国交省告示第284号に該当するものが対象とされています。令和6年(2024年)4月1日に施行された規定であるため、それ以前のスプリンクラー設備については、該当なしとなります。

法第21条の大規模な建築物の緩和規定に伴い、告示改正後に確認申請を行なった案件、かつスプリンクラー設備が設置されている建物については、事前に確認が必要となります。

また、対象となるスプリンクラー設備について、検査6か月以内の消防検査にて検査されている場合は、その結果を反映できるとされています。

 

建築設備定期検査の主な変更点

建築設備定期検査の主な変更点は、以下のとおりです。

  1. 調査方法の変更
  2. 換気設備における物品放置の状況
  3. 非常用の照明装置

 

1.調査方法の変更

建築設備定期検査の調査方法は、以下のとおり変更されました。

調査項目改正後改正前
1 法第28条第2項又は第3項の規定に基づき換気設備が設けられた居室(換気設備を設けるべき調理室等を除く。)(1)目視又はこれに類する方法(以下「目視等」という。)により確認する。調査方法 目視により確認する

「これに類する方法」に関しては、先述の特定建築物定期調査の調査方法で説明した内容と同じです。

 

2.換気設備における物品放置の状況

換気設備における物品の放置状況の確認は、法改正後、建築設備定期検査で実施します。

調査項目改正後改正前
1 法第28条第2項又は第3項の規定に基づき換気設備が設けられた居室(換気設備を設けるべき調理室等を除く。)(9)各居室の給気口及び排気口における物品の放置の状況なし
調査項目改正後改正前
2 換気設備を設けるべき調理室等(9)各居室の給気口及び排気口における物品の放置の状況なし

 

3.非常用の照明装置

非常用の照明装置の確認については、以下のとおり変更されました。

調査項目改正後改正前
2 電池内蔵型の蓄電池、電源別置型の蓄電池及び自家用発電装置(1)予備電源作動の状況及び点灯時間を確認する。ただし、自動検査機能を有するものにあっては、自動検査機能による検査終了後における表示等により確認することで足りる。作動の状況及び点灯時間を確認する。
調査項目改正後改正前
2 電池内蔵型の蓄電池、電源別置型の蓄電池及び自家用発電装置(2)照度避難上必要となる部分のうち最も暗い部分の水平床面において低照度測定用照度計により測定する。ただし、自動検査機能を有し、非常時のみLED ランプが点灯するものにあっては、自動検査機能による検査終了後における表示等により確認することで足りる。避難上必要となる部分のうち最も暗い部分の水平床面において低照度測定用照度計により測定する。
調査項目改正後改正前
2 電池内蔵型の蓄電池、電源別置型の蓄電池及び自家用発電装置(3)照明の妨げとなる物品放置の状況なし

非常用の照明装置に関しては、作動状況確認および物品の放置状況確認の重複がなくなったため、特定建築物調査では設置確認のみとなり、作動検査は建築設備定期検査のみでの対応となります。

 

防火設備定期検査の主な変更点

防火設備定期検査の主な変更点は、以下のとおりです。

  1. 調査方法の変更
  2. 防火戸に関する変更
  3. 防火シャッターに関する変更
  4. 耐火クロススクリーン、ドレンチャーに関する変更

 

1.調査方法の変更

防火設備定期検査の調査方法は、以下のとおり変更されました。

調査項目改正後改正前
(1)防火扉目視又はこれに類する方法(以下「目視等」という。)により確認する。調査方法 目視により確認する

「これに類する方法」の定義は、前述の特定建築物定期調査と同様です。

 

2.防火戸に関する変更

防火戸の検査に関しては、以下のとおり変更されました。

調査項目改正後改正前
防火扉
(1)
閉鎖又は作動の障害となる物品の放置並びに照明器具及び懸垂物等の状況閉鎖の障害となる物品の放置の状況
防火扉
(4)常時閉鎖した状態にある防火扉(以下「常閉防火扉」という。)
固定の状況なし
防火扉
(5)人の通行の用に供する部分に設ける防火扉(常閉防火扉にあっては、各階の主要なものに限る。)
閉鎖時間・閉鎖力の測定
※人が通る部分に限定される
閉鎖時間・閉鎖力の測定

今回の法改正では、常時閉鎖式の防火扉の検査が防火設備定期検査に移行されます。11月15日現在、さらなる一部改正に関してパブリックコメント中で決定とはいえませんが、常時閉鎖式の防火扉の検査は3年間で対象となる防火設備を1回検査することになる見込みです。

 

3.防火シャッターに関する変更

防火シャッターの検査に関するおもな変更点は、以下のとおりです。

調査項目改正後改正前
防火シャッター
(1)
閉鎖又は作動の障害となる物品の放置並びに照明器具及び懸垂物等の状況閉鎖の障害となる物品の放置の状況
防火シャッター
(10)~(14)危害防止装置(人の通行の用に供する部分に設ける防火シャッターに係るものに限る。)
危害防止装置の検査は、人が通る部分に限定されるすべて対象、すべての危害防止装置の設置が求められる

 

4.耐火クロススクリーン、ドレンチャーに関する変更

耐火クロススクリーンおよびドレンチャーの確認については、以下のとおり変更されました。

調査項目改正後改正前
耐火クロススクリーン
(1)
閉鎖又は作動の障害となる物品の放置並びに照明器具及び懸垂物等の状況閉鎖の障害となる物品の放置の状況
ドレンチャー等
(1)
作動の障害となる物品の放置並び に照明器具及び懸垂物等の状況作動の障害となる物品の放置の状況

 

報告書様式の変更点(予定)

12条点検の報告書様式に関しては、別途改正が予定されています。具体的には、以下の報告書の様式が変更となる見込みです。

  • 特定建築物定期調査の調査結果図:
    調査結果表に添付する各階平面図に「防火区画」を明示します。調査・検査の業務の効率化に役立つよう、発注者から検査者に対して適切な情報提供の実施を促すことが狙いです。
  • 防火設備定期検査の検査結果:
    「防火設備の検査の状況」に関しては、以下のとおり当該建築物全体における不具合の箇所数がわかる様式へと変更されます。

【防火設備の検査の状況】

【イ. 指摘の内容】□要是正の私的あり(既存不適格)□指摘なし
【ロ.指摘の割合等】

□防火扉( 枚、 %)
□防火シャッター( 枚、 %)
□耐火クロススクリーン( 枚、 %)
□ドレンチャー( 台、 %)
□その他( 台、 %)

【ハ.指摘の概要】
【ニ.改善予定の有無】□有( 年 月に改善予定)□無

  • 全体的な結果表の検査項目の変更:
    これまでに紹介した変更により、特定建築物定期調査・建築設備定期検査・防火設備定期検査の検査項目が、令和7年(2025年)7月1日の検査より変更されます。これに伴い、報告書の書式もすべて変更となります。

    これまでの法改正では、書式変更に対する経過措置(法改正以前の書式でも一定期間は受付可)を設けていましたが、今回の法改正では、検査種別自体が変更となるため、経過措置は取られない予定です。

 

その他法改正による影響

今回の法改正により、防火設備定期検査と建築設備定期検査の対象設備が増加する可能性があります。
現状、特定建築物調査のみが対象となっている建物は、非常用照明・換気設備・排煙設備の作動検査が行なわれなくなります。その対策として、防火設備定期検査、建築設備検査の対象となる設備・建物が増加する可能性があります。

 

図4の画像

図4 今後対象検査変更が想定される内容

 

最後に

12条点検は調査項目が多く、点検にあたっては建築物や設備に関する専門的な知識・技術が求められるため、有資格者に依頼して漏れなく実施することが重要です。
ビューローベリタスでは、12条点検の実施にあたり、お客様の予定や建物の使用状況を踏まえつつ、柔軟なスケジューリングができるため、日程や時間帯を調整しやすく、点検による利用者への影響を最小限に抑えることができます。
ぜひお問い合わせください。

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