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令和6年度税制改正における住宅関係税制~住宅ローン減税:建設住宅性能評価・省エネルギー住宅性能証明の活用~

2024-08-06

2023年12月22日、子育て世帯への支援強化の必要性、現下の急激な住宅価格の上昇等の状況を踏まえ閣議決定した令和6年度税制改正の大綱に、住宅ローン減税の制度変更等が追加されました。関連税制法は2024年3月28日に国会で成立し、内容が確定しました。

今回は、住宅ローン減税における条件や、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置についてご紹介します。

 

住宅ローン減税(住宅の新築・取得)

1. 令和5年度税制改正と令和6年度税制改正の変更点

令和5年度税制改正での住宅ローン減税は、住宅ローンを借り入れて、住宅の新築・取得または増改築等をした場合、年末のローン残高の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から最大13年間控除するものでした。

2023年12月末日までに建築確認を受けた住宅のうち、認定長期優良住宅・認定低炭素住宅で限度額5,000万円まで、ZEH水準省エネ住宅で限度額4,500万円まで、省エネ基準適合住宅は限度額4000万円まで、その他の住宅は限度額3000万円まで控除対象となっていました。

また、対象となる床面積要件は50㎡以上、合計所得金額2,000万円以下(2023年までに建築確認を受けた新築の場合:40㎡に軽減、合計所得金額1,000 万円以下の年分に限る)、住宅の引き渡しまたは工事完了から6か月以内に居住の用に供すること、などが条件でした。

2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅においては、住宅の新築・取得または増改築等をした場合、年末のローン残高の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から最大13年間控除する条件は同じですが、認定長期優良住宅・認定低炭素住宅で限度額4,500万円まで、ZEH水準省エネ住宅で限度額3,500万円まで、省エネ基準適合住宅は限度額3,000万円まで、その他の住宅は控除対象から外れることとなっていました。

 

令和5年度の税制改正

令和5年度の税制改正の説明画像

出典:国土交通省「住宅ローン減税省エネ要件化等についての説明会資料」


令和6年の税制改正では、これを修正して住宅ローン減税対象となる借入限度額について、子育て世帯・若者夫婦世帯(「19歳未満の子を有する世帯」または「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」)が令和6年に入居する場合には一定の上乗せ措置を講ずることで、令和4・5年入居の場合の水準(認定住宅:5,000万円、ZEH水準省エネ住宅:4,500万円、省エネ基準適合住宅:4,000万円)を維持することとなりました。

原則として2024年1月以降に建築確認を受けて新築された住宅は、省エネ基準に適合することが住宅ローン減税の必須要件です。住宅ローン減税の申請時には、省エネ基準以上適合の証明書が必要になります。

また、新築住宅の床面積要件である、床面積要件が50㎡以上、合計所得金額2,000万円以下(40㎡以上に緩和する措置、合計所得金額1,000万円以下の年分に限る)については建築確認の期限を令和6年12月31日(改正前:令和5年12月31日)に延長することとなりました。その他の条件に変更はありません。

 

令和6年度の税制改正

令和6年度の税制改正の説明画像

出典:国土交通省「令和6年度住宅税制改正概要

 

2. 限度額を増額するために必要な証明

借り入れ限度額を上乗せすることのできる「認定長期優良住宅、認定低炭素住宅」「ZEH水準省エネ住宅」「省エネ基準住宅」とするために必要な証明書をご紹介します。

認定長期優良住宅、認定低炭素住宅:必要な証明書・・・認定書(行政庁が発行するもの)
長期優良住宅や低炭素住宅として、行政から認定を受ける必要があります。着工前に、長期使用構造等であるかの確認申請や、低炭素建築物新築等計画の技術的審査申請を行い、確認書や技術的適合証を取得、建築地の特定行政庁へ認定申請を行います。

<ビューローベリタスのサービス>
長期使用構造等確認
低炭素建築物新築等計画の技術的審査

ZEH水準省エネ住宅:必要な証明書・・・建設住宅性能評価書の写しまたは住宅省エネルギー性能証明書
ZEH基準、すなわち、日本住宅性能表示基準における、断熱等性能等級(断熱等級)5※1かつ一次エネルギー消費量等級(一次エネ等級)6の性能を有する住宅が該当します。※1結露の発生を防止する対策に関する基準を除く省エネ性能がZEH水準(断熱等性能等級(断熱等級)5かつ一次エネルギー消費量等級(一次エネ等級)6)であることのみが求められており、太陽光パネルなどの設置は要件ではありません。

省エネ基準住宅:必要な証明書・・・建設住宅性能評価書の写しまたは住宅省エネルギー性能証明書
現行の省エネ性能を満たす基準、すなわち、日本住宅性能表示基準における、断熱等性能等級(断熱等級)4以上※2かつ一次エネルギー消費量等級(一次エネ等級)4以上の性能を有する住宅が該当します。※2 結露の発生を防止する対策に関する基準を除く

<ビューローベリタスのサービス>
住宅省エネルギー性能証明書発行

 

3. 共同住宅の「ZEH水準省エネ住宅」「省エネ基準住宅」住棟における適合基準の考え方

「ZEH水準省エネ住宅」および「省エネ基準住宅」については、建築物省エネ法における誘導基準に適合する性能を有していることが確認できる場合、「ZEH水準省エネ住宅」および「省エネ基準適合住宅」に係るローン減税の上乗せ措置の適用基準を満たしているものと評価して差し支えないこととなっています。

共同住宅の「一次エネルギー消費量等級」について、住宅性能評価の評価方法では、一次エネルギー消費量等級の評価を住戸ごとに評価することとされています。しかし、建築物省エネ法における省エネ基準への適合確認は、すべての住戸の消費量の合計等をもとに住棟単位で評価すること、とされています。

したがって、各住戸で個別に基準適合性が評価されている場合のみならず、建築物省エネ法の省エネ基準への適合確認と同様の方法で住棟全体として、一次エネルギー消費量等級の基準を満たすことが確認された場合、当該住棟内の各住戸全てが省エネ基準適合住宅として住宅省エネルギー性能証明書の発行を受けることが可能になります。但し、断熱等性能等級については個別住戸での基準合致が必要です。

「ZEH水準省エネ住宅」においては、個別住戸で断熱等性能等級5取得、住棟で一次エネルギー消費量等級6を取得できていれば基準を満たすこととなります。同様に「省エネ基準住宅」は、個別住戸で断熱等性能等級4取得、住棟で一次エネルギー消費量等級4を取得できていれば基準を満たすこととなります。

一次エネルギー消費量等級について、住棟評価での省エネ性能を証明する書類としてBELSやフラット35の適合証明書がありますが、それらの書類は、住宅ローン減税の申請にあたり住宅の性能を証明する書類として使用することはできません。
建設住宅性能評価書の写しまたは住宅省エネルギー性能証明書だけがローン減税申告に利用できます。

マンション等の共同住宅の場合、一次エネルギー消費量等級の基準を住棟評価で達成する場合は、個別住戸で発行する「建設住宅性能評価書」では基準を満たさず、ローン減税の申告ができない住戸がでてくる場合が考えられます。
また、省エネ性能を証明する書類は1棟につき1枚ではなく、申請者が取得する住戸ごとに1枚の証明書が必要になりますので、この場合は住棟の評価結果を流用して、各住戸の「住宅省エネルギー性能証明書」を証明することが可能です。

「住宅省エネルギー性能証明書」は、登録された建築士事務所に属する建築士、登録住宅性能評価機関、指定確認検査機関、住宅瑕疵担保責任保険法人が発行可能です。

 

ビューローベリタスジャパンでは、住棟評価での一次エネルギー性能等級の省エネ性能を証明する書類、BELSやフラット35の適合証明書およびその根拠となる図書にて、個別住戸の新築時の住宅省エネルギー性能証明書の発行業務を行っています。
ぜひお気軽にお問い合わせください。

営業統括部 西日本営業部 井上 卓也