今後の省エネルギー対策に伴う建築構造基準改正の方向性について
2022年2月1日、社会資本整備審議会は、国土交通大臣に対して「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方(第三次答申)について」および「今後の建築基準のあり方(第四次答申)について」の答申を行いました。これを受け、同年4月22日に「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。今後、これらの内容に沿うよう、国土交通大臣は政令改正など必要な措置を講じる見込みです。
このなかには「2025年度以降に新築される原則全ての建築物を対象に、現行の省エネ基準への適合を義務付ける。」という内容が盛り込まれており、これを実現するため、構造安全性についての建築基準法令の改正等についても提言されています。今回は、その内容についてご紹介します。
答申では、2025年度以降の現行の省エネ基準への適合を義務付けにあたり、その実効性を確保しつつ、適合確認の申請側・審査側の負担軽減の観点から、次のように提言されています。
「省エネ性能を確保するために木造建築物等の高さが高くなっている状況を踏まえ、構造安全性の確保を前提として、木造建築物等の設計等の負担軽減のため、具体的な対策を講じる必要がある。」とし、具体的な対策として下記の2点を挙げています。
さらに、「小規模木造建築物における省エネ化に伴う建築物の重量化や、大空間を有する建築物の増加などの状況を踏まえ、必要な構造安全性を確保するために、具体的な対策を講じる必要がある。」とし、具体的な対策として、構造安全性について主に下記の4点を挙げています。
2025年度以降に現行の省エネ基準への適合が義務付けられるにあたり、構造安全性について改正が見込まれる内容をまとめました。
これらのほか、鉄骨造のルート1に、高さ13m以下かつ軒高9m以下で適用できる現行のルート1-1およびルート1-2に加え、新たに高さ16m以下かつ階数3以下で適用できるルート1-3を追加することについて、国土交通省で検討が始められているという情報もあります。今後の動向にご注目ください。
【参考】国土交通省ウェブサイト
今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方(第三次答申)及び建築基準制度のあり方(第四次答申)について~社会資本整備審議会 答申~
「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案」を閣議決定~2050年CNの実現に向けて、建築物の省エネ化及び木材利用の促進を図ります!~