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今後の省エネルギー対策に伴う建築構造基準改正の方向性について

2022-06-10

社会資本整備審議会による答申および閣議決定

2022年2月1日、社会資本整備審議会は、国土交通大臣に対して「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方(第三次答申)について」および「今後の建築基準のあり方(第四次答申)について」の答申を行いました。これを受け、同年4月22日に「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。今後、これらの内容に沿うよう、国土交通大臣は政令改正など必要な措置を講じる見込みです。

このなかには「2025年度以降に新築される原則全ての建築物を対象に、現行の省エネ基準への適合を義務付ける。」という内容が盛り込まれており、これを実現するため、構造安全性についての建築基準法令の改正等についても提言されています。今回は、その内容についてご紹介します。

 

小規模木造建築物等の構造安全性を確認するための措置

答申では、2025年度以降の現行の省エネ基準への適合を義務付けにあたり、その実効性を確保しつつ、適合確認の申請側・審査側の負担軽減の観点から、次のように提言されています。

「省エネ性能を確保するために木造建築物等の高さが高くなっている状況を踏まえ、構造安全性の確保を前提として、木造建築物等の設計等の負担軽減のため、具体的な対策を講じる必要がある。」とし、具体的な対策として下記の2点を挙げています。

  • 階高の高い3階建ての建築物のうち、簡易な構造計算(許容応力度計算)によって構造安全性を確かめることが可能な範囲について、建築物の構造バランス等の確保を前提に、現行の高さ13m以下かつ軒高9m以下から、高さ16m以下かつ階数3以下に見直す。
  • 簡易な構造計算の対象となる高さ・階数の建築物の設計又は工事監理を担えるようにする観点から定められている二級建築士の業務範囲について、見直し後の構造計算の区分と整合させる。

さらに、「小規模木造建築物における省エネ化に伴う建築物の重量化や、大空間を有する建築物の増加などの状況を踏まえ、必要な構造安全性を確保するために、具体的な対策を講じる必要がある。」とし、具体的な対策として、構造安全性について主に下記の4点を挙げています。

  • 省エネ化等に伴って重量化している建築物の安全性確保のため、必要な壁量等の構造安全性の基準を整備する。
  • 上述壁量等の基準や省エネ基準への適合を、審査プロセスを通じて確実に確保するため、建築確認・検査の対象外となっている建築物の範囲及び審査省略制度の対象となっている建築物の範囲を縮小し、現行の非木造建築物に係る建築確認・検査や審査省略制度の対象に統一化する。これにより、構造種別を問わず、階数2以上又は延べ面積200㎡超の建築物は、都市計画区域等の内外にかかわらず、建築確認・検査の対象とし、省エネ基準への適合審査とともに、構造安全性の基準等も審査対象とすることが適切である。
  • 木造建築物のうち、構造安全性の確保のために構造計算が必要となる建築物の範囲を、500㎡超のものから、大空間を有するものも含まれる300㎡超のものに拡大する。
  • 通常は構造計算によることなく仕様規定により構造安全性の確保を行う小規模な木造建築物等で、一部の仕様規定に適合しない伝統的構法を採用するために限界耐力計算等の高度な構造計算による安全性検証が必要となる場合であっても、構造設計一級建築士が設計又は構造安全性の基準への適合確認を行い、構造計算適合性判定資格者が建築確認審査を行う場合には、手続きを合理化し、構造計算適合性判定を要しないこととする。

 

まとめ

2025年度以降に現行の省エネ基準への適合が義務付けられるにあたり、構造安全性について改正が見込まれる内容をまとめました。

  • 高さ16m以下かつ3階以下の木造建築物は、構造のバランス等を確保したルート1によることができる。
  • 上記の建築物の設計・工事監理を二級建築士の業務範囲となる。
  • 重量化の影響を勘案して、木造建築物の必要壁量等が見直される。
  • 構造種別を問わず、階数2以上または延べ面積200㎡超の建築物は、都市計画区域等の内外にかかわらず、建築確認・検査の対象となる。
  • 木造建築物のうち、構造計算が必要となる建築物の範囲が、500㎡超から300㎡超に拡大される。
  • 一部の仕様規定に適合しない小規模木造伝統的構法に限界耐力計算を採用しても、構造設計一級建築士の設計の関与、構造計算適合性判定資格者による建築確認審査の場合には、構造計算適合性判定を要しない。

これらのほか、鉄骨造のルート1に、高さ13m以下かつ軒高9m以下で適用できる現行のルート1-1およびルート1-2に加え、新たに高さ16m以下かつ階数3以下で適用できるルート1-3を追加することについて、国土交通省で検討が始められているという情報もあります。今後の動向にご注目ください。

【参考】国土交通省ウェブサイト
今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方(第三次答申)及び建築基準制度のあり方(第四次答申)について~社会資本整備審議会 答申~
「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案」を閣議決定~2050年CNの実現に向けて、建築物の省エネ化及び木材利用の促進を図ります!~

 

建築認証事業本部 丹波 利一


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