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「木造の屋外階段等に関する建築確認・検査及び維持保全等について(技術的助言)」より

2022-02-10

令和3年4月に東京都八王子市内で発生した木造共同住宅の屋外階段崩落事故を受け、国土交通省では、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会における議論等を踏まえて、「設計時における防腐措置等の内容の明確化」、「工事監理及び完了検査時における屋外階段の適切な照合・適合確認の確保」および「適切な維持管理の確保」からなる再発防止策を講ずることとなりました。
これに伴い、建築基準法施行規則の一部を改正する省令」並びに「建築物の維持保全に関する準則又は計画の作成に関し必要な指針を定める件の一部を改正する件」および「建築物の定期調査報告における調査及び定期点検における点検の項目、方法及び結果の判定基準並びに調査結果表を定める件を改正する件」は、令和4年1月18日に公布され、令和4年4月1日(令和4年国土交通省告示第110号のうち、避難施設等の改正規定は令和5年1月1日)から施行されることとなりました。
加えて、木造の屋外階段等の防腐措置や支持方法についての内容の明確化や、適切な維持管理のため、「木造の屋外階段等の防腐措置等ガイドライン」(以下「防腐措置等ガイドライン」という。)が取りまとめられました。
今回は、その中から建築確認・検査についてご紹介します。

(以下、国土交通省「木造の屋外階段等に関する建築確認・検査及び維持保全等について(技術的助言)」より抜粋し、転載)

 

第1 設計時における防腐措置等の内容の明確化

(1)建築確認申請時に必要な添付図書の明確化

①建築確認申請時に必要な添付図書の明確化(改正後の規則第1条の3関係)

建築確認申請時の添付図書として、建築基準法施行令(昭和25年政令第338号。以下「令」という。)第121条の2の規定に適合することの確認に必要な図書を位置づけるとともに、明示すべき事項として、令第121条の2の規定の適用を受ける直通階段で屋外に設けるもの(以下「屋外階段」という。)が木造である場合(屋外階段の一部の部材(仕上げ材等を除く。)が木材により構成される場合を含む。)における当該屋外階段の構造及び防腐措置を明確化することとした。
令第121条の2の規定への適合性審査においては、引き続き、木造とする部位(木材の使用箇所)、準耐火構造、防腐措置等の具体的な仕様のほか、必要に応じて、防腐措置等の妥当性の根拠についても確認するよう留意されたい。

②建築確認申請時の様式の見直し(改正後の規則別記第2号様式関係)

規則別記第2号様式「確認申請書(建築物)」第4面の【19.備考】欄に係る記載の際の注意事項に、屋外階段が木造である場合には、その旨を記載すべき旨を追加することとした。このとき、屋外階段であって、一部の部材(仕上げ材等を除く。)が木材で構成される場合についても、備考欄への記載が必要になることに留意されたい。なお、改正に伴う経過措置として、附則に基づき、省令の施行の際現にある省令改正前の様式による用紙は、当分の間、これに上記注意事項の記載があるものとして、必要事項を【19.備考】欄に記載することにより、暫定的にこれを使用することができることを申し添える。

 

(2)防腐措置等ガイドラインについて

木造の屋外階段等の防腐措置や支持方法についての内容を明確化するため、学識経験者等による検討会(「屋外階段の防腐措置等検討TG」)を設置して検討を行い、今般、建築物の設計者、施工者、建築主、管理者等に対する設計・施工段階及び使用段階の留意事項について、防腐措置等ガイドラインを別添1のとおりとりまとめた。
防腐措置等ガイドライン「6.劣化対策の観点から避けるべき設計・施工・維持管理事例」(1)1)及び2)においては、木造の屋外階段について、令第121条の2に規定されている「有効な防腐措置」が講じられていないと考えられる場合を示しており、同条の審査に当たっての参考とされたい。その他、同ガイドライン「3.防腐措置等及び維持管理の基本的な考え方」(1)並びに「4.設計・施工段階の防腐措置等に関する具体的な留意事項」において、防腐措置に関して推奨すべき事項を示しているので、あわせて参考とされたい。
なお、同検討会において、引き続き、防腐措置等ガイドラインを補完する事例集を作成しており、今年度中を目途にとりまとめることとしていることを申し添える。

 

第2 工事監理及び完了検査時における屋外階段の適切な照合・適合確認の確保

(1)中間検査及び完了検査の様式の見直し等(改正後の規則別記第19号及び第26号様式関係)

規則別記第19号様式「完了検査申請書」第4面及び別記第26号様式「中間検査申請書」第4面の「備考」欄に係る記載上の注意事項に追加したとおり、屋外階段がある場合には、当該屋外階段が木造であるか否かについて備考欄に記載するほか、当該屋外階段が木造である場合は、当該屋外階段に用いる材料の種類並びに当該屋外階段の構造、防腐措置及び施工状況に関する照合内容、照合方法並びに照合結果について、あわせて同欄に記載することとした。
このとき、屋外階段がある場合には、当該階段が木造でない場合においても、当該階段が木造でない旨について備考欄への記載が必要になるほか、当該階段の一部の部材(仕上げ材等を除く。)が木材で構成される場合についても、当該階段の木材以外の部分も含めた照合結果等について備考欄への記載が必要になることに留意されたい。なお、改正に伴う経過措置として、附則に基づき、省令の施行の際現にある省令改正前の様式による用紙は、当分の間、これに上記注意事項の記載があるものとして、必要事項を「備考」欄に記載することにより、暫定的にこれを使用することができることを申し添える。

 

(2)中間検査及び完了検査における工事監理の状況の確認

木造の屋外階段について、工事と設計図書との照合及び確認方法等を別添2の「賃貸共同住宅に係る工事監理ガイドライン」(令和元年10月1日策定。令和4年1月18日改定。)(以下「工事監理ガイドライン」という。)に追記、明示することとした。
中間検査及び完了検査を行う検査員は、確認図書、建築計画概要書、工事監理者への関連状況の聴取や、規則別記第19号様式「完了検査申請書」第4面又は規則別記第26号様式「中間検査申請書」第4面の「備考欄」の記載内容等により、屋外階段が木造であるか否かを確かめるとともに、屋外階段が木造である場合は、工事監理ガイドラインに準拠して工事監理者により適切に工事監理が実行されていることを確かめること。その際、必要に応じて、工事監理者に対して工事監理状況について説明を求めるなど、確認を行うこと。

 

(3)屋外階段が被覆されている場合の留意事項

木造の共同住宅では鉄骨造の屋外階段として計画されることが一般的であるところ、鉄骨造の屋外階段であって階段裏側が被覆されるケースは、意匠上被覆されるケースなど限定的と考えられることから、検査時に、設計図書上、屋外階段が木造である旨の記載がない場合であっても、屋外階段の裏側が被覆されていることが認められる場合には、木造の屋外階段である可能性があることにも留意の上、工事監理者に確認するなど、特に注意して検査を行うこと。

(中略)

 

第3 適切な維持管理の確保

(2)定期調査報告の強化

③建築計画概要書様式の見直し(改正後の施行規則別記第3号様式関係)

特定行政庁における定期調査報告の指導の実効性を高めるため、第1(1)②建築確認の様式の見直しに加えて、規則別記第3号様式「建築計画概要書」第2面に記載すべき事項として、「建築基準法第12条第1項の規定による調査の要否」を追加することとした。なお、改正に伴う経過措置として、附則に基づき、省令の施行の際現にある省令改正前の様式による用紙は、当分の間、「建築基準法第12条第1項の規定による調査の要否」を「19.その他必要な事項」欄に記載すること等により、暫定的にこれを使用することができることを申し添える。

 

建築認証事業本部 本多 徹


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