東京都「大規模事業所への温室効果ガス排出量削減義務と排出量制度」において、削減計画期間は2010年度以降5年ごと、第2計画期間の履行期限は2022年1月末です。
対象となる事業所、事業所の範囲、削減義務率など概要をご説明します。

 

制度概要

この制度は、オフィスビル等を対象としたキャップ&トレード制度で、大規模事業所間の取引に加え、各種クレジットの活用も可能な制度です。

この制度の運用により、高効率機器への更新や運用対策の推進、自らの削減対策に加え、排出量取引での削減量の調達による、合理的な対策を推進させる狙いがあります。

 

対象となる事業所およびエネルギー使用量と排出量の届出

この制度の対象は、エネルギー使用量が原油換算使用量で年間1,500kL以上となった大規模事業所を対象とします。

原油換算エネルギー使用量が1,500kL以上の年度が3年以上となった場合や、原油換算使用量で年間1,500kL以上となった事業所のうち、中小企業等が二分の一以上の場合など、条件によって対象事業所分類が変わります。

 

分類 要件
指定地球温暖化対策事業所 燃料・熱・電気の使用量が原油換算で年間合計 1,500 kL 以上となった事業所(第2計画期間以降は、中小企業等 が二分の一以上所有するものを除く。)
特定地球温暖化対策事業所 3年度(年度の途中から使用開始された年度を除く。)連続して、燃料・熱・電気の使用量が原油換算で年間合計 1,500 kL 以上となった事業所(第2計画期間以降は、中 小企業等が二分の一以上所有するものを除く。)
指定相当地球温暖化対策事業所
(第2計画期間以降に適用)
燃料・熱・電気の使用量が原油換算で年間合計 1,500 kL 以上となった事業所のうち中小企業等が二分の一以上所有するもの

 

前年度の原油換算エネルギー使用量が 1,500kL 以上となった事業所(第2計画期間以降は、中小企業等が二分の一以上所有するものを除く。)および指定地球温暖化対策事業所の指定を受けた事業所は毎年度、前年度の年間のエネルギー使用量および特定温室効果ガス排出量を算定し、その算定結果を東京都へ届け出ることが必要です。

 

削減計画期間

削減計画期間は2010年度以降、5年ごとです。
総量削減義務の履行期限は、計画期間終了後、1年6か月間の整理期間の末日が、履行期間となります。

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削減計画期間は2010年度以降、5年ごと

 

 

事業所の範囲

基本的には、建物・施設単位(住居は除く)とし、下記の事業所は複数の建物棟をまとめて一つの事業所とみなします。

  1. エネルギー供給事業者からの変電点やガス供給点が同一の場合
  2. 共通の所有者が存在する建物等が隣接・近接している場合※

※ 建物と建物が近隣の場合:主たる使用者が同一である場合に限る。
※ 建物と施設(平面駐車場・駐輪場を除く。)が近隣の場合:建物の主たる使用者と施設を使用して事業活動を行う者が同一である場合に限る。
※ 建物と平面駐車場・駐輪場が近隣の場合:平面駐車場・駐輪場の利用状況等を踏まえ、建物との機能的一体性があると都が認める場合に限る。
※ 施設と施設が近隣の場合:共通する所有者が存在すれば一つの事業所とみなす。

 

削減義務率

計画期間ごとに削減義務率が定められています。また、用途や事業所のエネルギー供給先によって削減義務率が定められています。

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計画期間ごとに削減義務率が定められています

 

 

排出量取引(クレジット)

クレジットにはいくつかの制度が設けられています。削減対策の実施等によって得られた温室効果ガスの削減量や環境価値を、削減義務の履行へ利用が可能です。

 

クレジット名称 概要
超過削減量 対象事業所が削減義務量を超えて削減した量
都内中小クレジット 都内中小事業所における認定基準による対策による削減量
再エネクレジット 再生可能エネルギー環境価値
その他削減量:グリーンエネルギー証書またはRPS法における新エネルギー棟電気相当量などの他制度による環境価値
環境価値換算量:都が認定する設備において算定された環境価値
都外クレジット 都外の大規模事業所の省エネ対策による減量(削減義務相当を超えた量に限る。)
埼玉連帯クレジット 埼玉県目標設定型排出量取引制度で認定された超過削減量、中小クレジット

 

技術監査事業部 佐々木 輝

 


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