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建築図面

法改正の主要構造部規制の見直しについて

2019-06-10

建築基準法の一部を改正する法律の施行(公布の日から1年以内施行)に伴う建築基準法施行令・施行規則・告示の改正等に向けた検討案の中から一部抜粋してご紹介します。

※出典:国土交通省「平成30年改正建築基準法に関する説明会(第2弾)」資料

1. 主要構造部規制の見直しについて

(1) 実際に建てられる建築物のイメージ

  • 主要構造部に対する各規定に基づく要求性能が下表のような場合の建築物に必要な性能はこれらをすべて満たすことが必要となる。
  • 「性能検証」を行う場合については、要求性能の時間が固定とはならない。(下表はあくまで一例)

実際に建てられる建築物のイメージ


(2)準耐火構造及び耐火構造の要求時間別仕様の比較(参考)

  • 各要求時間に応じた準耐火構造・耐火構造に関し、防火被覆型・燃えしろ型のそれぞれについて必要な被覆層・燃えしろ層の厚さを試算すると下表のとおり。準耐火構造の防火被覆型では、新たに75分から120分の赤字で書かれた厚みの強化石膏ボードや耐火 構造の120分についても追加されます。

準耐火構造及び耐火構造の要求時間別仕様の比較

(3) 法第21条第1項の規制対象外となる「空地」について
[背景]

  • 法第21条第1項は、大規模の木造建築物で火災が発生し、火災の最中に当該建築物が倒壊することで、結果として周囲へ延焼することの防止を目的としている。
  • このため、建築物の周囲に延焼防止上有効な空地がある場合には、同項の規定は適用しないこととしており、「空地」の具体的な範囲については、火災時に建築物が倒壊した場合に、周囲に加害を生じない範囲として定める必要がある。

[見直しの考え方]
倒壊の際に影響のある最大の範囲は、建築物がそのまま真横に倒壊した場合における範囲であり、具体的には下図のとおり、建築物の各部分からその「高さ」と同じ長さの「水平距離」で囲まれた範囲となる。

法第21条第1項の規制対象外となる「空地」について


[見直し内容]
延焼防止上有効な空地に関する法第21条第1項ただし書の政令で定める技術的基準は、①敷地内に設けられた空地であること、②建築物の各部分からの水平距離が当該各部分の高さに相当する距離以上であることとする。

(4) 防火地域等における建築物に対する規制の見直し

① 防火・準防火地域における延焼防止性能の高い建築物の建蔽率の緩和

防火・準防火地域における延焼防止性能の高い建築物の建蔽率の緩和


② 防火・準防火地域における延焼防止性能の高い建築物の技術的基準を新たに整備

防火・準防火地域における延焼防止性能の高い建築物の技術的基準を新たに整備

 

2. 延焼のおそれのある部分から除く部分について

  • 建築基準法では、隣地境界線等から一定以下の距離にある建築物の部分を「延焼のおそれのある部分」とし、規模や立地などにより、建築物の外壁や外壁の開口部等に一定の性能を要求している。
  • このうち、「延焼のおそれのある部分」から除く部分として、建築物の外壁面と隣地境界線等との角度に応じて、当該建築物の「周囲において発生する火熱により燃焼するおそれのない部分」を定める。
  • 詳細な範囲の設定方法については、引き続き検討する。

延焼のおそれのある部分から除く部分について

 

3. 区画材としての「防火床」が追加される

[現行]

  • 延べ面積が1,000㎡を超える建築物について、耐火建築物や準耐火建築物である場合等を除き、防火上有効な構造の防火壁によって有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ1,000㎡以内としなければならないこととしている。

区画材としての「防火床」が追加される


[改正後(追加)]

  • 防火上有効な構造の防火床による区画も可能とする。
  • これにより、同一階での壁の区画ではなく、1階RC造・2階木造といった床による区画の形成が認められることとなるため、同じ延べ面積の建築物であっても、ひとつのフロアを広く利用することができるようになることが期待される。

防火床における上階延焼防止性能に係る仕様
防火床における上階延焼防止性能に係る仕様

上階延焼を防止するために必要な具体的な措置(鉛直断面図)

以上が一部抜粋した内容です。
主要構造部規制の見直しについては、今まで全て一律性能(耐火建築物)を要求していましたが、改正後はそれぞれの性能が規制する目的に合っていることを計算で示して、総合評価と性能規定化が徹底され、設計の自由度が拡大します。延焼のおそれがある部分については、緩和規定が新たに制定され、防火床の追加によって1階がRC造または鉄骨造の上に木造を載せる混構造ができ、合理化されました。
今回の説明内容は検討案の情報ですので、内容が変更される場合もあります。最新情報を確認のうえ、設計または工事施工されますようご注意ください。

建築認証事業本部 本多 徹

 


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