MEPC 79（第79回海洋環境保護委員会）主な審議内容

2023-01-17

12月12日から16日にかけて、MEPC 79が開催されました。主な内容は以下のとおりです。

MEPC 79議事録はこちらよりダウンロードできます

＜採択された内容＞

MEPC.360（79）廃物記録簿の船上保持が義務付けられる対象船の拡大（100トン以上の船舶を対象とする）（2024年5月1日適用開始）
MEPC.361（79）地中海での硫黄酸化物排出規制海域（SECA）の制定について
－MARPOL条約 Annex VIを適用する全船を対象とする
－2024年5月1日にSECAとして制定されるが、適用は2025年5月1日
－燃料油の硫黄分含有量は0.1％未満とし、硫黄分含有量を燃料供給者より発行される燃料油供給簿（BDN）に記載のこと
MEPC.362（79）上述のBDNには引火点、または引火点の温度が70℃以上で測定された旨の記載を含むこと（2024年5月1日適用開始）
MEPC.362（79）IMO船舶燃料油消費データベース（DCS）へ提出すべき情報に、attained EEXI 値、CII値（required CIIおよび attained CII）、CIIのレーティングを追加（2024年5月1日適用開始）
MEPC.359（79）、MEPC.360（79）およびMEPC.362（79）北極圏に港を持つ国が港湾受け入れ施設に関して地域的な取り決めを締結することを認める
MEPC.364（79）2022年新船に関するattained EEDIの計算方法に関するガイドライン（2018年ガイドラインの改正）
－エタンの「低位発熱量」と「CO2換算係数（CF）」を燃料リストへ追加
－軸発電機の効果に関する計算式を修正
－複数の乾舷を持つ船舶に対して、EEDIの計算と検証に夏季満載喫水線に対応する値を使用すべきことを明記
MEPC.365（79）2022年EEDIの検査と認証に関するガイドライン（2014年ガイドラインの改正）：海上公試の実施と評価手法に関するITTCガイドライン改正に合わせて更新
MARPOL条約付属書VIに関する統一解釈の改正
－MARPOL条約付属書VI 22.3規則について：検査日に基づきEEDIデータ報告義務の対象となる船舶を明確化
－MARPOL条約付属書VI 8、26および28規則について：SEEPM Part IIIの作成、認証および適合宣言書の発行に関する事項の明確化
－統一解釈のセクション15：船内で消費されるボイルオフガスのIMO DCSへの報告の明確化
MEPC.368（79）船上焼却炉に関する2014年標準仕様の改正：焼却炉と廃棄物貯蔵区域の防火構造要件を削除

＜承認された内容＞

バラスト水記録簿の様式の変更
バラスト水管理システムにおける測定部品の調整に関する統一解釈
バラスト水管理システムの大規模な改造に伴う試運転テストに関する統一解釈
FAMEを含むISO 8217：2005、2010、 2012、または2017規格に準拠する燃料はペアレントエンジンのNOx排出テストに使用できる
非生物由来の再生可能燃料に属する合成ドロップイン燃料に対してMARPOL付属書VI 第18.3規則の適用を明確にするため統一解釈を改正する

＜その他の協議内容＞

バラスト水の管理
－バラストタンクへの雑排水や下水処理水の一時的貯蔵を認めるものの、その際のバラストタンクの管理についてガイダンス策定を検討
－水質に問題がある港で運航する船舶のためのガイダンス策定を検討
大気汚染対策
－排ガス浄化装置（EGCS）からの排水に対する対応
－北極海域でのブラックカーボン排出規制の内容について小委員会で検討する
－燃料油サプライヤーのライセンススキームの設定については引き続き旗国が任意に対応する
－NOx認証において、30％以下のバイオ燃料を含むブレンド燃料油（B30）は炭化水素燃料油として扱われるべきである
船舶のエネルギー効率
－EEDIへのシャフト出力制限（ShaPoLi）とエンジン出力制限（EPL）の導入について
GHG削減対策
－中期削減対策について：炭素価格設定やGHG課税などの経済的措置と燃料基準や炭素排出量対策における技術的対策から構成される可能性が大きい
－燃料のライフサイクルにおけるGHG排出量に関するガイドライン（LCAガイドライン）での評価の手法について
－EEXIおよびCII計算式への船上での炭素回収による影響の反映について
－IMO DCSへの報告内容の追加
鯨類の保護：北西地中海をPSSA（生態系保護のための特別海域）に指定