学校施設の耐震状況と非構造部材点検の必要性について
学校施設は、通学する子どもたちはもちろん、災害時などには地域住民の方にも広く利用されるため、定期的に耐震状況の調査、耐震対策などが行なわれています。
しかし、まだ耐震対策が進んでいない学校が多く、早急な対策が求められる施設は少なくありません。
本記事では、全国の学校施設の耐震状況や耐震対策の必要性などを解説します。
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学校施設の耐震状況(2023年最新版)
文部科学省は、公立学校施設を対象とした耐震改修状況のフォローアップ調査として以下3つの項目について調査を実施しました。
- 構造体の耐震化状況(非木造/木造)
- 屋内運動場等の吊り天井等の落下防止対策状況
- 屋内運動場等の吊り天井等以外の非構造部材の耐震点検・耐震対策状況
また、2023年8月8日には、2023年4月1日時点での調査結果を公表しています。
残棟数 | 耐震化率 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
| 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
小中学校 | 444棟 | 288棟 | 195棟 | 99.6% | 99.7% | 99.8% |
幼稚園 | 117棟 | 91棟 | 65棟 | 97.1% | 97.7% | 98.3% |
高等学校 | 266棟 | 188棟 | 130棟 | 99.1% | 99.4% | 99.6% |
特別支援学校 | 15棟 | 3棟 | 2棟 | 99.7% | 99.9% | 99.9% |
合計 | 842棟 | 570棟 | 392棟 | 99.5% | 99.6% | 99.7% |
残棟数 | 対策実施率 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
| 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
小中学校 | 164棟 | 145棟 | 118棟 | 99.5% | 99.5% | 99.6% |
幼稚園 | 0棟 | 0棟 | 0棟 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
高等学校 | 144棟 | 84棟 | 40棟 | 98.2% | 99.0% | 99.5% |
特別支援学校 | 3棟 | 2棟 | 2棟 | 99.7% | 99.8% | 99.8% |
合計 | 311棟 | 231棟 | 160棟 | 99.2% | 99.4% | 99.6% |
耐震点検実施率 | 耐震対策実施率 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
| 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
小中学校 | 94.3% | 96.1% | 97.3% | 52.1% | 66.1% | 67.3% |
幼稚園 | 89.2% | 93.1% | 94.3% | 52.0% | 69.5% | 73.6% |
高等学校 | 99.8% | 99.9% | 99.9% | 49.1% | 54.7% | 59.2% |
特別支援学校 | 99.7% | 99.7% | 100.0% | 59.5% | 66.5% | 68.8% |
合計 | 94.5% | 96.3% | 97.3% | 52.0% | 65.3% | 67.2% |
出典:公立学校施設の耐震改修状況フォローアップ調査の結果をお知らせします|文部科学省
上記の表によると、2021年よりも耐震化や落下防止対策は進んでおり、各施設とも100%に近い割合で完了しています。
しかし、屋内運動場等の吊り天井等以外の非構造部材の耐震対策のみ、実施率は60~70%前後となっており、ほかの耐震対策よりも大きく遅れているのが実情です。
早急な耐震対策が望まれる「非構造部材」とは
建物の構造体と非構造部材は、以下のように区別されます。
- 構造体:柱や梁(はり)、床など、建物の構造を支える部分
- 非構造部材:天井材や外壁(外装材)など、構造体とは異なる部材
例えば、天井を美しく見せるために、柱や梁を覆うように仕上材などの非構造部材が取り付けられます。その結果、構造体は仕上材などで見えなくなるので、建物の内外で目にするほとんどのものは、非構造部材に該当します。
また、構造体には被害のない小規模の災害でも、非構造部材には大きな被害が生じる可能性もあります。その結果非構造部材が落下し、転倒やケガなどの人的被害や避難経路の途絶などの二次被害を引き起こすことも懸念されます。そのため、非構造部材の耐震対策は適切に行なわなければいけません。
学校施設のおもな非構造部材
学校施設における非構造部材には、以下のようなものが挙げられます。
画像引用:学校施設の非構造部材の耐震化ガイドブック(改訂版)|文部科学省
上記のように、学校施設における非構造部材は多岐にわたります。天井や窓ガラス、照明器具だけでなく、ピアノや図書室の棚、屋内運動場のバスケットゴールといった設備機器や家具も非構造部材に含まれます。
子どもたちの安全を確保するために、こうした非構造部材の耐震対策に取り組まなければなりません。
学校施設の非構造部材耐震点検の必要性
地震による被害というと、大規模な地震による被害を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、非構造部材による被害は小規模の地震でも発生する可能性があります。
さらに、日本は世界で特に地震が多い国です。いつ大規模地震が起こってもおかしくなく、また、小規模の地震の発生は、決して珍しいものではありません。国の未来を担う子どもたちの命を守るために、学校施設は迅速に非構造部材の耐震点検・対策を行なう必要があります。
また、学校は、災害発生時に地域住民の避難所として利用されます。こうした点からも、学校施設の非構造部材の耐震点検の重要度は非常に高いといえます。
まとめ
学校は子どもたちや地域住民にとって重要な施設であり、その安全性を確保するためには適切な耐震点検が欠かせません。しかし、非構造部材の耐震点検は、ほかの耐震点検よりも進んでいないのが現状です。また、いざ耐震点検を実施しようとしても、何から始めたら良いのかわからず困っている方も少なくないでしょう。
ビューローベリタスでは、経験と知識が豊富な有資格者が各部の検査にあたり、わずかな不具合も欠かさずにご報告します。さらに、学校行事や子どもたちに合わせたスケジュールで点検を行ないますので、不便さを最小限に抑えて実施することが可能です。
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