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カバー画像(工事現場)

Case Study:株式会社大総(ISO14001・ISO45001)

2023-06-06

事業にフィットしたISO14001と45001を取得し、
さらに高みを目指す

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株式会社大総

 株式会社大総(大分県大分市)

 

ISO9001からISO14001への転換

代表取締役 由見真治朗氏

大分市にある大総は、1980年に創業した解体工事と産業廃棄物処理の企業だ。
解体工事では、プラントや橋梁、公共施設など特殊な建造物から昨今問題化している空き家まで、特に幅広い分野の仕事を手掛け、大分県内全域から依頼が寄せられる。

同社が最初にマネジメントシステムを意識したのは約25年前。同社の重要な得意先がISO9001を取得し、それに伴って同社を含む取引先すべてに対して、「認証取得はしなくてもいいが、それに代わる自社ルールの構築をするように」という要請をしたのだ。

「現状では得意先の要求事項を満たすことはできないし、またいずれ認証取得の必要性に迫られるに違いない」と感じた由見社長はISO9001について情報収集を開始した。ところが、間もなく一つの疑問を持つようになった。それは「解体工事・産業廃棄物処理という事業にとって、生い立ちが“製造業の品質管理のための規格”であるISO9001認証を取得することは果たして意味があるのだろうか?」ということだった。

ビルの解体現場

検討の結果、由見社長が出したのは「当社の事業にとってはISO9001よりも環境マネジメントシステムのISO14001のほうがフィットする」という結論だった。
折しも2000年頃から廃棄物関連の法律が大きく変わり始め、今までの解体工事や産業廃棄物処理のやり方では法的なリスクが増えてきたことも、ISO14001取得への決意の一つの要因となった。

ビューローベリタスを認証機関に定めて2000年から取り組みを開始し、2003年10月に大分県内の解体工事業者として初のISO14001 認証を取得した。

同社は、それまで明文化はしてこなかったものの、法令順守には厳しい社風だった。
「取得のために頑張ってマニュアルを作ったという感じはなかったですね。今までしてきたことをそのままテキスト化したら自然にマニュアルになっていました」と由見社長は言う。

 

ISO45001で「使いたくない会社」から脱却

産業廃棄物の破砕、選別を行う約15,000㎡の広内リサイクルセンター

入社後まもなく、元請の建設会社から「おたくの社員は朝礼に参加せずいきなり仕事を始める。それは困る」と指摘を受けた。前職では一級建築士として現場監督を務めていた由見社長は、その指摘から、「自分ならそういう社員がいるような会社は下請けに使いたくないな」と思ったという。
そこで監督の目線で、自社の労働安全衛生のあり方を一つひとつ見直していくことにしたが、それから数年後にOHSASの存在を知った。OHSASの要求事項を確認すると、ここでもまた「これは今までやってきた取り組みだ」と思う局面が多くあった。

たとえば、安全講習会は3か月に一度、安全大会は年に一度実施するほか、毎週水曜日の安全パトロールは、20年余り前から継続している。

「今やっていることをそのまま認証取得につなげることができる」と感じた由見社長は、社員の意識さえ高めればOHSASの取得は難しくないと判断した。

その後、OHSASがISO45001認証に移行するというニュースを知り、「それなら一気にISO45001を取得しよう!」と決断し、2019年11月に認証取得を果たした。

 

名実ともに“いい会社”を目指す

2つのISO認証はどのような効果や意味を持つのだろうか。

「ISO14001については、環境に配慮し社会に認められる企業になるためのよりどころだと考えています。ISO45001については社員の労働安全衛生を守ることはもちろんですが、採用についても重要な役割を果たすと思っています」と由見社長は言う。
人手不足が深刻化する昨今、従業員を大事にし、さらに社会に貢献する会社であることがきちんと提示されていないと人材確保は難しい。そこで同社では4月から週休2日制(土日休み)を導入し、現場の社員に対しても日給制から月給制に切り替えた。

また社会貢献への意欲を表現するために、SDGs宣言書を作成し、4(質の高い教育をみんなに)と7(エネルギーをクリーンにそしてみんなに)と8(働きがいも経済成長も)の3つの項目について言及している。

「これからは名実ともに“いい会社”でないと生き残れません。そのため社員には厳しくなる面もあるでしょうが、それを普通に感じ、厳しくなることを嫌がらない会社にしたい。そして、『ぜひ大総に発注したい』と思われる業界でのポジションを獲得したい」と由見社長は言う。

最近いちばん嬉しかったことは、取引先である鳶足場工事の会社がISO45001を取得したことだそう。こうして仲間と一緒に業界を底上げし、得意先にも従業員にも「なくてはならない会社」になることが、由見社長の目指すところだ。

2023年4月27日取材

 

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