WELL Building Standard評価項目の設定内容 ~水~

WELL Building Standard評価項目の設定内容 ~水~

2022年4月のBV MAGAZINEではWELL認証についてのコンセプトおよび評価項目「Air(空気)」について内容を確認しました。
今回は評価項目「Water(水)」について構成内容を見てみましょう。

目次

評価項目(Feature)は、下記表の必須項目と加点項目から構成されています。評価項目(Feature)のなかには、パートに分けられた要件があります。プロジェクトは、必須パートの全てを満たしたうえで、加点パートを満たして点数を獲得します。

WELL Building Standard評価項目

 

評価項目「Water(水)」のコンセプト

評価項目「Water(水)」では、建物内の液体の水質・分布・制御についての側面を取り扱います。評価項目には、飲料水の可用性および汚染物質の閾値、ならびに建材や環境条件への損傷を回避するための水質管理を目的とした項目が含まれています。
WELLでは、建物使用者への十分かつ迅速な水分補給を可能にすると同時に、水質に対するより優れた意識、メンテナンスおよび管理を通じて、建物内の汚染水ならびに過剰な湿気による健康的なリスクの低減を目指します。

評価項目

Water(水)は8の評価項目から構成されています。

WELL Building Standard評価項目(水)

 

評価設定内容

具体的に「W01:FUNDAMENTAL WATER QUALITY(基本的な水質)」について評価内容を見てみましょう。評価内容は意図・概要・問題点・ソリューション・影響について記載されています。以下にそれぞれの内容を示します。

■意図
人に接触する水に存在する沈殿物および水中バクテリアのレベルを制限します。

■概要
「W01:FUNDAMENTAL WATER QUALITY(基本的な水質)」は、飲用などの目的で建物使用者と接触する可能性のある水として、混濁度、大腸菌の閾値を満たす水の提供および現地での試験を用いた性能の検証をプロジェクトに要求します。

■問題点
ほとんどの都市の給水システムでは、水の完全性と安全性を維持するための、広範な処理システムを使用しています。全大腸菌群と混濁度は、一般的にこれらのシステムの有効性を示す指標として機能すると同時に、その他のより深刻な汚染物質が存在する可能性を示します。
大腸菌は環境中に自然に存在し、一般に無害と見なされていますが、水中の全大腸菌群は、特定の大腸菌であるE.coliなど、より危険な病原体を含んでいる可能性を示します。ろ過について考えうる問題(審美的な懸念を引き起こす可能性を含む)を示すことに加え、高い混濁度は微生物にとっての餌や住処になることもあります。混濁度が高い水は、健康に関する汚染物質の除去を意図した水処理技術の有効性を汚損または低下させる可能性もあります。

■ソリューション
沈殿物フィルタは、浮遊する固体を除去することで、水の混濁度を減少させることができます。これによって水質の外観をベースとした懸念を解決し、処理の後期ステージのための水を準備できます。水の混濁度が低下すると、紫外線による殺菌システムによる大腸菌やその他の微生物の破壊が効率化します。

■影響
指標となる汚染物質を管理することによって、さらなる処理を行うための水を準備し、処理方法が適切に機能していることを実証できます。管理すべき項目では項目ごとの条件が定められています。項目内では条件設定がなされ、すべてのスペースで条件をクリアすることを基本としています。注意すべき項目は以下のとおりです。

  • 「W06:DRINKING WATER PROMOTION(飲料水摂取の促進)」では「住宅を除くすべてのスペース」を条件としており、他の項目と条件設定が異なります。
  • 条件設定をクリアするには閾値を満たすだけでなく、以下必須項目3-a.の記載にあるように、データや数値結果をオンラインで毎年提出することを求める項目もあります。
  • 「W02:WATER CONTAMINANTS(水質汚染物質)」の7項「水質汚染物質のパラメータを監視する」では試験を現地で行うことを条件としています。

必須項目

以下に「W01:FUNDAMENTAL WATER QUALITY(基本的な水質)」の条件を満たす必須項目1~3の内容を記載します。

  1. 沈殿物の閾値を満たす
    すべてのスペース:飲用、手洗い、およびシャワー/入浴の目的でプロジェクトに提供される水が、以下の閾値を満たしている。
    a.混濁度が1.0NTU以下である。
  2. 微生物の閾値を満たす
    すべてのスペース:飲用、手洗い、およびシャワー/入浴の目的でプロジェクトに提供される水が、以下の要件を満たしている。
    a.大腸菌群の合計が0CFU/100mLである(E.coliを含む)。
  3. 基本的な水のパラメータを監視する
    すべてのスペース:飲用、手洗い、およびシャワー/入浴の目的でプロジェクトに提供される水が、以下のいずれかの要件を満たしている。

    a.    この評価項目に記載されている水質汚染物質が最低でも1年に1回監視され、結果がWELL Onlineを通じて毎年提出されている。進行中の監視のサンプリングポイントの数と場所が、性能検証ガイドブックに記載されている要件事項に準拠している。

    b.    地方自治体の水質報告書に記載されているように、この評価項目に記載されている水質汚染物質の閾値レベルがWELL Onlineを通じて毎年提出されている。

    c.    プロジェクトが、評価項目「W05:WATER QUALITY CONSISTENCY(水質の一貫性)」で示される事項の最低1点を達成している

※このポイントはプロジェクトには加算されるが、「W05:WATER QUALITY CONSISTENCY(水質の一貫性)」の中で獲得されたポイントは、このコンセプトで要求される最低2ポイントにはカウントされない。

まとめ

今回、10のコンセプトのうち「Water(水)」について解説しました。残りのコンセプトについては、今後、技術監査事業部のコラムにてご紹介します。ご興味のある方はぜひコラムをお読みください。

技術監査事業部 佐々木 輝


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