Image
工場

ENIQ -the European Network for Inspection Qualification-

現在の日本の原子力プラントの供用期間中検査*では、ASMEを参考にした探傷装置・手順書・検査員を一括して認証するPD(Performance Demonstration)認証制度を採用しています。
それに対しENIQ(the European Network for Inspection Qualification)とは主に欧州で採用されている原子力プラントの供用期間中検査における超音波探傷性能実証制度のことです。
今回はこのENIQの概要についてご紹介します。

*供用期間中検査とは,原子力発電所の運転(供用)開始後に,機器・配管などの健全性を確認するため,機器ごとに検査方法・検査範囲・検査期間を計画的に定めて実施する非破壊検査および漏えい検査等

ENIQの特徴

ENIQでは探傷装置・手順書・検査員を一括して認証するPD認証制度に対し、探傷装置と手順書の技術評価と検査員の技量確認をすることにより、ある特定の部位に対する非破壊検査の探傷性能(主に超音波探傷に用いられる)を実証します。
図1はENIQの資格認定のプロセスの簡易的なフローチャートです。
ENIQはPD認証制度に比べ準備する試験体が少なくてよいため、コストの抑制が可能であるといわれています。しかしながら、手順書や探傷装置について技術的に妥当であるかどうかを過去の文献やシミュレーションソフト、実物を模擬した試験体によるモックアップ試験等で詳細に評価する必要があることから、申請者も審査側も高度な技術力と公正な判断が求められます。
審査側には独立した第三者機関である資格認証機関または、軽水炉構成機器の検査システムに関連する組織から構成される委員会方式の資格認証機関が求められます。

図1 ENIQによる資格認定プロセスフローチャート
 

ENIQによる資格認定プロセスフローチャート

 

ENIQの構成

ENIQでは技術確認(TJ)と試験体による検査員の評価(PA)の2つの方法によって構成されています。

TJとは申請した検査システムの手順書と装置が要求事項に適合することを示す根拠をモックアップ試験等の実験および/または文献等による理論によって提示し、また測定にあたっての重要なパラメータに関する情報の妥当性を確認し申請した検査方法の正当性を示す図書です。
PA(検査員の評価)とはTJで確立されたある特定の部位に応じる代表的な試験体(Worst case defectと呼ばれる実際の検査を行う場合に最も困難なケースを想定した欠陥が入った試験体)で検査員が確実に探傷できる技量があるかを実技で確認する試験です。

実際の認証の際には、申請された検査システムに対して資格認証機関から示される検査システムの内容の見直しについて、資格認証機関と申請者との間で何度もやり取りしながら完成させていくものです。
そのため、認証までには相当な時間がかかります。また、TJ等の作成に関しては経験者によるサポートは必須と考えていただいたほうがよいでしょう。

産業事業本部 小林 秀人

 


【お問い合わせ】
ビューローベリタスジャパン(株) 産業事業本部
横浜 TEL:045-641-4219 FAX:045-641-7992
神戸 TEL:078-322-0232 FAX:078-322-2418
お問い合わせフォーム

【ビューローベリタスのサービス】
産業事業本部 取り扱い業務