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ネットゼロとは?達成するには?

2021-02-15

気候変動は現代の最も喫緊の課題で、政府・市当局・企業は日々“ネットゼロ”を目指しています。炭素排出量を削減すると公約して、環境に対する責任とリーダーシップへの取り組みを表明していますが、実現ははるかに難しく、また、関連する用語が多すぎて、誤解されがちです。

カーボンニュートラルとネットゼロ:違いは何ですか?

ビジネスにおいて気候変動の優先度が上がるにつれ、カーボンニュートラルも重要性が増してきました。カーボンニュートラルとは、まずは、排出量の測定をし、そのうえでできる限りの排出削減をしたのち、回避または相殺する量の排出に対する補償をすることにより、企業・サイト・製品・ブランド、あるいはイベントの二酸化炭素排出量をゼロにするという最終目的を達成することを示しています。
これは、カーボンオフセットクレジットを購入することで達成が可能になります。

対照的に、ネットゼロは、組織全体とそのバリューチェーンを見据えたさらに遠大な目標で、これは、上流のサプライヤーからエンドユーザーまでを通じた間接的な炭素排出量をも削減することを意味します。

ネットゼロ排出量の世界目標に対して公正な配分を、企業がいかに達成できるかは、Race to Zero キャンペーンでのアクションと、Science Based Targets イニシアチブによって公式化されています。残留排出量へのアプローチはまた、長期的にネットゼロ排出量を達成するために必須の地球の大気からの積極的除去はまた異なります。カーボンオフセットは、長期的なカーボンニュートラルを達成するためのいくつかの方法論では許容されますが、ネットゼロへの短期的な移行手段としてのみ使用できるとしています。

ネットゼロをどのように達成しますか?

世界中でネットゼロターゲットを広く採用することは、気候変動対策の重要な要素です。パリ協定は、世界の気温上昇を2℃未満、さらに1.5℃に維持するための努力目標を課しています。一方、研究によると、気候への最悪の影響を回避するには、炭素排出量を2030年までに半減させ、2050年までに正味ゼロに到達させる必要があります。

国のレベルでは、ネットゼロに到達するには、大気中の炭素排出量を削減するとともに、通常どおり企業からの排出量を大幅に削減する必要があります。日本・英国・フランスなど、世界最大の経済圏のいくつかの国は2050年のネットゼロ目標を設定しており、EUはその目標を欧州グリーンディールの中心に据えています。

企業では、ネットゼロの実用的な定義は、企業のバリューチェーン内の活動が炭素排出による気候へ影響をもたらさない状態であるとおおむね合意されています。これは、バリューチェーン全体にわたる排出に対して、科学に基づく1.5℃を目標値として追及することを含み、これは除去困難な残りの排出を帳消しするに見合う量の炭素排出を恒久的に除去するために調整された目標です。

世界規模での変化

パリ協定で概説された時間枠内に、世界がネットゼロを達成するためには、政策・技術・行動様式を全面的に変化させる必要があります。たとえば、2050年までに世界の電力の70~85%を、再生可能エネルギーが負う必要があると想定されています。また、輸送にかかる燃料供給方法を再考し、食糧生産効率を向上させることも重要です。太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーへの投資は、排出物除去および隔離技術の開発と同様に不可欠です。

排出量の削減は、私たちの目標であることはもちろん、航空などゼロ排出量到達が特に難しい分野では、二酸化炭素の除去は依然として必要です。森林の回復や炭素の土壌吸収の促進などの自然へのアプローチから、炭素直接空気回収や貯留などの技術までの解決方法により達成が可能になります。

企業は何を行うべきか

ネットゼロの目標を達成しようとしている企業は、多方向の手段を取る必要があります。事業からの炭素排出量を削減し、企業内とサプライチェーンでの削減を管理し、回避困難な排出を短期的に相殺しなければなりません。これには正確なデータ取得から始まります。排出量を削減するには、まず正確に理解することが必要で、さらに、責任ある企業は、透明性があり、検証されたコミュニケーション方法により、正確で詳細で、且つ客観性のあるデータを確実に報告しなければならないのです。

カーボンニュートラルを超えてネットゼロを達成するには、企業は温室効果ガスに対する考え方を拡大する必要もあります。温室効果ガスプロトコルは、炭素排出量を3つの範囲に分類しています。

炭素排出の3つの範囲

スコープ1:所有・管理するガスボイラー、車両、空調などのオンサイト燃料燃焼等の発生源からの直接排出を対象とします。

スコープ2:組織が購入・使用する電気、熱、冷却、および蒸気からの間接排出を対象としています。

スコープ3:企業のバリューチェーンで発生するその他すべての間接排出が含まれます。追跡と管理が困難ですが、通常、上流のサプライヤー、出張、調達、廃棄物と水、および製品とサービスの使用と最終処分に関連するものをカバーする、企業のすべての排出インベントリーが対象となります。

現在、ほとんどの企業はスコープ1と2のみを考慮していますが、これはスコープ3の排出量を測定するのに多くの利点があります。

サプライチェーン内で排出の多い場所を特定、持続可能性の観点でサプライヤーを評価、エネルギー効率性とコスト削減機会を正確に把握、また排出削減を支援するためにサプライヤーやスタッフとの積極的な連動などが、企業にとって可能になります。小売業者や流通業者と協力して回収プログラムを実施するなど、顧客の行動に影響を与えたり、製品の寿命を延ばしたりする方法を見つけることもできます。

重要なのは、ネットゼロの目標を達成するために、企業は3つの範囲すべてにわたって排出量を理解して削減する義務があるということです。これは、カーボンニュートラルとのもう1つの大きな違いを表しています。カーボンニュートラルは、スコープ1と2が対象で、スコープ3を含めることは推奨されますが、必須ではありません。

ビューローベリタスがお手伝いできること

ビューローベリタスは、気候変動の影響を緩和する、企業の取り組みの監査と検証を提供し、企業をサポートしています。カーボンインベントリ/フットプリントを検証し、ネットゼロ目標に向けた進捗状況を報告します。オフセットと除去プロジェクトの妥当性確認および検証を実施し、カーボンクレジットの正当性を証明します。カーボンニュートラルな事業慣行であるという主張を検証し、さまざまな基準に対する第三者検証と認証を提供することも可能です。

ネットゼロの目標は、公表に始まり実現へ続きます。企業が、その努力を、透明性をもって正確に伝達し、それにより利害関係者の信頼を構築し、気候変動縮小への貢献に対する評価を保つためには、検証という追加の手順の重要性は無視できないでしょう。

注:この記事では、「Carbon」は、京都議定書が最初に導入した温室効果ガスのバスケットを意味します [温室効果ガス(GHG)の京都バスケットには、“二酸化炭素(CO2)”、”メタン(CH4)”、”一酸化二窒素(N2O)”、”ハイドロフルオロカーボン(HFC)”、”パーフルオロカーボン(PFC)”、”六フッ化硫黄(SF6)”、”三フッ化窒素(NF3)”のいずれかまたはすべてを指します]。これらのGHGは通常、大気温暖化を引き起こす相対的可能性の観点から、二酸化炭素換算のトン(略してtCO2e)で集計および測定されます。

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