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特別高圧受電設備とは~法定点検の主な項目と重要性を解説~

オフィスビルや工場など、大量の電力を必要とする施設では、高い電圧を扱うことができる特別高圧受電設備を設置し、必要な電力をまかなっています。特別高圧受電設備で扱う電圧は非常に高く、大きな事故や損失を招くリスクがあります。

そこで、安全な電力の使用を目的として義務付けられているのが、法定点検です。
本記事では、特別高圧とはどのような電圧なのか、法定点検の点検項目、点検を行なわないことで生じるリスクを詳しく解説します。

 

特別高圧とは

電圧の種類は「低圧」「高圧」「特別高圧」の3つで、以下のような特徴があります。

低圧直流:750V以下
交流:600V以下
高圧直流:750V超7,000V以下
交流:600V超7,000V以下
特別高圧直流・交流:7,000V超
受電電圧:20kV以上(電力会社によっては11kV)

この表で示したように、特別高圧は3種類の電圧のなかで最も電圧が高いことが特徴です。

特別高圧は、主にオフィスビルや商業施設、工場、空港など、消費電力が大きい大規模な施設で、多くの電気機器が安定して稼働できるよう特別高圧が使われています。

電圧が高いほど危険性も高まるので、取り扱いには細心の注意が必要です。そのため、特別高圧に対しては専用の鉄塔やケーブルを用いて受変電設備に電力を供給するなど、より高い安全対策が実施されています。

 

特別高圧受電設備の法定点検の主な検査項目

定期的な法定点検義務

特別高圧受電設備を有する施設には、保安規定の作成と定期点検が、電気事業法で義務付けられています。点検には、毎月(または隔月、3カ月ごと)に行なう月次点検と、1年に1回行なう年次点検があります。

点検には第一種電気主任技術者と第二種電気主任技術者免状を所有する、「主任技術者」の選任義務があります。該当する人材がいない場合は、新たに採用するなどして、主任技術者を選任しなければなりません。

参考:e-Gov 法令検索 電気事業法 第二款 自主的な保安

(特別高圧を除く低圧・高圧の受電設備に関しては、一定の要件を満たすことで、保安管理業務外部委託承認制度に基づき、主任技術者を専任せずに、保安業務を外部こ委託することが可能です。

参考:公益社団法人 日本電気技術者協会 保安管理業務外部委託承認制度について)

月次点検の検査項目

毎月(または隔月、3カ月ごと)に実施する主な点検項目は、以下のとおりです。

  • 変圧器点検
  • 遮断器点検
  • ガス絶縁開閉装置点検
  • キュービクル点検
  • 保護継電器試験
  • 直流電源装置
  • シーケンス試験
  • 高圧ケーブル劣化診断

点検項目のなかには、より細かい点検や測定・試験項目があります。
月次点検の結果に問題がない場合も、設備の外観や音、振動などに異変がないか、常に気を配ることが大切です。設備の不具合や老朽化によるトラブルにいち早く気付くことができれば、重大な事故や突然の故障のリスクを回避することができます。

 

特別高圧受電設備の法定点検の必要性と怠った場合のリスク

電気代・コスト上昇

劣化や不具合のある特別高圧受電設備は適切に稼働できないため、受電効率や施設全体の電力効率が低下します。その結果、電力ロスが発生し、稼働時間や状況は変わらず電気代が上昇する可能性があります。大規模な施設ほど効率低下による損失は大きくなります。

設備や装置は年々新しいものが開発され、電力を効率良く利用できるようになっています。点検の不備は、古い設備・装置の交換機会を逃すことにもつながります。

漏電による事故リスク

特別高圧受電設備の故障によって漏電すると、感電事故や火災事故など死者を伴う重大事故が起こるリスクがあります。

停電による経済的損失

停電は、雨水の浸入などさまざまな原因で起こります。法定点検を怠ると停電につながる要因に気付かず、問題のある状況を放置してしまうことになり、停電が起こる可能性が高まります。

特別高圧受電設備を使用する大規模な施設で停電が起こると、営業や製造が止まってしまうため、計り知れない経済的な損失だけでなく、業務に使用するデータの消失、電子機器や装置の故障・不具合の発生など、停電による二次被害が発生するリスクがあります。

停電の波及事故によるその他のリスク

特別高圧受電設備の故障によって停電が起きた場合、電力会社の配電線を通じて、住宅から、工場や病院、交通機関などまで、近隣のさまざまな施設・設備を停電させ、病院で治療ができなくなる、交通機関の乗客が帰宅困難になる、といった事態が起こる可能性や、停電の場所や規模によっては、多額の損害賠償を請求されるリスクがあります。

 

まとめ

特別高圧受電設備は、一般住宅で扱う電圧を大きく超える電圧を扱う設備です。停電や漏電などが起こると、大きな事故へ発展し、膨大な損失が発生します。電気事業法では、こうした事故を未然に防ぐために、特別高圧受電設備を有する事業者に対して法定点検を義務付けていますが、事業者は自主的に設備の保安に努め、安全性を確保しなければいけません。

法定点検には専門知識と技術が必要となるため、一定の要件を満たした事業者は、保安管理業務外部委託承認制度に基づき、特別高圧受電設備の点検の外部委託が可能です。

特別高圧受電設備点検をご検討の際は、ビューローベリタスジャパンにご相談ください。

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