FSSC22000 ver. 6.0の変更概要と移行準備

FSSC22000 ver.6.0の発行

2023年4月1日にFSSC22000財団（Foundation FSSC22000）は、FSSC22000 ver.6.0（Food Safety System Certification 22000 ver.6.0：以下、「V6.0」という）を発行しました。2024年4月1日から2025年3月31日まで移行期間が設けられ、FSSC22000財団はすべてのFSSC認証取得組織がV6.0へのアップグレードを完了することを要求しています。

フードチェーンカテゴリの変更

V6.0のフードチェーンカテゴリの変更点は以下のとおりです。

1. 動物生産（カテゴリA）の削除
2. 作物の加工前の取り扱い（サブカテゴリBⅢ）の追加
3. 畜産・水産一次処理（サブカテゴリC0）の追加
4. ペットフード（サブカテゴリDⅡa, DⅡb）は削除になり、食品製造（サブカテゴリCⅠ～CⅣ）に含まれる
5. 輸送および保管（サブカテゴリGⅠ,GⅡ）はカテゴリGに統合
6. 仲介業／取引／電子商取引（サブカテゴリFⅡ）の追加

審査認証組織に対する要求事項の変更

既存の要求事項に、以下の新しい要求事項の追加や詳細化が行われました。

■既存の要求事項に新たな要求事項を追加：

• 2.5.1 (e) - 原材料の投入にリサイクルされたPackageを使用すること（カテゴリⅠ）
• 2.5.2 (c) - 製品ラベルまたは包装の主張の管理
• 2.5.2 (d) - アートワークマネジメントとプリントコントロール（カテゴリⅠ）
• 2.5.3/2.5.4 – サプライヤーに対する食品防御／食品偽装の要求事項（カテゴリFⅡ）
• 2.5.10 (d) - 輸送用タンカーの洗浄
• 2.5.11 (d) - 異物マネジメント
• 2.5.13 (e) - 継続的な賞味期限検証
• 2.5.13 (f) - RTC（ready-to-cook）製品に対する調理指示の妥当性確認

■詳細化した要求事項：

• 2.5.5 - ロゴの使用
• 2.5.6 - アレルゲン管理
• 2.5.7 - 環境モニタリング

■新しく追加された要求事項：

• 2.5.8 - 食品安全および品質文化
• 2.5.9 - 品質管理
• 2.5.15 - 設備管理（衛生的なデザイン）
• 2.5.16 - 食品ロスおよび廃棄
• 2.5.17 - コミュニケーション要求事項（認証組織がCBに対して）

V6.0への移行スケジュール

• 初回認証審査は2つのパターンで実施される

  1. 2024年4月1日以降、Stage1およびStage2の審査はV6.0で実施
  2. 2024年4月1日以前の審査において、Stage1はV5.1で実施、2024年4月1日以降のStage 2はV6.0で実施
• アップグレード審査は、2024年4月1日以降の定期審査（再認証審査、維持審査）にあわせて実施され、非通知審査の要求事項を満たすために維持審査が非通知で実施される場合は、予定どおり非通知でアップグレード審査が実施される
• ひとつの認証に複数のサイト（本社機能、オフサイト倉庫、オフサイト製造活動など）が含まれる場合、すべてのサイトを同じバージョンで実施する必要がある
• ICT監査アプローチを適用する場合、リモート審査と現地審査を同じバージョンで実施する必要がある
• 定期審査がアップグレード審査の場合、V6.0認証書の有効期限は、V5.1認証書の有効期限が維持される

アップグレードの準備

準備しておくべき内容として、以下のようなものが挙げられます。

• V5.1とV6.0を比較して変更点の内容を理解する
• 組織の担当者に対して要求事項と主要な変更を理解するためのトレーニングを行う
• 変更点に対して未対応部分のギャップを特定し、実施計画を立てる
• 実施計画に沿ってマネジメントシステムを更新し運用する
• 内部監査、マネジメントレビューもV6.0で実施する

アップグレード審査へのスムーズな対応のために、できるだけ早く準備を行うことをお勧めします。

システム認証事業本部　向 洋一