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カバー画像(検査)

ノロウイルス検査について

ノロウイルスとは

ノロウイルスとは、毎年11月頃から翌年の4月にかけて流行する「感染性胃腸炎」の原因となるウイルスです。感染力が非常に強く、微量のウイルスが体内に入っただけで感染してしまうため、保育園・幼稚園や学校、病院、高齢者施設など公共施設での集団感染が多く発生しています。

ノロウイルスの主な感染経路

  • 一次感染:汚染された水や食品(特に牡蠣などの二枚貝)を十分に加熱せずに摂取することで感染
  • 二次感染:手洗いを十分に行っていないノロウイルス感染者が調理を行い、汚染された食品を摂取することで感染

ノロウイルスは一本鎖のRNAウイルスで、大きさは他のウイルスより小さく30~40nmほど、外膜はなく「カプシド」と呼ばれるタンパクの殻で覆われていることが特徴です。
細菌や真菌のように自分の力で増殖することはできず、「エンドサイトーシス」という方法で生物の細胞内に侵入し、脱殻という作用でRNAもしくはDNAのみを宿主の核の中に送り込み、宿主の持つ遺伝子複製能力を利用して自身の遺伝子を複製・増殖しています。

また、ノロウイルスは低温・低湿度を好み、熱に弱いという特徴もあります。ノロウイルスの汚染のおそれがある貝類や野菜などの食材は、85~90℃で90秒以上加熱することが一次感染予防として効果的です。他にも器具の加熱殺菌、手洗い、ノロウイルス感染者が触れたドアノブや手すり、食器などの消毒(消毒用エタノールまたは次亜塩素酸ナトリウム等を使用)はヒトからヒトへの二次感染の予防に効果的です。

 

食品中のノロウイルス検査について

ノロウイルスは海水を大量に体内に取り込む二枚貝(特に牡蠣の中腸腺部分)に多く蓄積することで知られています。ノロウイルスの検査は、牡蠣を解体し中腸腺周りの脂肪部分を取り除くことから始まります。採取した中腸腺をリン酸バッファーで溶解、ポリエチレングリコールと塩化ナトリウムを加えてRNAを含むタンパクを沈殿させます。その後、RNA抽出精製キットを用いてRNAの抽出精製を行います。RNA自体は不安定なため、一旦DNAの形にして、ノロウイルスに特徴的な配列を持つプライマーと呼ばれる短い塩基を用いてPCR反応を行うことでノロウイルスのDNAを増幅させます。そして、このDNA配列に選択的に結合するプローブをDNAに結合させます。プローブには蛍光標識が付いており、リアルタイムPCRという機械を使ってPCR反応と同時に増幅したDNAの測定を行います。ヒトに感染する主要なノロウイルスにはGⅠとGⅡという遺伝子群が存在しますが、各々のプライマーを用いることで別々に検出できます。検査開始から測定まで、7~8時間を要します。

ノロウイルス検査の流れ(牡蠣)

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ノロウイルス検査の流れ(牡蠣)

 

ビューローベリタスエフイーエーシーでは二枚貝だけでなく、一般食品全般についてのノロウイルス検査も行っています。
食品製造施設や公共施設などの食堂の厨房で働く人からノロウイルス感染者が発生すると、製品による大規模食中毒発生の恐れがあることから、製品の安全性確認のためにもご活用ください。

その他、さまざまな理化学分野・微生物分野の食品検査を行なっております。検査に関するお問い合わせ等、お待ちしております。

出典:
近畿大学病院:今さら聞けない「ウイルスと細菌と真菌の違い」第25回 血液学を学ぼう!
厚生労働省:「ノロウイルスに関するQ&A」

 

ビューローベリタスエフイーエーシー株式会社 検査部 微生物検査課 渡部 愛梨

 

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