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カバー画像(食品廃棄)

食品廃棄物マネジメントの最新規格

食品ロスの現状を受け、各国でさまざまな施策が講じられています。これに先立ち、ビューローベリタスは「Bureau Veritas Food Waste Management System(食品廃棄物マネジメントシステムの標準)」を策定、食品製造、小売業の皆さまに高い関心をいただいております。

目次

1. 食品ロスの現状

FAO(Food and Agriculture Organization of the United Nations: 国際連合食糧農業機関)の報告書によると、世界では食料生産量の3分の1に当たる約13億トンの食料が毎年廃棄されています。日本でも1年間に約600万トン(東京ドーム5杯分とほぼ同じ量)以上の食料が廃棄されており、これは国民1人当たり茶碗1杯分のごはんが毎日捨てられている計算になります。

日本での食品ロスの原因は大きく分けて2つあります。

  • 事業系食品ロス:小売店での売れ残りや返品、飲食店での食べ残し、規格外品
  • 家庭系食品ロス:作り過ぎ、食べ残し、未使用で捨ててしまうなど

これらはそれぞれ約半分の比率となっています。開発途上国でも、先進国と同様に食品ロスが発生していますが、これは技術不足で収穫に至らなかった作物や、流通環境・保存設備・加工施設などのインフラが整っていないせいで市場に出回る前に腐ってしまった食材や食品をやむを得ず捨ててしまうことが多いのが理由です。食品ロスを放置すると、大量の食品が無駄になるだけでなく、環境悪化や将来的な人口増加による食料危機にも適切に対応できません。食品ロスの削減は、先進国にとっても途上国にとっても、喫緊の課題となっています。

 

2. 世界の施策

国連や各国政府は、食品ロス削減に向けて具体的な数値目標を掲げ、効果的な方法を探っています。食品ロス、貧困、地球環境の悪化に関して国際的な関心が高まるなか、2015年の国連サミットでは、食料の損失・廃棄の削減などを目標とする「持続可能な開発のための2030年アジェンダ」が採択されました。SDGsのターゲットのひとつに、「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の1人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」という目標(ターゲット12.3)が盛り込まれました。

 

3. 日本の施策

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出典/農林水産省大臣官房統計部「食品循環資源の再生利用等実態調査結果」等を基に、事業系食品ロス発生量を推計(農林水産省)

 出典/農林水産省大臣官房統計部「食品循環資源の再生利用等実態調査結果」等を基に、事業系食品ロス発生量を推計(農林水産省)

農林水産省が中心となって食品リサイクルを推進しています。その内容とは、第一に食品廃棄物の発生抑制をすること、第二段階として発生した廃棄物は再生利用しなければならないとしています。食品廃棄物・食品ロスの発生量については、一定規模以上の事業者に報告を義務付けており、定期報告、再生利用事業者の登録、再生利用事業計画の認定、食品リサイクル推進の取り組みなどもその内容に含まれています。日本では、国は事業系食品ロスを2030年度までに2000年度比で半減するとの目標を立てています。同様に家庭系食品ロスについても2030年度までに半減させる目標を設定しています。

 

4. 国際規格化の流れ

ISOでも民間組織が取り組むべき課題について国際規格化が進められており、TC34/SC20(主管:デンマーク)が発足して議論が重ねられました。これには民間の食品製造業、小売業も数多く参加しています。

ビューローベリタスではこれに先立ち、これまでの経験を生かした独自の基準「Bureau Veritas Food Waste Management System(食品廃棄物マネジメントシステムの標準)」を策定しました。

食品廃棄物マネジメントシステムの標準

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食品廃棄物マネジメントシステムの標準

引用:ビューローベリタス社内資料

上図にあるように、食品廃棄物の定義を設定し、食品ロスの削減計画を作成して、運用、監視のプロセスを経て、結果を情報公開するというPDCA*のサイクルで継続的に食品ロスの削減および再利用を促進していくという構造です。

* PDCA :Plan(計画)、Do(実行)、Check(測定・評価)、Action(対策・改善)

例えば、運用の要求事項には食品ロス削減、再利用のためのプロセス(段取り)が設定されており、まずは発生量の削減、他の用途(動植物への肥料、飼料など)への転換、化学的リサイクル、熱利用などを経て、埋め立て処理が最後の手段となっています。
運用プロセスを規定することにより、現存する技術や手法が漏れなく適用されることを目指しています。

 

5. 食品廃棄物マネジメントシステム監査

ビューローベリタスでは「食品廃棄物マネジメントシステムの標準」にしたがって独自の監査プログラムを開発、サービスを提供しています。監査は、組織の設定した定義や目標に従ってシステムが構築、運用、報告されるまでのPDCAが運用管理されているかに焦点が当てられ、エビデンス(証拠)ベースで行われます。ビューローベリタス発行の認証書は、すべての要求事項が満たされた段階で発行され、広く公開し活用することができます。

ビューローベリタスの「食品廃棄物マネジメントシステムの標準」は、特に食品製造、小売業の皆さまに高い関心をいただいております。ぜひお問い合わせください。

出典:
農林水産省「食品ロスの現状を知る」
環境省「食品ロスポータルサイト」

システム認証事業本部 水城 学

 


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