定期点検

建築設備定期検査の重要性・検査内容 (建築基準法 第12条)

Apr. 12 2021

目次

1.検査の重要性 -日常の快適性・有事の安全-
2.検査概要 -行政庁毎に異なる点に注意-
3.検査内容 -要点・指摘事例-

 

1.検査の重要性-日常の快適性・有事の安全-

建築基準法 第12条に基づく建築設備定期検査は、(換気設備・給排水設備の検査を通じて)建物利用者の快適性・健康を確保し、(非常用の照明装置・排煙設備の検査を通じて)自然災害・火災など有事の際に建物利用者の安全を確保する非常に重要な検査です。

この検査を怠ると健康被害・重大な事故に発展する可能性があります。また法定検査のため、適切な検査実施は所有者・管理者の責任でもあります。「実施はしているが検査者に任せきりで内容までは知らなかった」という声もよく頂きますので、改めて今回詳しくご紹介します。

 

検査項目 内容 目的
換気設備 機械換気設備の作動状況および風量測定など 室内の空気を新鮮に保ち、有害な一酸化炭素等が適切に排出されることを確認
排煙設備 排煙口・排煙機・排煙風道の作動状況および風量測定など 火災時に煙を屋外に排出できることを確認
非常用の照明装置 常用電源が失われた場合に点灯する照明器具の点灯および設置状況、照度測定など 非常時に避難に支障がないように最低限の照度が確保されていることを確認
給排水設備 飲料用配管および排水配管の取り付け状況、貫通部の処理の状況など 衛生的な飲料水の供給、正常な排水が行われることを確認

 

2.検査概要 -行政庁毎に異なる点に注意-

建築基準法では、建築物の所有者・管理者に建築物等の維持保全の義務が規定されています。そこで不特定多数の人が利用する用途・規模の建築物は、資格者に定期に調査・検査させ、特定行政庁に報告することを義務付けています(建築基準法第12条第1項および第3項)。主な内容は「特定建築物」・「建築設備」・「防火設備」・「昇降機等」等があり、このうち建築設備は、特定建築物に付帯する換気設備・排煙設備・非常用の照明装置および給排水設備を対象に、毎年1回資格者が検査を行い、特定行政庁へ報告するものです。

建築設備定期検査の特徴として、国土交通省告示で規定する「調査項目」・「調査方法」・「判断基準」に、特定行政庁で条例や細則等で内容を付加するケースが多く、同じ検査名でも検査の詳細は異なるケースがあります(例:東京都は、東京都建築安全条例の内容(地下道に設ける換気・排煙・非常用の照明設備・非常用の排水設備に関すること等)を付加して独自の基準を設置)。

また、特定行政庁毎の実施判断・検査内容となるため、建築設備 定期検査自体がない行政庁や、一部を検査対象外としている行政庁が多いことが特徴です(例:換気設備の検査を中央管理方式の空調設備に限る場合、非常照明の検査を電源別置形に限る場合)。
検査に際しては、必ず各特定行政庁のウェブサイト・通知をご確認ください。

 

・検査対象

対象設備は、原則全数(*)が検査対象となります。

1. 換気設備(無窓居室・火気使用室等)
2. 排煙設備
3. 非常用の照明装置(内蔵型・別置型)
4. 給水設備及び排水設備(東京都・埼玉県のみ対象)

(*)検査は毎年実施だが、大臣が定める次の検査項目(設置箇所が多い)は、3年の間に全数検査報告することも可能

①換気設備:無窓居室の換気状況評価
②排煙設備:排煙口の風量測定
③給排水設備:雑用水の用途(中水の状況)

 

3.検査内容 -要点・指摘事例-

(1)換気設備

「無窓居室」・「火気使用室」・「居室等」にある機械換気設備が対象です。 これら各室の換気設備の作動状況および風量測定のほか、関係する箇所についても不具合や劣化損傷がないかどうかを検査します。

  • 給気機・排気機の作動状況
  • 給気口・排気口の設置状況、風道の材質等
  • 換気風量の測定(無窓居室・居室等についてはCO2濃度測定で代替可)
  • 中央管理方式の機器の性能(温度、湿度、気流、浮遊粉塵、CO、CO2)
  • 防火ダンパーの設置状況

 

[検査対象となる部屋]

  • 無窓居室:その部屋の床面積の1/20以上の有効開ロ面積を有する窓がない居室
  • 火気使用室:調理室等でコンロ他、火を使用する器具を設けた室。電熱器は対象外
  • 居室等:劇場・映画館・公会堂・集会場等の客席がある室

 

火気使用室

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[指摘事例]

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(2)排煙設備

排煙設備は火災時に煙を屋外に排出する設備で、建築設備の定期検査では、排煙口・排煙機・排煙風道・手動開放装置などから構成される機械排煙設備が対象です。
排煙窓のような自然排煙設備は、特定建築物の定期調査で作動状況を確認します。

  • 排煙機の作動状況・風量の測定
  • 排煙口の設置状況・風量の測定
  • 手動開放装置の設置状況
  • 排煙風道・防火ダンパーの取り付け状況
  • 自家用発電装置の設置状況

 

[排煙設備の種類]

  • 吸引式:120㎥/分以上、かつ、防煙区画面積あたり1㎥/分で煙を屋外に排出する方式
  • 給気式:送風機により室内に給気することで煙を押し出す方式(告示1437号)
  • 加圧式:送風機により付室等を加圧し、圧力差を形成して煙の流入を防ぐ方式

 

自然排煙設備

※感染防止対策のため換気するケースも多く、作動を含め再確認が必要と思われます。ご注意ください。

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排煙機

※作動の際、現地の近隣状況確認、時間帯を含め綿密なスケジュール打ち合わせが必要です。

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[指摘事例]

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(3)非常用の照明装置

常用電源が失われた場合に点灯する照明器具。非常時に、避難に支障がないように最低限の照度が確保されているかどうかを確認します。避難方向を示す「誘導灯」は消防法で定められた設備であり、非常用照明と兼用しているものを除き、検査対象外です。

  • 器具の点灯および設置状況
  • 照度測定 ※白熱灯 1ルクス以上、蛍光灯&LED 2ルクス以上
  • 配線の状況(別置形)
  • 蓄電池設備の状況(別置形)
  • 自家用発電装置の設置・燃料等(別置形)

 

[非常用の照明装置の種類]

  • 電池内蔵形:器具内に蓄電池を内蔵するタイプのもの(電池の良・不良を充電ランプで確認)
  • 電源別置形:電気室等の蓄電池設備又は自家用発電装置から器具へ給電するタイプのもの

 

[予備電源の種類]

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[光源の種類]

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[指摘事例]

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(4)給水設備および排水設備

東京都・埼玉県の場合

受水槽・高置水槽・汚水槽・雑排水槽・合併槽がある場合に検査対象となり、これらがない増圧直結給水方式の場合は対象外です。また、目視で確認できる範囲の検査となるため、隠蔽部分や埋設部分についても対象外です。

  • 飲料用配管および排水配管の取り付け状況、貫通部の処理の状況
  • 給水タンクの設置の状況、保守スペース
  • 通気管、オーバーフロー管の防虫網・水抜き管の間接排水等
  • 給水ポンプの運転・取り付け状況
  • 排水槽、マンホールの設置状況
  • 阻集器の設置状況(厨房・駐車場・美容院等)
  • 排水再利用配管設備(中水の着色通水試験:クロスコネクション確認)

参考:地域によって違いがある定期報告検査内容(建築設備)(BV MAGAZINE 2019年10月号)

 

排水再利用配管設備(中水の着色通水試験)

(東京都・埼玉県の場合)

  • 周期:3年に1回
  • 目的:クロスコネクションによる誤配管の確認
  • 方法:中水槽を着色後、流水により水を引っ張り、中水系統の着色を確認
    上水系統の水を検査し「染まっていない」ことを確認
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※用語等

  • 上水:身体に触れる箇所に使用する水(ウォシュレット、手洗い等)
  • 中水:身体に触れない、雑用途に使用する水(トイレ洗浄用の水等)
  • クロスコネクション:上水の配管設備とその他の配管設備を直接連結させること
  • 着色剤:(特徴)分類「食品添加物」になるため、万が一誤飲したとしても影響はない
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中水試験前の事前確認周知事項等

◎ 検査時間、曜日の調整

【日中】
メリット :テナントが出勤しているので、鍵対応が比較的容易
デメリット:厨房等に入る時間が制限される、トイレ等の使用頻度によって、検査時間に影響がある
【夜間】
メリット :テナント不在の場合が多く、検査が容易
デメリット:施錠箇所の鍵対応(日中に開錠が必要な箇所の打ち合わせ)が必要、検査員の身体的負担が大きい、臨時警備の費用が発生

 

◎ テナントへの対応

  • 検査に伴いトイレの洗浄時等に(中水エリア)青色の水が流れることを、予め周知しておく(着色期間はタンクの容量にもよるが、1~2週間程度)
  • 現実的に確認が難しい箇所については、現地のテナントにヒアリングにて確認する方法も検討

 

 

[指摘事例]

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今回は建築設備 定期検査の検査内容について、ご紹介しました。繰り返しになりますが、行政庁ごとに検査項目が異なる場合がありますので、必ず各行政庁のウェブサイト等をご確認ください。また、自然災害への対策等から自主検査として行うことも注目されています。ぜひこの機会にご検討ください。

 

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インサービス検査事業本部 巨海(コミ) 辰也

 


 

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