CEマーク認証
前号で取り上げたFCCと並んで汎用性の高い認証にCEマークがあります。
CEはフランス語のConformiteé Européenneの略で、製品をEU内で流通(上市)させるために必要な認証がCEマークです。また、CEマーク適合時に作成するENレポートを準備することで、EU以外の多くの国の認証の取得が可能になります。
CEマークは、指令の要求に適合しているという宣言の証しとして、製造業者が自らの責任のもとに表示する自己宣言制度であり、その点が外部機関から認証を供与されるFCCと異なります。
1985年技術的貿易障害の撤廃を目的に採択されたニューアプローチ指令により、それまで欧州各国で異なっていた規格はEN規格に統一され、製品の分野や特性ごとに必須要求事項を規定した指令が定められました。こうした指令の代表的なものとして、「EMC指令」、「低電圧指令」などが挙げられます。製品によっては複数の指令が適用されることがあり、その場合適用される指令全ての要求事項を満たさなければCEマークを付与することが認められません。
RE指令
以前は無線機器と通信端末を対象としたEUの規制にはR&TTE指令(1999/E/EC)がありましたが、2017年6月に失効し、以降は無線機器のみを対象とするRE指令(指令番号2014/53/EU)に移行しました。電話機やルーター、LANインターネットアクセスゲートウェイなど無線機能が内蔵されていない通信端末機器はR&TTE指令やRE指令の適用対象外となり、EMC指令および低電圧指令の対象になりました。一方でR&TTE指令では適用対象外だった放送受信機がRE指令の対象になりました。また使用周波数範囲も、R&TTE指令では対象外だった9kHz以下の機器を含め3000GHz以下の機器はすべてRE指令の対象になりました。
RE指令の対象となる機器は、以下の必須要求事項に適合する必要があります。
1. すべての機器に適用されるもの
- 低電圧指令の安全目標- 第3条.1(a)
- EMC指令の保護要求- 第3条.1(b)
2. 無線機器に適用されるもの- 第3条.2
- 無線通信のために割り当てられたスペクトラムと軌道資源を有効に利用するように作られていること。
3. 特定の種類の機器に適用されることがあるもの- 第3条.3
- 通信網を介して他の装置と強調して動作し、EU全域で所定のタイプのインターフェースに接続できること
- 通信網やその機能に害を与えず、また通信網の資源を誤用せず、サービスの許容できない低下を引き起こさないこと
- ユーザや加入者の個人情報やプライバシーの保護を確かとする防護手段を持つこと
- 詐欺行為の防止のための機能を備えること
- 緊急サービスへのアクセスのための機能を備えること
- 障害をもつユーザによる使用のための機能を備えること
- 無線機器とソフトウエアの組み合わせによって適合性が証明されているソフトウエアのみが無線機器にダウンロードできる機能を備えること
なお、RE指令の場合、適合性評価のモジュールは以下のとおり、条件に合わせて選択できます。
適用される指令の要求事項への適合の根拠を示すものとして少なくとも以下の情報を含む技術文書(TD)を作成し、製品が最後に生産されてから10年間保管する必要があります。
- 製品の一般的な説明
- 概念設計図、およびコンポーネント、サブアセンブリ、回路などの図面類
- 上記の図面類とその製品の動作の理解に必要な情報
- 全面的に、もしくは部分的に適用された整合規格の一覧
- 規格を適用しなかった場合、指令の必須要求事項への適合のために用いた手段の説明
- 設計上の計算、実施した検査の結果など
- 試験報告書
なお、技術文書(TD)には以下のものも含めることが望ましいとされています。
- 仕様書、取扱説明書、設置指示書など
- 安全関連部品の安全性に関する証明書
適合宣言書(DoC)は以下のような情報を含める必要があります。
- 適合を宣言する指令のリスト
- 宣言の対象となる機器の名称、型式、製造番号などの情報
- 整合規格を適用した場合にはそのリスト(規格の参照には版の情報を記載)
- 該当する場合、欧州域内の代理人と名前と住所
- 宣言の日付
- 適切な権限をもつ個人による署名、およびその個人に関する情報
無線モジュールのようなコンポーネントも、EU内で販売する場合にはRE指令への適合が求められます。また適合宣言が正しく行われたCEマーキングをつけたコンポーネントを組み込んだ製品も、最終製品としてCEマークの要求事項に適合する必要があるため、注意が必要です。
ビューローベリタスジャパンの取り組み
ビューローベリタスジャパンではCEマーク取得に関するご相談から、測定、試験レポート作成までワンストップでサポートします。
消費財検査部門 EAW事業部 小倉 富規子
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