電力・ユーティリティ
水素・アンモニアのプロジェクトにおけるビューローベリタスのサービス
2023-09-15
これまでのコラムでは、重要な資産であるガス田・油田の開発や運営において、現地法令や制度および文化を理解しているビューローベリタスのサービスを紹介しました。
<過去のコラム>
石油・ガス業界の海外プロジェクトにおけるサプライチェーンマネジメントサービス
石油・ガス業界の海外プロジェクトにおけるビューローベリタスのサービス
今回は水素・アンモニアに関わるサービスをご紹介します。
ガス田・油田および精製設備は、今後も重要な資産であることは間違いありませんが、地球温暖化が注目されるなかで、水素やアンモニアなど温室効果ガスを発生しないエネルギーへの期待が高まっています。
2022年の世界の水素需要は9,400万トンでした。そのうち96%は化石エネルギーから生産されており、水素1トン当たりで二酸化炭素を10トン以上排出してしまいます。水素に注目が集まっている理由は、太陽光や風力で発電された電力を利用した水電気分解により、クリーンに水素を製造することができるためです。
また、再生可能エネルギーによる発電は量の制御が難しいのですが、水素に変換することで余剰分を貯蔵することもできます。再生可能エネルギー由来の電力を活用した水電気分解により製造された水素およびその派生物としての水素は、持続可能かつ環境にやさしいエネルギーといえます。
世界は2050年の炭素中立へ向けて動いており、中間点の2030年へ向けて現在のパイロットプロジェクトから本格的な大型水素発生設備の建設・運用へと進んでいます。そのなかでは、融資妥当性(Bankability)の証明、制度適合性の証明、環境属性の定量化などが求められます。
このような環境変化のなかでビューローベリタスは、水素社会においてどのように貢献ができるのでしょうか?
エネルギー業界における長年の経験、特にリスクと安全性の管理および品質保証における実績を有するビューローベリタスの最も重要な役割は、水素エネルギー業界に信頼をもたらすことにあると認識しています。その実現のためにできるサービスは、第三者機関として、水素製造アセットや機器の認証、サプライチェーン品質保証、独立した機関としてのテストや計測があり、技術知識提供者としては、オーナーズエンジニアリング、許認可のサポート、リスクと安全の管理などが挙げられます。
これらのなかで、水素・アンモニア認証(自主認証)は、欧州にて実績を積み重ねているサービスです。
では、なぜ認証が求められているのでしょうか?
それは、日本のみならず多くの国で水素に関わる制度の内容が未だ確定されていない状況にあるためです。この状況が事業者と投資家にとっての不確定要因となり、オフテイカーの立場では取引の信頼性が低下し、結果としてプロジェクトの投資決定が遅れる、または能力増強投資が滞る事態となってしまいます。
ビューローベリタスが水素・アンモニア自体や設備の環境属性を評価し、各種規制に適合していることを確認して認証することは、関係者がプロジェクトをさらに進めていくことを促進します。
水素・アンモニア認証においては、設備の設計段階、運用段階において設備のライフサイクル評価、安全、ESGなどへの適合性を評価し認証書を発行します。運用段階に入ると、製造された水素・アンモニアの量を証するラベルを発行します。これらにより、当該プロジェクトが規制に適合しており、環境属性を満たした製造であることが第三者により証されることになり、関係者が水素・アンモニアの製造や取引を積極的に進めていくことを後押しします。
下図は、水素バリューチェーンの簡易図です。海外で水素製造設備が作られ、アンモニアに変換され、輸送・貯蔵を経てエンドユーザーへ供給されます。この流れは、規模の大小はありますが、石油・ガスのプロジェクトに類似します。従って、石油・ガスに関する過去のコラムでご紹介したとおり、お客様が海外で操業する、または既にされている油田・ガス田・プロセス施設のライフサイクルにわたるサービスをビューローベリタスが提供することが可能ということになります。