Image
カバー画像(家)

建築物省エネ法の改正~パブリックコメントの紹介~

2024-04-02

「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」の施行に伴う関係告示の制定・改正について、パブリックコメントを抜粋して紹介します。
詳しくは、e-Govポータルをご確認ください。

 

背景

令和4年6月17日に公布された「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」(令和4年法律第69号。以下「改正法」という。)附則第1条第4号に掲げる規定が、令和6年4月1日に施行されること等を踏まえ、建築基準法における防火規制の合理化に係る事項について、関係告示を制定・改正する必要があります。

 

概要

Ⅰ. 耐火建築物に係る主要構造部規制の合理化関係

Ⅰ-1.主要構造部のうち防火上および避難上支障がない部分を区画する床、壁および建築基準法施行令第109条に規定する防火設備の構造方法を定める件の新設(建築基準法施行令第108 条の3第1号関係)

改正法による法第2条第9号の2の改正により、同号に規定する耐火建築物について、主要構造部のうち防火上および避難上支障がない部分は耐火構造等でなくともよいこととされた。整備政令によって新設された建築基準法施行令(昭和25年政令第338号。以下「令」という。)第108条の3により、当該防火上および避難上支障がない部分は、通常の火災が発生した場合に建築物の他の部分または周囲への延焼を有効に防止できる性能を有する床、壁または防火設備(以下「特定区画」という。)で区画されていること等の基準を満たす部分とされた。
今般、令108条の3第1号の規定に基づき、特定区画の構造方法を次のように定める。

(1)各特定区画に囲まれた部分の床面積※1※2は、100㎡以内とすること。

※1 特定区画内に2階部分がある場合は、2階部分の床面積を含む。今般、令108条の3第1号の規定に基づき、特定区画の構造方法を定める。

※2 スプリンクラー設備等を設けた部分の床面積の1/2は含めない。

(2)特定区画同士が隣接しないこと。

(3)区画方法に応じて、それぞれ次に定める構造方法とすること。

① 中間階に設ける場合

② 屋上または地上に設ける場合(特定区画によって、損傷許容主要構造部である屋根、柱、はりおよび壁を区画する場合)

 

 

Ⅱ. 大規模木造建築物の主要構造部規制の合理化関係

Ⅱ-1.建築基準法第21条第2項に規定する建築物の壁等または防火設備の構造方法を定める件の新設(法第21条第2項関係)

改正法により法第21条第2項が改正され、延べ面積が3,000㎡超の木造建築物(以下「大規模木造建築物」という。)は、壁等を通常の火災時における火熱が当該建築物の周囲に防火上有害な影響を及ぼすことを防止するために必要とされる性能を有するもので、国土交通大臣が定める構造方法とするか、国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならないこととされた。
整備政令により令第109条の7が改正され、大規模木造建築物が満たすべき性能は以下のいずれかに適合するものとされた。

① 建築物の周囲への放射熱(受熱量)の影響が避難上および消火上必要な機能の確保に支 障を及ぼさないものとなるよう、延焼を抑制する構造とすること。

② 特定主要構造部を基準法施行令第109条の5各号のいずれかに掲げる基準に適合するものとすること。

今般、法第21条第2項に基づき大規模木造建築物の構造方法を定める。

Ⅱ-2.避難上および消火上必要な機能の確保に支障を及ぼさない周辺高火熱面積の規模を定める件の新設(令第109条の7第1項第1号関係)
Ⅱ-3.火災による熱量の算出方法を定める件の新設(令第109条の7第2項関係)
Ⅱ-4.人の生命または身体に危険を及ぼす恐れがある熱量を定める件の新設(令第109条の7第2項関係)

上記①に定める構造方法を用いた建築物および法第21条第2項の規定による認定を受けた建築物については、周囲への放射熱量を制限するため、周辺高火熱面積の規模が国土交通大臣の定める規模以下とすることとされているところ、(1)当該周辺高火熱面積の算定基準となる熱量(2)周辺高火熱面積の算出に用いる火災による熱量の算出方法(3)周辺高火熱面積の上限となる規模を定める。

 

Ⅲ. 防火規制における別棟みなし規定の創設関係

Ⅲ-1.壁等の構造方法を定める件の新設(令第109条の8関係)

改正法による法第21条等の改正により、法第21条第1項および第2項、第27条第1項から第3項までならびに第61条第1項の防火規制の適用上別の建築物とみなすことができる部分を、建築物の部分が、火熱遮断壁等(壁、柱、床その他の建築物の部分または第109条に規定する防火設備(以下このⅢ-1において「壁等」という。)のうち、として国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものまたは国土交通大臣の認定を受けたもの)で区画されている場合における当該部分としたところである。

Ⅲ-2.壁等の加熱面以外の面について防火上支障がないものを定める件の新設(令第109条の8第2号関係)

壁等に通常の火災による火熱が火災継続予測時間加えられた場合に、当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)のうち、防火上支障がないものとして遮熱性を求めない面を、以下のとおり定める。

(1)耐力壁である間仕切壁および防火設備により区画する場合または壁、柱およびはり、ならびに防火設備により区画する場合であって、次の①および②に該当するものにより区画する場合壁等に該当する防火設備の面

(2)火災の発生のおそれの少ない室または通行の用にのみ供する部分で、屋根若しくは外壁の全部若しくは一部が帆布その他これに類する材料で造られている建築物の部分(以下「区画室等」という。)を構成する壁等であって、次の①および②に該当するものにより区画する場合壁等に該当する防火設備の面

 

Ⅲ-3.壁等が防火設備である場合の内装の仕上げを不燃材料ですることその他これに準ずる措置等を定める件の新設(令第109条の8第2号関係)

令第109条の8第2号においては、当該壁等が令109条に規定する防火設備である場合において、特定非加熱面(壁等に通常の火災による火熱が火災継続予測時間加えられた場合に、当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)のうち防火上支障がないものとして、Ⅲ-1(1)または(2)に定めるもの以外のものをいう。以下同じ。)が面する室に内装等の措置が講じられている場合において、当該防火設備に求められる遮熱性を緩和し、可燃物燃焼温度を超える温度であって当該措置によって当該室における延焼を防止することができる温度以上に上昇しないものであることを要求している。当該措置の基準および温度を次のように定める。

(1)内装の仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ることその他これに準ずる措置の基準は、特定非加熱面が面する建築物の部分の室内に面する部分(壁等に該当する防火設備の周囲15cm以内の部分に限る。)が以下の①および②に掲げる基準に適合することとする。

① 壁、天井及び床の仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ること。

② 回り縁、窓台その他これらに類する部分を含む場合にあっては、当該部分を不燃材料で造ること。

(2)当該措置によって当該室における延焼を防止することができる温度は、加熱面以外の面の全体について平均した場合の温度が摂氏380度とする。

 

Ⅲ-4. 火熱遮断壁等の一部が損傷してもなお確保される機能を定める件の新設(令第109条の8第4号関係)

壁等に通常の火災による当該壁等以外の建築物の部分の倒壊による生ずる応力が伝えられた場合に、当該建築物の他の部分に防火上有害な変形、亀裂その他の損傷を生じさせないために、当該壁等の一部が損傷してもなお確保される機能は、以下に掲げる機能その他防火上支障がないようにするための機能とする。

  • 当該壁等の一部が損傷してもなおその自立する構造が保持されること。
  • 当該壁等の主要構造部に防火被覆が設けられている場合にあっては、当該防火被覆の劣化および損傷が生じないこと。
Ⅲ-5.通常の火災時において相互に火熱または煙若しくはガスによる防火上有害な影響を及ぼさない構造方法を定める件(平成28年国土交通省告示第695号)の一部改正

避難施設等に関する規定上別の建築物とみなす部分として、要件を満たす部分を追加する。

 

Ⅳ. その他

Ⅳ-1.建築物の定期調査報告における調査および定期点検における点検の項目、方法および結果の判定基準ならびに調査結果表を定める件(平成20年国土交通省告示第282号)等の一部改正

 

Ⅳ-2.建築基準法第21条第1項に規定する建築物の主要構造部の構造方法を定める件(令和元年国交告第193号)等の一部改正

今般の技術的検証により確認された90分間準耐火構造等の長時間の準耐火性能を有する建築物等の仕様を、告示に位置付ける。

 

Ⅳ-3.排煙設備の設置を要しない火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分を定める件(平成12年建設省告示第1436号)等の一部改正

 

Ⅳ-4.建築基準法第27条第1項に規定する特殊建築物の主要構造部の構造方法等を定める件(平成27年国土交通省告示第255号)等の一部改正

スプリンクラー設備等の設置を求める規定について、消火上支障のない場合には当該設置制限を緩和する。自動火災報知設備を設ける規定について、避難上支障のない部分においては感知器の設置を要しない。

 

Ⅳ-5.建築基準法第21条第1項に規定する建築物の主要構造部の構造方法を定める件(令和元年国土交通省告示第193号)等の一部改正

改正法による法第21条等の改正により、長時間の遮炎性を有する防火設備が要求されることとなったことから30分間防火設備、45分間防火設備、75分間防火設備、90分間防火設備について仕様を追加する。

 

Ⅳ-6.耐火性能検証法に関する算出方法等を定める件(平成12年国土交通省告示第1433号)の一部改正

令第108条の4第2項に基づき耐火性能検証法に関する算出方法等を定める件(平成12年国土交通省告示第1433号)に定める耐火性能検証法において、内装用建築材料等の発熱量等の場合に応じた耐火性能要求時間の算出方法を定める。

引用:e-Govポータル 脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係告示の制定・改正について

建築認証事業本部 本多 徹

 

【お問い合わせ】

ビューローベリタスジャパン(株)  建築認証事業本部
最寄りの事務所
ウェブサイト
お問い合わせフォーム

【ビューローベリタスのサービス】

建築物エネルギー消費性能適合性判定(省エネ適合性判定)