食品表示について(一般用加工食品の栄養成分表示概要)
一般消費者に食品を販売する際には、食品表示法の食品表示基準に定められた、食品に関する内容をパッケージに記載する必要があります。
「食品を摂取する際の安全性および一般消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会を確保するため」として「整合性の取れた消費者、事業者双方にとって分かりやすい表示」を行うこととしています。
必要な表示として定められた内容は「品質事項」・「衛生事項」・「保健事項」の3つの事項が盛り込まれています。
参考:東京都保健医療局 食品衛生の窓 食品表示法に関するパンフレット
大切です!食品表示 食品表示法 食品表示基準手引編<統合版> 食品表示法編
表示については大きく「加工食品」「生鮮食品」「食品添加物」に分類し、一般用・業務用、食品の種類等により更に分類して表示基準が決められています。
食品表示基準を参考にビューローベリタスエフイーエーシーにて作成
詳細は消費者庁、地方自治体等が案内していますのでご確認ください。
本記事では、一般加工食品を例に、栄養成分に関する検査・分析を行うことが望ましい部分について説明します。
栄養成分表示が義務化されている成分は、熱量(エネルギー)・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量の5項目となります。これ以外については、推奨されているもの、任意のものがあります。
義務表示 | 熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量に換算したもの) |
推奨表示 | 飽和脂肪酸、食物繊維 |
任意表示 | n-3系脂肪酸、n-6系脂肪酸、コレステロール、糖質、糖類(単糖類またはニ糖類であって、糖アルコールでないものに限る)、ナイアシン、パントテン酸、ピオチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、亜鉛、カリウム、カルシウム、クロム、セレン、鉄、銅、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ヨウ素、リン |
(表示例)
栄養成分表示 1個(100g)当たり | |
熱量 | ●●kcal |
たんぱく質 | ●●g |
脂質 | ●●g |
炭水化物 | ●●g |
食塩相当量 | ●●g |
栄養成分の値については、原材料配合量を基に算出する方法(推定値)での記載が認められていますが、実際の値と乖離がある場合は表示法違反になる場合があるため、実測値の確認を行うことをお勧めします。
許容差の範囲
栄養成分および熱量 | 許容差の範囲 |
熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、糖質、食物繊維、ナトリウム、飽和脂肪酸 など | ±20% |
亜鉛、カリウム、脂溶性ビタミン、鉄 など | +50%~-20% |
ナイアシン、水溶性ビタミン、葉酸 など | +80%~-20% |
また、食品パッケージに「○○成分が豊富」といった強調表現を使用する場合、成分の含有量を記載する必要があります。
栄養強調表示①:栄養成分の補給ができる旨の表示
これらの栄養素を摂ることで健康増進につながると考えられるもの
強調表示の種類 | 高い旨 | 含む旨 | 強化された旨 |
絶対表示 | 相対表示 | ||
表現例 | 高○○ △△豊富 □□たっぷり | ○○含有 △△源 □□入り | ○○30%アップ △△2倍 |
該当する栄養成分等 | たんぱく質、食物繊維、亜鉛、カリウム、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸 |
栄養強調表示②:適切な摂取ができる旨の表示
これらの栄養素を適切に摂ることで健康増進につながると考えられるもの
強調表示の種類 | 含まない旨 | 低い旨 | 低減された旨 |
絶対表示 | 相対表示 | ||
表現例 | 無○○ △△ゼロ ノン□□ | 低○○ △△ひかえめ □□ライト | ○○30%カット △△10gオフ □□ハーフ |
該当する栄養成分等 | 熱量、脂質、飽和脂肪酸、コレステロール、糖類、ナトリウム |
強化または低減された旨を表示する際に、比較している他製品やデータなどがあれば、強調表示と近接した場所に比較対象と栄養成分量が比較対象に比べて強化または低減された量または割合を表示しなければなりません。
(例)自社従来品○○○に比べ●●g増(●●%プラス)
栄養強調表示③:添加していない旨の表示
以下の栄養素を添加していない
強調表示の種類 | 無添加強調表現 |
表現例 | ○○無添加 □□不使用 |
該当する栄養成分等 | 糖類 ナトリウム塩 |
※糖類は単糖類または二糖類であって、糖アルコールでないものに限る
※ナトリウム塩は食塩(塩化ナトリウム)のほか、グルタミン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム等あるが、これに限定されるものではない
栄養機能食品である旨の表示
特定の栄養成分の補給のために利用される食品で、栄養成分の機能を表示するもの。
栄養機能食品は自己認証制度(個別の許可申請を行う必要がない)によって表示をおこなえます。
機能に関する表示を行うことができる成分
脂肪酸(1種類) | n-3系脂肪酸 |
ミネラル類(6種類) | 亜鉛、カリウム、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム |
ビタミン類(13種類) | ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸 |
成分値を表示する場合の留意点
食品により、製品原料の個体間差、季節間差、生産地間差、生産者間差などの変動要因があります。
ばらつき等の性質をあらかじめ踏まえた適切なロット数の製品を選択して分析し、栄養成分表示をおこなうことが望ましいです。
【ばらつき等の自然要員】
- 植物性食品(季節、生育環境、成熟度、土壌や肥料、種の違いなど)
- 動物性食品(季節、生育環境、年齢、飼料、種の違いなど)
【ばらつき等の人為的要因】
- 製造、加工時の加熱調理など
- 輸送と保管(経時変化、温度、保管環境、湿度など)
今回ご紹介した内容は食品表示基準の概要であり、食品の種類等により詳細な規定があるものもあります。
ビューローベリタスエフイーエーシーでは、栄養成分表示が義務化されている成分の分析はもちろん、推奨項目、任意項目の分析についても検査を受託しております。
参考:
消費者庁 食品表示について
東京都保健医療局 食品衛生の窓 食品表示法に関するパンフレット
ビューローベリタスエフイーエーシー株式会社 検査部 栄養成分検査課 大谷 純生
【お問い合わせ】
ビューローベリタスエフイーエーシー(株)
TEL:0120-937-606/0853-73-7820 島根県出雲市斐川町上直江1932番
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