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カバー画像(屋外広告)

東京都の屋外広告物条例~対象となる広告物の基準・条件を解説~

2023-10-03

屋外広告物を掲げる建築物のオーナーや管理担当者の方にとって、広告掲示の細かい基準や条件は気になるところではないでしょうか。
屋外広告物条例の基準(条例の対象となるもの)は地域ごとに異なり、違反すると罰則が科されるケースがあります。

本記事では、屋外広告物の定義を踏まえつつ、東京都やその他の地域における屋外広告物条例の基準について解説します。ぜひ参考にしてください。

 

屋外広告物とは

「屋外広告物」とは、屋外広告物法(昭和24年法律第189号)の第2条第1項で、以下のように定義されています。

  1. 常時または一定の期間継続して
  2. 屋外で
  3. 公衆に表示されるものであつて、
  4. 看板、立看板、はり紙及びはり札並びに広告塔、広告板、建物その他の工作物等に掲出され、又は表示されたもの並びにこれらに類するもの

出典:屋外広告物法|e-Gov法令検索

上記の要件を満たしている場合、表示する内容を問わず屋外広告物という扱いになります。文字はもちろん、写真、イラスト、シンボルマークなどを使った広告も含まれます。

また、2015年に屋外広告物の落下事故が発生したことを機に、全国の地方自治体にて屋外広告物点検の義務化が進んでいます。

ただし、検査対象となる屋外広告物や点検の項目・タイミングは、地方自治体によって異なるため、必ず広告所在地の規定をご確認ください。場合によっては有資格者による点検が必要になる可能性があるため、早めに準備することが大切です。
対象サービス:屋外広告物点検

 

【東京都】屋外広告物条例の基準

屋外広告物には細かい許可基準が設けられており、掲示する場合はこの基準に則って許可を受けたうえで、定期的に申請を更新する必要があります。基準に違反した場合、懲役刑や罰金が科される可能性があるため、あらかじめ内容を把握したうえで対応しなければなりません。

本章では、東京都を例にとって、屋外広告物条例の基準を紹介します。

 

広告塔・広告板

土地に直接設置するもの

建築物の屋上を利用するもの

  • 広告物の上端は地上10m以下
    ※商業地域内に設置する自家用広告のうち、自分の氏名・名称・店名・商標を表示する場合は13m以下

  • 道路上空に突出するものは、道路境界線からの出幅1m以下

  • 広告物の下端は、歩道上では地上3.5m以上(道路境界線から出幅が0.5m以下の場合は2.5m以上)、歩車道の区別のない道路上では4.5m以上    

  • 木造建築物の屋上に設置するものの高さは地盤面から10m以下

  • 鉄筋コンクリート造、鉄骨造などの建築物の屋上に設置する場合、高さは地盤面から設置するまでの高さの2/3以下

  • 地面から広告物の上端までの高さは第1種・第2種準住居地域内では33m以下、それ以外の地域(専用地域は除く)では52m以下
    ※地盤面から広告物の上端が10m以下のものは除く

  • 建築物の直接垂直面から突出して設置しない

 

建築物の壁面を利用するもの

  • 地盤面から広告物の上端までの高さは、第1種・第2種・準住居地域内では33m以下

  • それ以外の地域(専用地域は除く)では52m以下

  • 壁面の外郭線から突出して表示しない

  • 窓、開口部をふさいで表示しない
    ※広告幕は除く

  • 表示面積の合計は当該壁面面積の3/10以下

  • 広告物一面の表示面積は、商業地域では100平方メートル以下、商業地域以外では50平方メートル以下
    ※広告物の表示期間が7日以内のものは除外

  • 建築物の一壁面に内容が同じ広告物を表示する場合、広告物の間隔を5m以上あける

 

建築物から突出する形式のもの

【東京都・許可基準図】

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東京都・許可基準図

 

  •  地盤面から広告物の上端までの高さは、第1種・第2種・準住居地域内では33m以下、それ以外の地域では52m以下

  • 道路境界線からの出幅は1m以下、当該建築物からの出幅は1.5m以下

  • 広告物の下端は歩道上では地上3.5m以上
    ※道路境界線から出幅が0.5m以下の場合は2.5m以上、歩車道の区別のない道路上では4.5m以上

  • 広告物の上端が広告物を表示する壁面の上端を越えない

  • 広告物などの構造体は鉄板などで被覆して露出させない

 

道路沿い、鉄道沿線、軌道沿線に設置するもの

  • 距離や間隔・高さ・面積・表示方法に規制あり

  • 道路沿いの広告物にも別基準・規格あり

※詳細は都・区・市・建築指導事務所の広告担当に問い合わせ

 

 

電車、自動車の外面を利用する広告物

宣伝車の外面を利用する広告物

乗用車、貨物自動車の外面を利用する広告物

  • 消防自動車や救急自動車と紛らわしい色を使用しない

  • 乗用車や貨物自動車の所有者、または管理者が氏名・名称・店名・商標・事業・営業内容を表示する

  • 非営利目的であることを表示する

※バス・電車の外面を利用する広告物にも規制あり。詳細は都・区・多摩建築指導事務所の広告担当に問い合わせ

 

なお、屋外広告物のタイプにより、1カ月以内~2年以内の許可期間および許可申請手数料が定められています。例えば、小型広告板の場合は、1枚につき400円・許可期間は1年以内となっています。

また、以下のように禁止区域も定められています。

  • 第1種・第2種低層住居専用区域、第1種・第2種中高層住居専用区域、緑地保全地区、美観地区、風致地区
  • 保安林、自然公園の特別区域
  • 国、公共団体が管理する公園、緑地運動場、動物園、植物園、河川、堤防敷地、橋台敷地
  • 墓地、火葬場、葬儀場、社寺、教会
  • 官公署、学校、図書館、美術館、病院、公会堂の建造物とその敷地
  • 道路、鉄道及び軌道の路線用地およびそれらに接続する地域で、知事の定める範囲内にある地域
  • その他、知事が指定する地域(東京国際空港用地、新宿副都心地区)

詳細は以下のウェブサイトなどでご確認ください。

出典:東京都屋外広告物条例(公益社団法人 東京屋外広告協会)
参考:東京都屋外広告物条例(東京都都市整備局)
関連記事:屋外広告物の安全点検義務とは?検査項目や実施周期などについて詳しく解説

 

その他の地域の屋外広告物条例の基準

ここまで東京都の例を紹介しましたが、屋外広告物条例の基準は地域によって大きく異なります。そのため、広告所在地のウェブサイトや資料などを確認したうえで、その条例に則って許可の申請・更新をする必要があります。

また、同じ都道府県内であっても、すべての地域で条例の内容が同じとは限りません。特に政令指定都市などは独自の条例を定めている場合が多いため、ご注意ください。

関東(東京都以外)における各県の基準については、以下のウェブサイトでご確認ください。

  • 神奈川県の詳細はこちら
    ※横浜市・川崎市・相模原市・鎌倉市などでは、それぞれの市の屋外広告物条例が適用されます。
  • 埼玉県の詳細はこちら
    ※さいたま市・川越市・川口市・越谷市などでは、各市が独自に定めている屋外広告物条例が適用されます。
  • 千葉県の詳細はこちら
    ※千葉市・船橋市・柏市・流山市については、独自の条例が適用されます。
  • 群馬県の詳細はこちら
    ※前橋市・高崎市・下仁田町・川場村などでは、各市町村の条例が適用されます。
  • 栃木県の詳細はこちら
    ※宇都宮市・日光市・那須塩原市・那須町では、独自の条例が適用されます。
  • 茨城県の詳細はこちら
    ※水戸市・土浦市・つくば市・守谷市では、独自の屋外広告物条例が制定されています。

 

まとめ

屋外広告物の定義は法律によって明確に定められているため、自分が管理している広告物が当てはまるかを慎重に確認したいところです。一定の要件を満たしている場合、表示する内容を問わず、屋外広告物に該当します。

また、屋外広告物条例の基準や検査対象、点検のタイミングなどは地域によって異なる点にも注意が必要です。基準に違反していた場合、懲役や罰金が科される可能性もあるので、ウェブサイトなどで必ずご確認ください。

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