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電気主任技術者の人手不足の現状について

2023-08-01

電気設備の保安監督業務を担う「電気主任技術者」は、電気事業法上おかなければならない、建物の電気設備安全性確保のための責任者です。しかし近年、電気主任技術者の人材不足が課題となっており、今後はさらに人材不足が加速すると予想されています。

ではなぜ、電気主任技術者は不足しているのでしょうか。

本記事では、電気主任技術者が不足している背景に注目し、現状と、人材不足の原因について解説します。記事の最後では、人材が不足しているなかで、より良い点検業者を選ぶ方法についても解説していますので、電気設備を有する建物の管理者の方は、ぜひご一読ください。

 

電気主任技術者とは

電気主任技術者とは、電気事業法に基づく国家資格です。ビルや工場、病院、発電所、変電所など、あらゆる施設の電気設備の保安監督業務を行なう際には、電気主任技術者の資格が必要になります。

電気主任技術者は、取り扱い可能な事業用電気工作物の電圧によって、「第一種」「第二種」「第三種」の三段階の資格に分けられ、それぞれ「電験一種」「電験二種」「電験三種」と呼ばれます。

 

第一種:
すべての事業用電気工作物を取り扱い可能

第二種:
電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物のみ取り扱い可能

第三種:
電圧5万ボルト未満かつ出力5,000kW未満の事業用電気工作物のみ取り扱い可能

 

電気主任技術者と似ている資格に「電気工事士」があります。電気工事士が電気工事を担当する一方、電気主任技術者は、電気設備の保守・点検などの保安監督業務を担当する資格です。電気工事士は、電気主任技術者の指示に従う立場だといえるでしょう。

関連記事:電気保安点検(自家用電気工作物法定点検)

 

電気主任技術者の人手不足が深刻化

前述のとおり、近年電気保安点検を担う電気主任技術者の人材不足が深刻化しています。第3種電気主任技術者を例に、人材不足の現状と今後の予測を見ていきましょう。

第3種電気主任技術者は、おもに小規模な発電設備を監督しており、その多くが外部委託承認制度に基づいて選任された外部委託従者にあたります。外部委託従事者を年齢別に見てみると、60代以上が半数以上を占めており、資格保有者の高齢化が進んでいることがうかがえます。
また、第3種電気主任技術者の新規免状取得者数は毎年4,000人ほど存在していますが、近年は資格保持者の高齢化により退職者数も多く、入職者数と退職者数は毎年おおむね均衡しています。

一方で、エネルギー基本計画に基づいた経済産業省の試算によると、第3種電気主任技術者による監督を必要とする再生可能エネルギー設備は、今後、毎年約2,000件のペースで増加する見込みとされています。
このように、増えていく需要と減りつつある人材により、第3種電気主任技術者は深刻な人材不足になると予想されているのです。

なお、第1種電気主任技術者は、業務が限定的で求められる人数が少ないことから人材不足の懸念は少ないとされています。一方で第2種電気主任技術者は、新規免状取得者数が増加しているものの、第3種電気主任技術者同様に今後の需要拡大により人材が不足すると予想されています。したがって、電気主任技術者は特に第2種と第3種において今後人材が不足し、電気保安点検業務に支障が出るおそれがあるといえるでしょう。

参考:電気保安人材の現状分析と取組の方向性について『第3種電気主任技術者の現状(今後の影響)』|経済産業省

 

電気主任技術者が不足している原因

そもそも、電気主任技術者はなぜ不足しているのでしょうか。その理由を4つのポイントに分けて解説します。

◇資格取得の難易度が高い

電気主任技術者は難関資格であり、合格には綿密な計画と長期間の学習が必要です。最も簡単とされる第3種電気主任技術者試験であっても、合格率は10%前後にとどまっています。建物の保安にかかわる資格であるため、電気主任技術者の資格試験が難しいのは当然です。生半可な対策では合格できないほどの難関資格であるゆえに、資格取得者が増えず、人材不足が深刻化しているともいえます。

また、資格試験に合格したとしても、保安業務従事者(電気工作物の保安・点検業務を行なう者)として働くには、一定の実務経験が必要です。これまで、必要な実務経験年数は、第3種で5年、第2種で4年、第1種で3年となっていましたが、近年は要件が緩和されました。「保安管理業務講習」を受講することで、第3種で3年(2年短縮)、第2種で3年(1年短縮)まで必要実務経験年数が短縮されています。
資格取得後に保安業務従事者になりたい場合は、実務経験が求められる点も、資格取得者が減少している要因の一つといえるでしょう。

 

◇資格の知名度、仕事の人気度が低い

資格の取得難易度が高い割に知名度が低いという点も、人材不足の要因の一つと考えられます。実際に、電気主任技術者の資格を認知したきっかけの大半が、「親族などに電気主任技術者がいたから」であるとされています。

また、「電験は資格取得の労力の割に評価されない」「資格取得のメリットが少ない」「責任の大きさと収入が比例しない」などといわれることも多く、仕事自体の人気度の低さが、人材不足に拍車をかけています。

 

◇保安点検が必要な電気設備が増加している

保安点検の必要な電気設備がなくなることはなく、電気施設は今後も増加が見込まれています。老朽化したビルの建て替えなどにともない、特に業務ビル(高圧)の需要が増加しており、資格取得者数に対して仕事量が増え続けているのです。また、近年の再生エネルギー発電設備の普及も、電気設備の増加に大きく影響を与えています。

電気事業法によって、電気保安点検の対象となる設備の使用者や所有者は、保安業務担当者に依頼して定期的に点検を実施しなければなりません。このまま電気主任技術者数が減少していけば、事業者が点検業者確保に悩む可能性もあります。

参考:電気保安体制を巡る現状と課題『自家用電気工作物(需要設備)数の増加』|経済産業省

 

◇資格保有者の高齢化が進んでいる

電気主任技術者の資格保有者は高齢化してきており、免状取得者の約6割が50歳以上、約4割が60歳以上となっています。資格保有者における高齢者の割合が多い原因は、セカンドキャリアとして電気主任技術者を選択する方が比較的多いためと考えられます。

将来的に、電気主任者の需給ギャップはさらに拡大する見込みであり、若手人材の確保が電気保安業界の課題といえるでしょう。

参考:電気保安体制を巡る現状と課題『将来的な保安人材不足の可能性』|経済産業省

 

電気主任技術者の人手不足が深刻だからこそ、信頼できる検査会社選びが重要

近年、どこの検査会社でも電気主任技術者が不足しており、電気保安点検に必要十分な人的リソースを確保できない会社も少なくありません。点検業者が限られているからこそ、安心して点検を任せられる点検業者選びが重要です。

ビューローベリタスジャパンでは、日本全国に検査員を配置し、年間12,000件(2022年1月~12月実績)もの豊富な検査実績を誇ります。そのきめ細かいネットワークにより、建物の使用の状況に応じて、柔軟なスケジュール調整にも対応可能です。

高度な専門知識を有した資格者が、日本全国どこへでもうかがいますので、電気保安点検でお困りの方は、ぜひビューローベリタスジャパンへお気軽にお問い合わせください。ビューローベリタスジャパンの電気保安点検の費用についてはこちらのページで確認できます。また、お見積もり依頼は見積もり依頼フォームから可能です。

 

まとめ

各業界で労働者不足が問題となるなか、電気設備の安全性を担う電気主任技術者も不足しつつあります。昨今の電気設備需要の増加や、資格取得希望者の減少など、さまざまな要因により電気主任技術者不足は今後加速すると予想されており、点検を依頼する事業者も点検業者探しに苦労する可能性があります。

電気設備を所有または管理している方は、電気設備を安全に保つためにも、保安点検をとりまく情勢を理解し、確実に点検を実施できるよう準備しておくことが大切です。

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