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2.4GHZ帯を使用する無線設備認証に係る北米・欧州規格での試験データの受け入れについて

無線LANやBluetooth®は、PCや家電機器に搭載されるなど広く普及し、今後も利用が一層拡大することが予想されています。また、無線機器の流通がグローバル化していることなどを背景に、登録証明機関(特定無線設備について、電波法に定める技術基準に適合しているか否かの判定を行う総務大臣の登録を受けた者。ビューローベリタスジャパンもその一員)における無線LAN等の欧米基準の試験データの活用に関する要望が顕在化しています。

これらの状況を踏まえ、無線LAN等の欧米基準試験データの活用の在り方を具体的に検討することを目的として「無線LAN等の欧米基準試験データの活用の在り方に関する検討会」が総務省の情報通信審議会(総務省組織令第121条)情報通信技術分科会 陸上無線通信委員会 5.2GHz帯及び6GHz帯無線LAN作業班にて開催されました。
ここでいう欧米基準試験データとは、欧州または米国の技術基準・試験方法に基づいた試験結果を取りまとめた試験レポートおよび付属文書に記載の試験機器情報、試験結果、測定条件、測定データ等を指し、具体的には欧州:REDのHSであるEN 300 328 V2.2.2 や米国:FCC規則 Part15 Subpart C §15.247等が対象となります。

 

主な検討事項

  • 日欧米における無線LAN等の認証に必要な技術的条件、試験項目、測定法等の比較検討
  • 欧米基準の無線試験データ活用等による日本の試験項目や測定法の見直しの方向性
  • その他上記の検討事項に関連する事項

 

2.4GHZ帯無線LAN等の欧米基準試験データ活用ガイドライン

上記検討会の報告書内容を受け、登録証明機関協議会において、令和5年6月30日に、「現行規定活用版 2.4GHz帯無線LAN等の欧米基準試験データ活用ガイドライン」が作成されました。
総務省では、令和5年3月に「無線LAN等の欧米基準試験データの活用の在り方に関する検討会」を開催し、報告書が取りまとめられました。

本報告書においては、2.4GHz帯無線LAN等の欧米基準試験データを受け入れるにあたり、登録証明機関ごとの差異が生じないよう、登録証明機関協議会等の場も活用しながらガイドラインを作成することが望ましいとされました。

※登録証明機関協議会は、登録証明機関の十分な連絡を通じて、特定無線設備の技術基準適合証明における機器認証および工事設計の認証業務の円滑な運営を図り、電波利用秩序の維持とユーザーの利便を確保することを目的に設立された団体です。

 

ガイドラインの目的

本ガイドラインは、2.4GHz帯無線LAN等の各特性試験の項目に係る欧米基準等試験データの受け入れ可否について、検討会・アドホックグループにおける議論および資料をもとに、次の2点を目的として、登録証明機関ごとの差異が生じないよう、統一見解を示すものとされています。

  1. 現行規定の下、欧米基準試験データの受け入れが可能な項目について、告示で示す方法と同等以上の試験方法により試験が実施されたことを確認するために必要な欧米基準試験データの記載項目・条件を明確化する。
  2. 現行規定の下、民間認証向け試験データの活用が可能な項目について、告示で示す方法と同等以上の試験方法により試験が実施されたことを確認するために必要な民間認証向け試験データの記載項目・条件を明確化する。

 

欧米基準等試験データの活用

以下の図に示すように、「試験データ活用」と認められた項目ごとに、さらに条件を満たした場合において「活用可能」とされました。

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図1

 

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図2

 出典:総務省ウェブサイト「総務省電波利用ホームページ」 現行規定活用版2.4GHz帯無線LAN等の欧米基準試験データ活用ガイドライン(令和5年6月30日)

 

以下が当該項目ごとの条件になります。

■2.4GHz帯無線LAN/Bluetooth Low Energyの占有周波数帯幅(①)

<欧州向けデータ活用にあたっての条件>

以下の条件全てを満たすこと。

条件1:

最小周波数チャネルの占有周波数帯幅の測定データが試験レポートに記載があること。

条件2:

最大周波数チャネルの占有周波数帯幅の測定データが試験レポートに記載があること。

 

<米国向けデータ活用にあたっての条件>

以下の条件を満たすこと。

条件:

ANSI C63.10 6.9.3 に規定される測定法による占有周波数帯幅の測定データが示されていること。

 

■2.4GHz帯無線LANの空中線電力の偏差の上限(②)

<欧州向けデータ活用にあたっての条件>

以下の条件を満たすこと。

条件:

EN300 328 V2.2.2で示すOption 1の試験方法によるものであること。

<北米向けデータ活用にあたっての条件>

以下の条件全てを満たすこと。

条件1:

得られた測定値dBm/*kHzを日本の技術基準の単位(※)に換算できること。
※日本の空中線電力の基準値:
WLAN11b/WLAN11b以外 占有周波数帯幅が26MHz以下:10mW/MHz以下
WLAN11b 以外 占有周波数帯幅が 40MHz 以下:5mW/MHz 以下
日本の空中線電力の偏差の上限値:定格値に対して+20%

条件2:

Maximum Power Spectral Densityの試験方法が、PKPSDによるものであることが示されていること。

 

■2.4GHz帯Bluetooth Low Energyの空中線電力の偏差の上限(③)

<欧州向けデータの活用にあたっての条件>

欧州向け基準を満たしている限りにおいて、条件なし。

<米国向けデータの活用にあたっての条件>

以下の条件1、または、条件2aと2bの両方を満たすこと。

条件1:

試験手順がANSI C63.10 11.9のMethod AVGPMによるものであることが示されていること。

条件2a:

得られた測定値dBmをmWに換算した際、日本の基準値(※)を満たしていること。
※日本の空中線電力の基準値:10mW 以下
日本の空中線電力の偏差の上限値:定格値に対して+20%

条件2b:

試験手順がANSI C63.10 11.9のMethod PKPM1によるものであることが示されていること。

 

■2.4GHz帯Bluetooth(BDR/EDR)の占有周波数帯幅(④)

<欧州向けデータの活用にあたっての条件>

以下の条件全てを満たすこと。

条件1:

最小周波数チャネルの占有周波数帯幅の測定データが試験レポートに記載があること。

条件2:

最大周波数チャネルの占有周波数帯幅の測定データが試験レポートに記載があること。

<米国向けデータの活用にあたっての条件>

米国向けデータの活用は困難との結論

 

■2.4GHz帯Bluetooth(BDR/EDR)の空中線電力の偏差の上限(⑤)

<欧州向けデータの活用にあたっての条件>

以下の条件全てを満たすことが必要。

条件1:

ホッピング周波数の出現確率が均一であること(ブラックリストに登録されたチャネルがないこと)が確認できること。

条件2:

拡散帯域幅の測定値が確認できること(※)。
※拡散帯域幅の測定値が別途必要となる。


<米国向けデータの活用にあたっての条件>

米国向けデータの活用は困難との結論

 

■2.4GHz帯Bluetooth(BDR/EDR)の周波数の偏差(⑥)

<Bluetooth SIG認証向けデータの活用にあたっての条件>

Bluetooth SIG認証の基準を満たしている限りにおいて、条件なし。

 

■2.4GHz帯無線LAN、Bluetooth Low Energyおよび Bluetooth(BDR/EDR)の混信防止機能(⑦)

<Wi-Fi Alliance認証またはBluetooth SIG認証向けデータの活用にあたっての条件>

Wi-Fi Alliance認証またはBluetooth SIG認証の基準を満たしている限りにおいて、条件なし。

 

■2.4GHz帯Bluetooth(BDR/EDR)のホッピング周波数滞留時間(⑧)

<Bluetooth SIG認証向けデータの活用にあたっての条件>

Bluetooth SIG認証の基準を満たしている限りにおいて、条件なし。

 

欧州・米国における技術基準および試験方法

検討会およびアドホックグループでの検討にあたり、比較対象とした欧州・米国における技術基準および試験方法は以下とされています。

欧州:無線機器指令の整合規格 EN 300 328 V2.2.2
米国:FCC規則 Part15 Subpart C § 15.247、ANSI C63.10-2013
関連するKDB文書
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