安定同位体分析《安定同位体⽐測定の概要》
安定同位体比を確認することで、一部食品の産地推定、蜂蜜・果汁の異性化糖添加判別、アルコールが合成か発酵かなどを判別することができます。今回は安定同位体とはどのようなものか、安定同位体比測定の概要について説明します。
同位体とは
原子核内の「陽子数(原子番号)は同じ」で、「中性子の数が異なる」原子核を指します。このため、同位体は、全体の重さ(質量数)が異なります。
安定同位体とは
同位体には放射線を放出する放射性同位体(Radioisotope)と放射線を出さない安定同位体(Stable Isotope)の2種類が存在します。
放射性同位体は不安定で、より安定しようと原子核が崩壊や分裂をし、その時に放射線を発するもので、被ばくなどの問題になったり、放射線治療に使われたりします。
安定同位体は自然界で一定の割合をもって存在しています。
例えば、炭素の場合は12Cと13Cが安定同位体、14Cは放射性同位体です。その比率は12Cが約98.9%、13Cが約1.1%、14Cはごく微量しか存在しません。
安定同位体比の測定(炭素同位体比の場合)
試料を元素分析計(EA)にて燃焼させ、二酸化炭素CO2にします。
炭素は12Cと13C、酸素は16O、17Oおよび18Oがあるため、その組み合わせにより、
m/z 44:12C+16O+16O
m/z 45:12C+16O+17O、13C+16O+16Oなど
m/z 46:12C+18O+18O、12C+17O+17O、13C+16O+17Oなど
と質量に差ができます。これを安定同位体比質量分析計(IRMS)で検出し、解析ソフトで存在比を算出します。
図1 安定同位体分析機器
[お願い]
※安定同位体検査は横浜分析センターにて実施しているため、検体の送付は横浜分析センターへお願いいたします。
※測定にはキャリアガスとしてヘリウムを使用しますが、2022年からヘリウムガスの供給が極めて少なくなっています。現在、月2回程度にまとめて測定をしていますので、納期はご依頼の際にご相談ください。
参照:
環境省 放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(平成28年度版)
佐藤里穂, 鈴木彌生子:Res.Org. Geochem. 26, 21-29(2010),元素分析/同位体比質量分析計(EA/IRMS)を用いた炭素・窒素安定同位体比の測定方法とその応用
FLASH2000 - CONFLO IV - DELTA V ADVANTAGE安定同位体比測定用簡易操作マニュアル
ビューローベリタスエフイーエーシー株式会社 横浜分析センター
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ビューローベリタスエフイーエーシー(株) 食品検査事業部 横浜分析センター
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