スマートフォンがさらに快適に使える新しい技術が広まりつつあり、Wi-Fi 6Eという規格について耳にしたことがある方もいるかと思います。
Wi-Fi 6EはWi-Fi 6の拡張バージョンで、無線通信の性能と帯域幅を向上させるためにWFA(Wi-Fi Alliance)により開発された最新規格です。

 

WFAとWi-Fi

Wi-Fi(無線LANといわれることもある)は、高速無線通信技術の一つです。
WFAはWi-Fiの普及と相互接続性の向上を促進するために設立されました。WFAは世界中の企業や組織が参加する非営利団体で、Wi-Fi製品認証プログラムを管理し、Wi-Fiの標準化、試験、認証に関する業界全体の取り組みをサポートしています。

WFAでは、私たちの暮らしをより豊かなものにするために、このWi-Fiを使った無線通信技術を広めるための活動(マーケティングや技術仕様策定など)をサポートしています。スマートフォンやノートPC等の製品にWi-Fiのロゴマークがついているのを見かけますが、このロゴマークはWFAの認証試験をパスし、WFAに認証登録された製品にだけ使用を許可されています。
このような背景があり、同じ無線通信技術を使っている製品でもWFA認証を取得していない製品は、「Wi-Fi」とは取扱説明書に明記できないため、「無線LAN」など別の表記をしています。

 

新周波数帯6GHz

昨今、携帯電話は3Gから4G、そして5Gへと高速通信を実現していますが、Wi-FiもWi-Fi 4からWi-Fi 5、Wi-Fi 6、そして最近発表されたのがWi-Fi 6Eという規格です。以前、WFAではIEEE規格の無線通信規格、802.11a/b/g/n/ac/ax…をWi-Fi規格名として使用していましたが、802.11axがリリースされたときから、Wi-Fi 6と表記を変え、802.11nとacにさかのぼって、Wi-Fi 4とWi-Fi 5と表記するようになりました。

最新規格のWi-Fi 6Eの「E」はWi-Fi 6からのExtensionを意味しており、20年ぶりとなる新周波数帯の6GHz帯を加えました。実はBluetooth SIGもこの6GHz帯への進出を検討しているようですが、この6GHz帯の使用をめぐって携帯業界団体や各国から注目されています。

 

6GHzが注目されている理由

  • 国際的に見て、広帯域が使用可能
  • 無線特性はすでに各国で使用されている5GHz帯に近いため、使用用途や設置も5GHz帯を参照可能

またWi-Fiについて既存の2つの周波数帯は、以下の理由により将来的なトラフィック増加への対応が難しい状況にあります。

  • 2.4GHz帯:帯域が狭く他にも多くの無線技術で使用されている
  • 5GHz帯:気象衛星等、別用途での使用制限がある

Wi-Fi 6E対応製品は国内でも2022年から販売されていますが、各国で使用周波数に違いがあります。一般に6GHz帯は、5945~7125MHz帯の周波数帯と定義されていますが、それぞれの帯域で各国対応が異なります(日本は現在、5945~6425MHzのみ使用可能)。

以下、WFAのウェブサイトにある各国のWi-Fi 6Eの6GHz帯対応状況です。未対応の国もありますが、南北米が全帯域、欧州が5945~6425MHz帯のみ、日本と豪州では5945~6425MHz帯は対応済で、6425~7125MHz帯が検討中となっています。恐らく5945~6425MHz帯は各国で使用可能になります。

 

世界無線通信会議(WRC-23)

国際電気通信連合(ITU)によって行われる、世界無線通信会議(WRC-23: World Radio communication Conference 2023)が、2023年11月20日から12月15日まで、アラブ首長国連邦(ドバイ)で行われます。各国の無線利用に対して影響を与える会議です。

WRCは各周波数帯の利用方法、衛星軌道の利用方法、無線局の運用に関する各種規程、技術基準等をはじめとする国際的な電波秩序を規律する無線通信規則(RR: Radio Regulations)の改正を行うための会議で、各国主管庁およびITUに登録している事業者等の関係団体が出席し、通常3~4年ごとに開催されます。
国際的な取り決めを規定した「無線通信規則(Radio Regulations)」は、移動通信の標準化団体3GPPなど、他団体でも周波数の利用方法に関わる技術仕様等の規定とは異なり、法的な拘束力があり、国連の専門機関であるITUに加盟している国ではITU条約およびITU憲章のもと、無線通信規則に従う法的拘束力が生じることになります。WRCでは無線通信規則の改正を決定すると同時に、施行期限も定めているため、各国は期限を守るために、新たな周波数割当計画等の関係法令も改正していくことになります。

WRC-23に向けて、各国で6GHz帯の利用についての議論や検討が行われており、WRC-23後には現在Wi-Fi 6E未対応の国の今後の方向性が明らかになると思われます。

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