たんぱく質の2つの分析方法
一般栄養分析におけるたんぱく質の分析方法について解説します。食品中のたんぱく質の定量では、全窒素を定量し、それに一定の係数(表1)を乗じて得た数値をたんぱく質量とします。
たんぱく質量(g/100g)= 試料中の窒素含有量(g/100g)
× 窒素・たんぱく質換算係数
(表1)窒素・たんぱく質換算係数
食品名 | 換算係数 |
---|---|
アーモンド | 5.18 |
アマランサス、ナッツ類(アーモンド、ブラジルナッツ、らっかせいを除く。)、種実類(あさ、えごま、かぼちゃ、けし、ごま、すいか、はす、ひし、ひまわり) | 5.30 |
ブラジルナッツ、らっかせい | 5.46 |
ふかひれ、ゼラチン、腱(うし)、豚足、軟骨(ぶた、にわとり) | 5.55 |
小麦粉、フランスパン、うどん・そうめん類、中華めん類、マカロニ・スパゲティ類、ふ類、小麦たんぱく、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮 | 5.70 |
だいず、だいず製品(豆腐竹輪を除く。)、えだまめ、だいずもやし、しょうゆ類、みそ類 | 5.71 |
小麦(はいが) | 5.80 |
オートミール、おおむぎ、小麦(玄殻、全粒粉)、ライ麦 | 5.83 |
こめ、こめ製品(赤飯を除く。) | 5.95 |
乳、乳製品、バター類、マーガリン類 | 6.38 |
※上記食品以外については、通常6.25を用いる。
出典:消費者庁「(別添)栄養成分等の分析方法等」
窒素の定量方法として、以前はケルダール法のみが採用されていました。しかし、食品表示基準においては、ケルダール法に加えて燃焼法も採用されており、ビューローベリタスでは両方の測定方法で分析を行っています。
●ケルダール法
ケルダール法では試料に硫酸を加えて加熱し、試料中の窒素を硫酸アンモニウムに変換します。その後、水酸化ナトリウムを加えアルカリ性にし、遊離したアンモニアを水蒸気蒸留して、4%(w/v)ホウ酸溶液などに捕集します。得られたアンモニア捕集液を硫酸標準溶液で滴定して窒素量を求めます。ケルダール法の長所として、試料採取量を多くすることができるため、不均一な試料でもばらつきの少ない分析値を得られることが挙げられます。また短所としては、分解・測定に時間がかかること、危険な試薬(硫酸や水酸化ナトリウム)を使用しなければならないこと、廃液処理が必要なことが挙げられます。
●燃焼法
燃焼法は試料を燃焼させて得られた窒素ガスをガスクロマトグラフィーにより定量する方法です。試料を高温で完全燃焼させ、燃焼によって生成した窒素酸化物、水分、二酸化炭素は水分除去装置、CO2吸着菅、燃焼菅、還元菅を通り、窒素に還元されます。生成ガスはさらにガスクロマトグラフィーにより精製され、窒素はキャリアガス(ヘリウム)により熱伝導度検出器に送り込まれます。あらかじめ標準物質を用いて作成した検量線を使用し、試料中の窒素の定量を行います。燃焼法は危険な試薬を使用せず、試料を分解する作業も必要ないため、ケルダール法と比べて安全かつ短時間で分析することが可能です。しかし、採取可能な試料量が少なく、試料の均一性が分析結果に大きく影響するので、試料の解体・はかり取りに注意を払わなければなりません。
ビューローベリタスエフイーエーシーでは、試料の特性に合わせてケルダール法または燃焼法を選択し、分析を行なっております。ご希望の方法での分析も可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
参考文献
1)食品表示基準について(平成27年3月30日付け 消食表第139号)
2)栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について(平成11年4月26日付け 衛新第13号)
ビューローベリタスエフイーエーシー株式会社 食品検査事業部 栄養成分検査課 勝部 穂乃花
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