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令和4年10月1日より改正長期優良住宅法施行

令和3年5月に「住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律」が成立・公布されたことを受け、長期優良住宅認定制度において、新たに創設された災害配慮基準等の新基準の他、共同住宅における認定促進や脱炭素社会に向けた「省エネ対策の強化に係る認定基準の見直し」が実施され、新たな基準や制度が整備されました。

目次

1. 長期優良住宅認定基準等の見直しの概要

【すでに実施済みの内容】

(1) 災害配慮基準の創設・災害の激甚化・頻発化を踏まえ、認定基準として「自然災害による被害の発生の防止又は軽減に配慮されたものであること」を新たに追加【令和4年2月20日施行】

基本方針において、原則として認定しない地域、所管行政庁が必要な構造・設備に係る制限を定めることができる等の考え方を例示。

(2) 省エネ性能の上位等級の創設(住宅性能表示)【令和4年4月1日施行】

断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級に、ZEH水準の等級「断熱等性能等級5(UA≦0.6(6地域)等)」「一次エネルギー消費量等級6」を創設

【令和4年10月1日施行の内容】

(1) 建築行為を伴わない既存住宅の認定制度の創設

建築行為を伴わない既存住宅の認定をするための認定基準を新たに創設。新築後に(増改築せずに)認定を受ける場合は新築基準、増改築後に認定を受ける場合は増改築基準を適用。

(改正前)現行の認定制度は建築行為を前提とし、建築計画と維持保全計画をセットで認定する仕組みであるため、既存住宅については、一定の性能を有するものであっても、増改築行為を行わない限り認定を取得することができない。

(改正後)優良な既存住宅について、増改築行為がなくとも認定(維持保全計画のみで認定)できる仕組み(以下、「建築行為なし認定制度」)を創設。

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出典:「令和4年9月 国土交通省住宅局住宅生産課 長期優良住宅法改正概要説明」


・建築行為なし認定制度の認定基準(規模の基準を除く)
 

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出典:「令和4年9月 国土交通省住宅局住宅生産課 長期優良住宅法改正概要説明」
 

 
認定基準例:

①平成21年6月4日以降に新築した後増改築していない場合

②平成28年4月1日以降に増改築した場合

③平成21年6月3日以前に新築し、又は平成28年3月31日以前に増改築した場合(②の場合を除く)
 

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出典:「令和4年9月 国土交通省住宅局住宅生産課 長期優良住宅法改正概要説明」


・建築行為なし認定制度の認定基準規模の基準(床面積の合計)

【一戸建て住宅の場合】

床面積の合計75㎡以上
(地域の実情を勘案して所管行政庁が55㎡を下回らない範囲内で別に定める場合には、その面積以上)

【共同住宅等の場合】

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出典:「令和4年9月 国土交通省住宅局住宅生産課 長期優良住宅法改正概要説明」


・認定手続きについて

建築行為なし認定制度は、増改築時の認定と同様に、現況検査と長期使用構造等であることの確認と認定を行います。申請書類等についても、基本的に増改築の認定と同様の書類による審査を実施します。

建築行為なし認定制度の認定基準は新築または増築・改築の時期により決まるため、施行規則第2条第1項に規定される工事履歴書(新築または増築・改築の時期等が分かる書類)を別途求めるものとします。

 

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出典:「令和4年9月 国土交通省住宅局住宅生産課 長期優良住宅法改正概要説明」


・建築行為なし認定に係る支援制度

  

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出典:「令和4年9月 国土交通省住宅局住宅生産課 長期優良住宅法改正概要説明」
 



(2) 省エネ性能(断熱等性能等級、一次エネルギー消費量等級)の取得必須化

 省エネの基準をZEH相当の水準とし、住宅性能表示制度の「断熱等性能等級5(UA≦0.6(6地域)等)」および「一次エネルギー消費量性能6」が必須となります。また、ZEH水準を上回る断熱等性能等級6・7を創設。

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出典:「令和4年9月 国土交通省住宅局住宅生産課 長期優良住宅法改正概要説明」


共同住宅の一次エネ消費量性能の評価方法について、従来の「住戸ごとの評価方法」に加えて、新たに「住棟全体で評価する方法」を導入します。「住棟全体で評価する方法」において、申請対象外の住戸も評価対象とし、非住宅部分は評価対象外となります。

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出典:「令和4年9月 国土交通省住宅局住宅生産課 長期優良住宅法改正概要説明」


(3) 必要な壁量の基準を現行の耐震等級3に引き上げ

長期優良住宅の壁量基準については、現行の住宅性能表示制度の耐震等級3※となります。ただし、太陽光発電等を載せた場合は、仕様に関わらず重い屋根の壁量基準を満たすものとします。
※住宅性能表示制度における構造計算による場合は、引き続き、実荷重を踏まえたうえで耐震等級2以上の基準へ適合すれば認定基準を満たすこととします。
 

(4) 共同住宅に係る認定基準の合理化等賃貸住宅の特性を踏まえた基準の設定

 
①維持管理・更新の容易性

区分所有住宅以外の共同住宅等であって、賃貸借契約書等に基づき修繕や維持管理の際に住戸内に立ち入ることが可能な場合は、「専用配管が他住戸専用部に設置されていないこと」「専用部分に立ち入らずに横主管(共用排水管を含む)に到達できる経路を設けること」の条件が除外されます。

②可変性

躯体天井高が2,650mm以上であること。ただし、認定対象住戸が区分所有住宅以外の共同住宅等である場合は、専用配管の設置が可能な床下空間その他の当該認定対象住戸の可変性の確保に有効な空間の高さを含みます。
 

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出典:「令和4年9月 国土交通省住宅局住宅生産課 長期優良住宅法改正概要説明」

 
③耐震性

保有水平耐力計算の結果を用いて応答層間変形角を確認する、新たな計算方法を位置づけます。耐震性の基準に以下の基準を追加します。RCまたはSRC造で、保有水平耐力計算により耐震等級1が確認されたものであり、かつ、けた行および張り間方向が、それぞれ以下のいずれかに該当するものとします。

・構造・構造特性係数Ds=0.3であって、応答層間変形角1/75以下が確認されたものであること 
・構造特性係数Ds=0.55であること

④共同住宅等の面積基準

共同住宅等の規模の基準について、単身世帯の都市居住型誘導居住面積水準(40㎡)を標準の基準とし、所管行政庁が、地域の実情に応じて強化可能とします。

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出典:「令和4年9月 国土交通省住宅局住宅生産課 長期優良住宅法改正概要説明」

⑤劣化対策

耐久性が確保され、二酸化炭素透過度試験により、二酸化炭素透過度が一定値以下であることが確認された材料を、適切な施工のもと使用する場合は、かぶり厚さを1cm減ずることができることとします。 

⑥維持管理・更新の容易性(切断・はつり工事)

樹脂管等の切断が容易な管種を用いる場合は、切断工事を軽減する措置とみなします。ジャッキアップ等による抜管工法が可能な継手形状である場合は、はつり工事を軽減する措置とみなします。
 


2. 長期使用構造等基準等の適用スケジュールについて

施行日より前に、長期使用構造等確認を申請済みの場合は、旧基準(現行基準)を適用となります。旧基準(現行基準)による認定は、所管行政庁への認定申請が令和5年3月31日までのものに限ります。
 

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出典:「令和4年9月 国土交通省住宅局住宅生産課 長期優良住宅法改正概要説明」

建築認証事業本部 住宅性能評価営業部 井上 卓也

 


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