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カバー画像(じゃがいも)

食品の生理現象や鮮度劣化による有害成分の分析

2022-10-11

食品から発生する有害成分の中には、食品自体の変化が原因で発生するものがあります。
今回その中でも特徴的で検査のご依頼をいただくことが多いじゃがいもを例に、じゃがいもに多く含まれる「ソラニン、チャコニン」と、赤魚の鮮度劣化により生成される「ヒスタミン」の分析方法について紹介します。

目次

ソラニン、チャコニン

じゃがいもには生理現象により発生する成分として「ソラニン、チャコニン」があります。「ソラニン、チャコニン」は、喫食により吐き気、下痢、嘔吐、頭痛などの症状が出ることがあり、特にじゃがいもの芽や緑化した部分に多く含まれます。

グルコースやガラクトースなどの「糖」と、植物由来の窒素を含んだアルカリ性(塩基性)物質である「アルカロイド」からできている「グリコアルカロイド(糖アルカロイド)」の一種で、じゃがいもに含まれるグリコアルカロイドの約95%はα-ソラニンやα-チャコニンです。
EFSA(European Food Safety Authority:欧州食品安全機関)によると「体重1 kgあたり1 mg以上摂取すると急性症状が出る可能性があると考えられる。個人差等を考慮した結果、体重1 kgあたりの摂取量が0.1 mg以下であれば健康への悪影響はないと考えられる。」と評価されています。

 

分析方法と測定機器

ビューローベリタスエフイーエーシーではα-ソラニンとα-チャコニンの定量分析を実施しています。分析方法のフローチャートおよびビューローベリタスエフイーエーシーで使用している測定機器の液体クロマトグラフタンデム質量分析装置(LC/MS/MS)をご紹介します。

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液体クロマトグラフタンデム質量分析装置(LC/MS/MS)


 

ヒスタミン

食品の鮮度劣化により発生する有害成分として、マグロ、カツオ、サバなどの赤身魚やその加工品で発生する「ヒスタミン」があります。「ヒスタミン」は、喫食によりアレルギーのような症状が出ることがあります。

ヒスタミンは、食品中に含まれるヒスチジン(タンパク質を構成する20種類のアミノ酸の一種)にヒスタミン産生菌(例:Morganella morganii)の酵素が作用し、ヒスタミンに変換されることにより生成します。このため、ヒスチジンが多く含まれる食品を常温で放置する等の不適切な管理をすることで、食品中のヒスタミン産生菌が増殖し、ヒスタミンが生成されます。ヒスタミンは調理時の過熱等では分解されないため、一度生成されると食中毒を防ぐことはできません。

コーデックス(食品の国際規格)では200㎎/㎏以下を基準としています。

 

分析方法と測定機器

分析方法のフローチャートおよびビューローベリタスエフイーエーシーで使用している測定機器の高速液体クロマトグラフ(HPLC)を紹介します。

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高速液体クロマトグラフ(HPLC)

 

食品に含まれる有害成分は、食品となる生物の生育環境、食品原料となる生物自身が作り出すもの、食品の保存方法や管理方法が不適切であったために発生、残留するものです。食品製造に携わるうえで、有害成分についての管理を行なっていくことは、安全な食品を供給するために必要不可欠です。今回紹介した「ソラニン・チャコニン」「ヒスタミン」以外にも、「カビ毒」や「重金属」、「残留農薬」等の有害成分があり、食品の種類によって規格基準が定められているものもあります。食品製造者にとって、適切な食品であることを確認することは重要であり義務となります。ぜひ、定期的な品質管理の一環として、有害成分の検査を推奨します。
ビューローベリタスエフイーエーシーでは有害成分の検査を受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

出典
農林水産省 「ジャガイモによる食中毒を予防するために」
厚生労働省 「ヒスタミンによる食中毒について」

ビューローベリタスエフイーエーシー株式会社 検査部 理化学検査課 関 拓也

 


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ビューローベリタスエフイーエーシー(株) 食品検査事業部 横浜分析センター
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