建築物の計画の変更に係る建築確認を要しない軽微な変更の見直し
建築確認に係る手続の負担軽減を図る観点から、 計画変更のための建築確認が不要となり建築物の計画の軽微な変更(※後述)の範囲が拡充されました(令和4年4月1日施行)。
今回の改正内容について
(「建築基準法施行規則の一部を改正する省令等の施行について(技術的助言)」より引用)
1.建築物の計画の変更に係る建築確認を要しない軽微な変更の見直し(建築基準法施行規則(昭和25年建設省令第40号。以下「規則」という。)第3条の2)
建築確認に係る手続の負担軽減を図る観点から、計画変更のための建築確認が不要となる、建築物の計画の軽微な変更の範囲を拡充した。
具体的には、規則第3条の2第1項第14号に規定する「開口部の位置及び大きさの変更」のうち、「開口部の位置及び大きさの変更により建築基準法(昭和25年法律第201号)第28条の適用を受ける開口部に係る変更で採光及び換気に有効な面積が減少するもの」又は「耐火建築物、準耐火建築物又は防火地域若しくは準防火地域内にある建築物で耐火建築物及び準耐火建築物以外のものの開口部に係る変更で当該変更により延焼のおそれのある部分にある外壁の開口部に該当することとなるもの」は、従来、軽微な変更の対象外としていたが、変更後も建築物の計画が建築基準関係規定に適合することが明らかなものについては、軽微な変更として取り扱うこととした。
規則第3条の2第1項第14号の「開口の位置及び大きさの変更」部分についての改正となります。
以前は開口部の大きさを変更する際、採光・換気検討で用いている有効面積が減少する場合、また、延焼のおそれのある部分に外壁の開口部が新たについた場合は、軽微変更の対象外として「計画変更」となっていましたが、同項14号イ、ロが削除されたので、これらの変更に関しては「軽微変更」として対応できるようになります。
ただし、注意点として「変更後も建築物の計画が建築基準関係規定に適合することが明らかなもの」と基準法本文に文言がございますので、その判断についてはご注意ください。
また、「建築基準関係規定に適合することが明らかなもの」とは、「高度な計算や検討」によらず建築基準関係規定への適合が確認できるものを指します。
したがって、高度な計算や検討を要する変更については計画変更が必要となります。
※「高度な計算や検討」の例
①構造耐力関係規定では、全体架構モデルの再計算を要するもの
②防火・避難関係規定では、避難安全検証法(計画変更の影響が居室避難の範囲を超えず、居室避難の成立が簡易に確認できる場合を除く)や耐火性能検証の再検討を要するもの
③集団規定では、日影規制に係る日影図による再検討や天空率の再計算を要するもの
「軽微な変更の考え方」についての整理
- 軽微な変更とは、変更後も明らかに建築基準関係規定を満たすもの、安全側に変更するもの(例えば、準不燃材料を上位の不燃材料に変更する場合)等、再度確認する必要がない変更をいう。
- 規則第3条の2において具体的な項目が定められており、これらの項目に該当するものであって、変更後の建築物等の計画が建築基準関係規定に適合することが明らかなものであれば、軽微な変更として取り扱うことができる。
- 軽微な変更の対象となるのは、一体性のある「一の変更」ごとに、規則第3条の2第1項第1号~第15号までのいずれかに該当し、かつ、「建築基準関係規定に適合することが明らかなもの」に限られる。
- 一体性のない変更については、当然それぞれの項目ごとに判断する必要がある。
- 第16号として国土交通大臣が定める建築基準関係規定(建築基準法令を除く)に係る安全上、防火上および避難上の危険の度並びに衛生上および市街地の環境の保全上の有害の度に著しい変更を及ぼさないものは、「軽微な変更」の対象となる(平成29年4月1日施行)。
- 計画の変更が「建築基準法令の規定」および「建築基準法令以外の建築基準関係規定」のいずれにも係るものである場合、第1号から第15号までに規定する変更に該当するものであって、建築基準関係規定に適合することが明らかな場合に軽微変更の対象となる。
- 「一の変更」とは、計画の変更が1号~15号の一に該当するが、当該変更および当該変更に伴い付随的に生じる変更が他の号に該当しない場合であっても、変更後の計画が建築基準関係規定に適合することが明らかなものであれば、「軽微な変更」の対象となる。
出典:国土交通省「建築基準法施行規則の一部を改正する省令等の施行について(技術的助言)」
建築認証事業本部 建築確認審査部 本多 徹